This is Lean 「リソース」にとらわれずチームを変える新時代のリーン・マネジメント

  • 翔泳社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798169514

作品紹介・あらすじ

組織・チームを真の効率化へと
導くにはどうすればよいか?

全14か国で翻訳された世界的ベストセラー、待望の邦訳!

>本書では「フロー効率」という画期的な視点を導入することで、
組織とチームを圧倒的に「リーン」にする方法を紹介している。

多くの経営者やマネジメントがリーンのことを
コスト削減だと考えているが、それは誤っている。

顧客志向になることが、リーンの本筋であり、
真の効率化へと至る結論である。

デジタルトランスフォーメーションに代表されるような
組織・チームの効率化が求められる中、
本書はその王道を歩む方法を提示している。

とくに
・新規事業開発担当者
・既存事業を立て直したいマネージャー
・DX担当者
・スタートアップのリーダー
・組織の新陳代謝を促したい経営者
にとっては組織で実践できるリーンのエッセンスが
凝縮された、目から鱗の必読の一冊。

【目次】
プロローグ 五〇〇倍のスピード
第一章 リソース重視から顧客重視へ
第二章 フロー効率を左右するプロセス
第三章 プロセスにフローをもたらす要素
第四章 効率性のパラドックス
第五章 むかしむかし……トヨタは顧客重視を通じてどのようにナンバーワンになることができたのか
第六章 荒ぶる西へようこそ……君のことはリーンと呼ぼう
第七章 リーンではないもの
第八章 効率性のマトリックス
第九章 これがリーンだ!
第一〇章 リーンオペレーション戦略の実現
第一一章 あなたはリーン?釣り方を学ぼう!
エピローグ 無駄のない装いを!

感想・レビュー・書評

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  • 私が「フロー効率」という言葉を知ったのは、 @i2key さんのスライドからだった。
    その参照元である「This is Lean」がついに日本語訳された。
    一次ニーズが満たされないことにより発生する二次ニーズ。ふと立ち止まって考えると、我々が日々汗水を垂らして時間を費やしている仕事は、大半がこの二次ニーズを満たすことに終始しているのかもしれない。
    元本を返済することができず延々と利子を支払い続けるリボ払いのようなもので、そんな仕事と「ブルシット・ジョブ」の間にはあまり距離がないように思える。

    リソース効率が悪なわけではなく、時と場合により重視する効率のモードを変えること。リーンでは、原則としてフロー効率へと接近していくものであること。
    そしてリーンはツールやプラクティスではなく、こうなったらリーンという静的なものではないこと。
    実に明快に「リーン」が解説されており、とっつきやすかった。

  • リーンとは、フロー効率を高くする事を目的としたオペレーション戦略である。
    このために非常に丁寧に分かりやすく説明されていた本でした。

    仕事で、会議が多い状況や開発が属人性になってるところを単に変えるのではなく、価値観から考えることで正しい実現方法が見つかると思ったので、さっそく試したいと思った(ただし時間はかかると思う)。

  • This is Lean 「リソース」にとらわれずチームを変える新時代のリーン・マネジメント
    二クラス・モーディグ、パール・オールストローム 著
    2021年3月の本
     
     前回丸善に行った際に、平積みにされているものを見て、ジャケットおよびこのタイトル気になるな、と個人的な気になる本アンテナがたっていた案件なのですが、会社での書籍紹介のチャンネルにて先輩が紹介されていて「あぁやっぱ買っときゃよかった…」と思ってのゴールデンウイークまとめ買いタイミングでの調達。 リーン・マネジメントに関して、ほとんど不勉強だったのですが非常にわかりやすく勉強になる本でした。
     まえがきに以下記載あり。 「本書の目的は、シンプルにすることの美しさを明らかにすることにある。“リーン方式”に関連する用語や方法論の誤解を取り除き、「ジャスト・イン・タイム」や「見える化」などの主要原則を用いたフローの効率という基本に立ち戻り、リーンの意味を再定義する。」
     自分が不勉強なことを恥ずかしいとは思っていなくて、知らなかったということを知れた、ということはとてもありがたいことだと認識していて、実はこの本を読むまで、「リーン」という概念がトヨタ生産方式(TPS)に起因している、という事実を知りませんでした。 そういう無知を知れたことは、それだけでも十分良かったし、それこそ、「リーン」な本として、理論・主張を際立たせるために、分かりやすいたとえ話や図解などを用いて「これがリーンだ。」と述べている。
     P145に、興味深い記載があり、これをいつもの抜粋よりも事前に抜粋しておきたい。
    =======
     トヨタとリーンへの関心の強さを反映して、数えきれないほどの書籍や記事が書かれてきた。2014年に出版された、タイトルに“Lean”を含むビジネス書をアマゾンで検索すると、100を超えるタイトルがヒットする。
    (中略)
     突然、何もかもがリーンになってしまった。 あっという間に、これも、それも、あれもリーンになった!
     あまりにもたくさんの本が出ているので、何がリーンで何がリーンでないのか、よくわからない。リーンのことを哲学や文化、あるいは原則などのような抽象的な概念として説明する本があると思えば、働き方、方法、ツール、あるいはテクニックなど、もっと具体的なものとしてリーンを扱う本もある。誰からも受け入れられる共通の定義は一つも存在しない。今も発展を続ける一つの概念が異なるものを指すというちぐはぐな状態が続いているのだから、実務家や学者にとっては困った問題だ。
    =======
     という状況の中で、「これがリーンだ。」とすっきり述べてくださっているので、事象をシンプル化してとらえる、というところだと非常にわかりやすい、ありがたい本だと思う。 ずいぶん前に「ザ・ゴール」(およびその関連書籍)を読んで、スループット理論は概念として理解できていたので、『フロー効率に注目』という観点は自分としては考え方の軸ができていたので受け入れやすかった。
     日本での書籍にも「トヨタ生産方式」関連の本はたくさんある中で、逆輸入的にこうした本を知らされることは、また新たな知とのめぐりあわせ、ということでこれもまた興味深い。


    以下、改めまして抜粋引用となります。 
    =======
    ○P128
     トヨタの物語で最も重要な点は、同社はリソースが不足していたため、フロー効率を重視する生産システムを開発せざるをえなかったことにある。リソース不足がトヨタの目を顧客に向けさせた。トヨタは生産プロセスのすべてのステップを内部顧客およびサプライヤーとみなすことを通じて全体像を把握した。生産プロセスのすべての部分が一本の鎖としてつながっているのである。
     顧客の注文の流れに逆らう形でプロセス全体に伝えられ、注文通りの製品が下流に向かって引き出される。目標は、フロー効率を最大限にすること。つまり、注文から納品と支払いまでスループット時間のどの瞬間においても、付加価値がもたらされるような形をつくることだった。
     トヨタの生産プロセスはフロー効率が高かった。このトヨタの生産プロセスを、西側諸国の人々が「リーン」と名付けたのである。

    ○P133
    大野は規模の経済と大量生産を否定し、生産性とはフローを通じて生み出される、という立場を維持した。
     「私たちがやっていることといえば、顧客が注文した瞬間から私たちが現金を受け取るまでのタイムラインを見ることだけだ。そして、付加価値をもたらさないムダをなくすことでタイムラインを短縮する」

    ○P190
     ひとことで言うと、リーンとはリソース効率よりもフロー効率を優先するオペレーション戦略。言い換えるなら、リーンは効率性マトリックスの右上に向かって移動するための戦略なのである。

    ○P202
     「リーン」とは、トヨタの効率的な働き方を見た西洋の研究者が使った言葉に過ぎない。トヨタがフロー効率を上げるために用いた手法がほかの環境でも有効だとは限らないという点は、しっかりと頭に入れておこう。リーンオペレーション戦略をどう実現するかは、文脈によって異なる。ある組織や環境で有効だったソリューションが、ほかの組織でも有効だとは限らない。
     私たちは、リーンをオペレーション戦略として定義することで、リーンはあらゆる組織が選択できる戦略であることを示した。フロー効率を高めることで、あらゆる環境の組織が恩恵を受けられるだけでなく、長期的にはリソース効率も上がるに違いない。それが自分の組織に望ましいことなのかどうかを見極めるためには、ビジネス戦略を見直したうえで、「我々はどんな価値をつくりたいのだろうか?どう競争すべきなのか?」と問うべきだろう。

    ○P217
     「ジャスト・イン・タイムはフローを生むことを、自働化とは目に見えるはっきりとした像を得ることを意味しています。それにより、フローを起こしたり、妨げたり、せき止めたりするものすべてを、すぐに把握できるようになるのです。この二つの原則は一枚のコインの表と裏であり、両面がそろってはじめて、つねにしっかりと顧客に目を向けて“ゴールを決める”ことができるようになる」

    ○P223
     「我々の価値観が、状況や文脈に関係なく、我々がどうあるべきかを決める。価値観が我々の存在の根拠であり、つねに追い求めるべき状態となる。我々の原則が、我々がどう決断すべきか、何を優先すべきかを決める。ジャスト・イン・タイムと自働化がどちらの方向へ事業を発展させるべきかを決める。顧客の方向へ!木を美しくするほうへ!メソッドはさまざまなタスクを実行する方法。我々を正しい方向へ推し進めるモーターなのです。特定のメソッドを実行するために、もたねばならないものがツールで、しなければならないことがアクティビティ。一つのシステムの中で、すべてが絶え間なく細かく結びついて、我々のビジネスがとても美しい木になるよう育ててくれる」

    ○P227 
     TPSやリーンについて書かれた書籍の大半で、リーンオペレーション戦略を実践するのに役立つ素晴らしい手段が数多く提案されている。それら既存の文献からも学ぶべきことがたくさんあるのは明らかだ。
     しかし、この点は大切なので強調しておくが、そのような文献で紹介されている価値観、原則、メソッド、ツールはどれも、それ自体はリーンではないのだ。それらはリーンオペレーション戦略を実現するための手段である。手段だからといって、価値がないわけではない。実際にはその逆だ。
     価値観、原則、メソッド、ツールのすべてを手段とみなすことで、私たちはすべてが結びついていると理解できるようになる。

    ○P230
     ジャスト・イン・タイムとは、組織全体を通じて効率的なフローをつくることを意味している。一方の自働化は、フローを妨害したり、乱したり、遅めたりするありとあらゆる要素を見つけ、防ぎ、排除する力を持つ“覚醒した”組織をつくるということ。

    ○P239
     リーンとは、到達すべき静的な状態ではないのである。いつか完了するものではない。リーンとは動的な状態であって、絶え間ない改善を特徴としている。
    =======

  • フロー効率とリソース効率を両方とも100%にすることはできない。組織としてどちらを優先するのか、どんな手順で理想的な状況に近づけるように考えるかが重要というのは、この本でいうところの原則
    一方で、よくある組織であるはフロー効率について意識を払っておらず、リソース効率のみに着目していることが多く見える。自戒も含めて

  • i2keyさんが翻訳も査読もしていないのだなあ。

  • Leanにまつわるいろいろなことがシンプルにまとめられている
    必読本

  • フロー効率とは、システム境界を定義し、スループット時間が中の付加価値アクティビティ時間の割合を高めること。

    スループット時間=システム境界で定義されたプロセス内にあるフローユニットx サイクルタイム。

    leanは目的とする状態であり、上がり続けるものである。
    目的に達するためにメソッドやアクティビティが存在する。

    これだ!すごく理解したって感じではなくなんとなく感覚としてわかったかも?ぐらいの感覚。次はリーン・スタートアップを読んだみたいと思った。
    フロー効率は一個流しすることだという単純理解から思考が広がった感じはする。

  • リーンとは状態ではない。「昨日よりも明日をより良くするためにはどうすればいいか」、の考え方である。

    よって、リーンな組織とは、その考え方が全員ができることである。

    そのための重要な指標として、「リソース効率」と「フロー効率」というのが出てくるが、本質は、考え方の部分でありましょう。

    メソッドなるものは、その考え方を新たな課題の局面に当てはめたときに出てくるものにすぎず、次の瞬間に陳腐化するものでありましょう。

  • リーンとはオペレーション戦略。
    リソース効率よりも先にフロー効率に力を入れる(p.200)。

    フロー効率に目を向ける。
    リトルの法則。
    スループット時間の高変動と稼働率の指数関係を示すキングマンの公式。
    ソフトウェア世界に限らず、フローユニット目線を持つ効率が顧客目線と言える。

    トヨタ生産方式からリーンの歴史を学べる引用が多々あるのもすばらしく、リーンってなに?を言語化できる。
    リソース不足でもフロー効率が顧客(内部顧客も)に正しい価値を届けることができる。
    チームワークや継続的な改善を科学的手法を用いる理由がここにあるとわかると仕事の全てに思えた。

    ビジネス戦略(what)である価値とコストのバランスのHOWをオペレーション戦略であるリーンで対応する。
    このとき、フロー効率とリソース効率のマトリクスのどこに位置しているかの認識と対策は必要なことが自信に落とし込めることができた。

    変動に主たるなる要因は人間だ。
    働く人も含まれる。チームワークや振舞いの共通性この変動を減らす方法と言える。
    5Sも変動の削減。
    見える化とは変動の見える化であり、その全容をサッカーのルールやピッチのごとく俯瞰する目を得る自動化の地図が戦略に必要になる。
    顧客も変動が多きいと捉えるのは相手の求めることを理解および共感していないからだ。

  • フロー効率、なるほどと思いました
    トヨタってすごいのね

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