- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798701448
作品紹介・あらすじ
「私には個人の意見というようなものはない」
では、彼女の言葉はどこからやってきたのか。
「池田晶子」とはいったい何者か。
突然現れて去った孤高の思索者の、
言葉と存在の謎に迫る。
感想・レビュー・書評
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批評家若松英輔による哲学者池田晶子紹介。言葉である池田晶子は語り続けている。池田晶子は今も生きている。そのことを証しするための文章。それは池田晶子の小林秀雄に対する態度が重なる。精神は無私である、という態度。
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18/04/01。
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在野の哲学者・池田晶子について論じた本です。
池田の哲学をわかりやすく解説することほど、意味のないことはありません。著者が本書において試みているのは、池田の思索をたどりつつみずからの言葉を紡いでいくことによる魂の交信であり、それは池田が小林秀雄や埴谷雄高、ソクラテスらを相手におこなってきたことと何も変わらないはずです。
しかしながら、本書から何を得ることができたのか、と考えると、答えに窮してしまうのも事実です。著者自身が池田の魂と交信した記録として、本書のことばが残されているということはわかります。しかしながら、池田のことばにさらに本書のことばを重ねることが、われわれ読者にとってどういう意味をもつのかということが、いまだに自分のなかではっきりしません。
池田晶子や斎藤慶典のような、一つの問題をめぐってくり返しことばを重ねていくようなタイプの哲学者の場合、彼らについて論じることにいったいどういう意味があるのかという疑問を覚えます。