- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798160078
作品紹介・あらすじ
●人を動かす強い企画や施策は、一般的な調査からは生まれません。
たった一人の“N1”を分析する「顧客起点マーケティング」から
未購買顧客を顧客化、さらにロイヤル顧客化する「アイデア」をつかめます。
P&G出身、ロート製薬にて化粧水「肌ラボ」を本数ベースで日本No.1へ
スマートニュースではiPhoneアプリランキング100位圏外から1年でNo.1へ。
本書では、著者の西口一希氏が確立したフレームワークの理論と実践を全公開します。
自社ブランドについての数問の調査で作成できる
2つのフレームワーク「顧客ピラミッド」と「9セグマップ」は
ターゲットとすべき全顧客を可視化・定量化し、経営とマーケティングを繋ぎます。
同時に競合も分析して、具体的な戦い方を導き出します。
●本書で解説すること
・有効な「アイデア」の定義と見つけ方
・分析対象とする“N1”の選び方
・ターゲット顧客を「未認知」~「ロイヤル」の5つに分ける「顧客ピラミッド」の作成と分析方法
・販売促進活動とブランディング活動を同時に可視化・定量化し
マネジメントする「9セグマップ」の作成と分析方法
・潜在顧客を顧客化、さらにロイヤル化する打ち手の開発方法
・競合から顧客を奪う「オーバーラップ分析」の方法
・破壊的イノベーションに顧客を奪われるリスクの防ぎ方
●著者略歴
西口 一希(にしぐち かずき)
1990年大阪大学経済学部卒業後、P&Gジャパンに入社。マーケティング本部に所属、ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任し、パンパース、パンテーン、プリングルズ、ヴィダルサスーン等を担当。2006年ロート製薬に入社、執行役員マーケティング本部長としてスキンケア商品の肌ラボを日本一の販売数量の化粧水に育成、男性用ボディケアブランドのデ・オウを開発、発売し1年で男性用全身洗浄料市場でNo.1に育成するなど、スキンケア、医薬品、目薬など60以上のブランドを担当。2015年ロクシタンジャポン代表取締役。2016年にロクシタングループ過去最高利益達成に貢献し、アジア人初のグローバル エグゼクティブ コミッティ メンバーに選出、その後ロクシタン社外取締役 戦略顧問。2017年にスマートニュースに参画。2019年現在スマートニュース 日本および米国のマーケティング担当 執行役員(Senior Vice President of Marketing Japan and USA)および Strategy Partners 代表取締役、Marketing Force 代表取締役(共同代表)。
感想・レビュー・書評
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【顧客起点マーケティング】西口一希 著
【著者】
P&G、ロート製薬、ロクシタンジャポン代表取締役そしてスマートニュース。
見込客が動く、顧客が動くマーケティングの実践のスペシャリストの書下ろしです。
BtoCもBtoBでも再現性あるロジックツリー。
ぜひマーケティング部門の方には読んでほしい一冊です。
①売上に直結する必要認知度の計測方法。
②TVCMを行なった場合の効果測定方法。
2022年、「当たり」の書籍がまた1冊増えました。
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【結論・学び】
1. ブランド認知度。どの程度必要?
<計算式>
・イノベーター&アーリーアダプターを「20%」と仮定。20%越えから「マジョリティ」群。
・認知済→購買までの「率」を「30」%とした場合。
↓
必要認知度=20%÷30%=66.7%
↓
自社対象セグメントに対して66.7%の認知があって、はじめて購買まで見込めるということ。
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2.自社セグメントの切り方(BtoB、toC共通)
①優良顧客
②一般顧客
③解約顧客
④認知・未購買見込み客
⑤未認知見込み客
*
A 自社ブランド嗜好高
B 自社ブランド嗜好低
【注意】
①優良クライアント
継続購買理由を言語化できていない場合、「解約の本質」を見誤ることになる。
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3.TVCM含めた広告やマーケティング活動の効果測定
2.⑤→④→②→①の社数または人数遷移・変化
B→A の社数または人数遷移・変化
【注意】
① 「3カ月」ごとに測定。
② CM直後の「検索数」とその後の資料ダウンロード数の計測
検索多い場合→認知・リーチは〇。
資料ダウンロード▲→HP含めたWEBでの訴求が▲
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【書籍・執筆内容】
1. 見込み客または顧客が動くとは?
(プロダクト&コミュニケーション)*(差別化&便益)
プロダクトの差別化&便益が先にあって、コミュニケーション(CM等)が生きてくる。
CMが良くても売上につながらない原因は、プロダクトの差別化&便益が弱いケースが多い。
2. 1.に必要な考え方。「N1」に照準をあわせよ。
見込み客または顧客1社または1名。
3.「N1」に教えてもらうとベターなこと。
①認知経緯
②購買経緯
③継続化経緯
④競合利用有無
【メリット】
平均、最大公約数ではないから。
1名または1社単位でどのような差別化&便益を感じてくれているか?を把握できること。
↓
CM、WEB等のコンテンツに役立つ。
【注意】
優良顧客、一般顧客ともに「競合」との併用あり
併用の状況と理由を聞くこと。併用がある限り、安心はできない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
UIデザイナーが勧めていた本。神本らしいので、読んでみたい。
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▼ 自分が欲しいものを作る。
'徹底的にN1に絞り込むから、独自性と便宜を兼ね備えたプロダクトアイディアを生み出せる。絞り込まないと逆に平均的で最大公約数的な提案や企画しか打てず、面白くない商品作りになってしまう。'
→ぐさっと響いた。最大公約数的ものづくりになってしまっている、、、
▼ 私たちの生活を作ってきた様々な商品やサービスのほとんどは「特定の誰か1人を喜ばせること、幸福にすること、便利になってもらうこと」が起点になっている。その特定の誰かがそれを作った本人そのものだったりもする。自分が欲しいものを作ったと言うエピソードは商品開発の舞台裏の記事などでよく目にする話'
ですよね。。。ぐさっ
▼ ロクシタンの戦略が面白い。
ギフトとして買ってもらうことがファーストステップで、その時にもらったサンプルをきっかけに自分用にも買うようになる。(まさにロクシタンで自分にこの経験あり。。。)
→ 元からギフトとして売る、というのは一つの戦略としてかなり有用そう。
自分が今求めていた答えが抽出できたのが嬉しい。 -
ほんとこの本さいこーです
いろいろマーケティングの本読んだけど、理論と実務繋ぐ良本ってなかなかない中、やっと巡り合えたって感じ
これ読み返そう! -
マーケティングを知りたい人には不向き。
すでに実践していて経験を積んだ方にとっては最高の良書だと思う。
個人的には内容が高度過ぎてかなりキツかったがこれは経験則に基づく力量の問題であって本書の素晴らしさは損なわれない。
読み返す勇気はない。 -
ちょっとチャラい感じの帯だったので、敬遠していたのですが、
想像以上に評判が良かったので、読んでみました。
今まで色々とマーケティング関連の本を読んできたけれど、
一番しっくり来る本でした。
読んでみて、とても実用性が高いように感じました。
ここまで出してしまってええんかいな、という感じ。
(まぁ、著者的には(著者が言う)アイデアの創出のところが一番のキモで、
これくらい出してもへっちゃら~という感じなのかもしれませんが。)
一番腹落ちしたのは、N=1に注目して、
色々なN=1の意見やアイデアを集めた後、
それらをどうやって統合させるのか?、というところ。
結果から言うと、統合なんてしていたら、
最大公約数的な当たり障りのない(=つまらない)アイデアになってしまうので、
そんなことしちゃダメよ、ということなのですが、
その部分が一番しっくりきました。
B2Bでも使えると思うけど、やっぱりB2C寄りかな。
それでも学びの多いマーケティング本であることは間違いないです。 -
著者はP&Gでマーケティングの経験を生かして今はスマートニュースのマーケティングをしているらしい。
マーケティング業務をしていないので、実践的な部分はうーんという感じだったが、マーケティングのアイデアは「独自性」と「便益」の四現象で表すと言う事や「パレート分析(20-80の法則)」などはマーケティングの基本なんだと改めて勉強になった -
マーケッターの業務理解に役立つ。企業に従事する人の多くが実はマーケティング活動に携わっている。知っていて損はない。
本書は、著者が使っているフレームワークの紹介+スマートニュースでの事例紹介、で構成される。実際に使っているフレームワークということで理論書より一段具体的。
マーケティングは成功事例が多くあるが、どのようにしてそこに行き着いたか、手法と葛藤は見えてこない。企業のノウハウになっている。新規参入では手探りにならざるを得ない。
■「アイデア」は2つに分けて考える
・商品やサービスそのものとなる「プロダクトアイデア」
・商品やサービスを対象顧客に認知してもらうための手段である「コミュニケーションアイデア」
(→商品サービスとそれをどう訴求するか)
■アイデアの質は「独自性」と「便益」の2軸で決まる
■マーケティングの成功に必要なこと
1.プロダクトアイデア
2.コミュニケーションアイデア
3.認知形成
・認知形成が必要な理由
ほとんどの商品はターゲット顧客の半分に存在すら知られておらず、実質的に新商品である。認知を獲得する前に競合他社の侵入を許すことになる。
■アイデアを生み出すN1分析
N1分析では、顧客化したときの重要なきっかけ、さらにロイヤル化した重要なきっかけが何だったのかを見つける。アイデア創出のために有効な調査は統計学とは違う。個人の体験やコミュニケーションまで深掘りが必要。N1にすることで強い独自性と便益を生む。N1には実在する顧客を元にカスタマージャーニーを設定する。
■顧客ピラミッド・・・5つのセグメント分類。ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客、認知・未購買顧客、未認知顧客。セグメントごとに顧客数、年間売上、費用、利益を把握する。「どの顧客セグメントをターゲットとするか」「何を目的に投資すべきか」「いつまでに何を達成すべきか」というセグメントごとの戦略の議論
■RFM分析では、認知・未購買の顧客をどう顧客化するか、未認知顧客の認知をどう上げるかといった中長期の成長に必要な視点が欠けている
■心理データ。
ブランドの認知(ブランド名を知っているかどうか)
ブランド選好度(そのブランドを買いたい、または使いたいと考えているか)
属性イメージ(どのように認識しているか、どのような機能イメージや便益属性を感じているか)
メディア接触(デジタルメディアを含めて、メディア接触習慣や信頼度)
広告の認知経路(いつどこでどんなメディアや機会を通じてブランドを認知したのか、ブランドイメージを形成したのか)
物理的な店舗網を持つ小売業がすべきことは、まず積極ロイヤル顧客のブランド選考の理由、つまりその積極性を支える独自性と便益を見つけることです。そして、ECプレーヤーが提供できないプロダクトアイデアを消極ロイヤル顧客に向けて提供する。 -
おわりに、に書かれていた西口さんの失敗経験がとても印象的でした。データばかりを追い求めていた結果、うまくいかなかったが、その次のプロジェクトで今までのやり方を捨て、徹底的にN1分析をしたことで成功し、このメソッドに至ったという経緯。
データだけではわからないことって本当にたくさんあるんだろうと、未熟な経験ながら最近感じているところです。どれだけ当事者になって、その一人一人の行動、生活、感情を理解できるかが、ゼロフリクションの世界への近道だろうと思いました。
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◾️アイデアは具体的なN1から得られる
マーケティング上で機能する強い「アイデア」を導き出すには、実在する一人の顧客を深掘りすることが唯一有効な方法。
◾️アイデアとは、独自性×便益の四象限で表せる
便益ない、独自性ある…ギミック
便益ある、独自性ある…アイデア
便益ない、独自性ない…資源破壊
便益ある、独自性ない…コモディティ
【成功の三要素】
①プロダクトアイディア
独自性=便益
でないと継続的に売れない
RTB=reason to believe
②コミュニケーションアイデア
話題になる広告には独自性がある
広告自体の面白さが便益として伝わってくる
しかしそういったCMの多くが、広告が購買に結びつかないという問題をかかえている
あくまでもプロダクトアイデアを固めた上でコミュニケーションアイデアの役割が決まる
③早期の認知形成の重要性
⒈そもそも知らない
→ マーケティング投資対象のターゲット顧客層と訴求内容の見直し
→ メディア戦略の見直し
⒉知っているが買う理由や動機がない
→ ターゲット顧客と訴求内容の見直し
→ 便益に対して価格が適切かどうか見直し
→ そもそものプロダクトアイデアの改良
⒊知っていて解体が販路がない
→ 販路自体の拡大強化、どこで買えるのかという販路自体の認知形成の強化
「絞り込むとニッチ化する」×
経営者の多くは「自分が欲しいものをわがままに作ってきたら会社が大きくなった」
絞り込まないから平均的で最大公約数的な提案や企画しか打てずに、鳴かず飛ばずの結果になる
◾️顧客ピラミッドの作成とその意味
ロイヤル顧客
一般顧客
離反顧客
認知・見購買顧客
見認知顧客
セグメントごとに
・顧客数
・年間売上
・費用
・利益
を把握し、
・どのセグメントをターゲットにするか
・何を目的に投資すべきか
・いつまでに何を達成すべきか
◾️RFM分析
recency(直近でいつ購買したか)
frequency(購買頻度)
monetary(購買金額)
の3軸で顧客セグメントを分析する方法
→顧客状態を知るには有効だが、離反顧客をどうするかなど中長期の成長に欠かせない視点が欠けている
◾️行動データと心理データの分析
行動の裏側には、そのブランドやカテゴリに対するなんらかの認知や心理状態が理由として存在している。
その心理が形成された理由やきっかけを理解すれば次の新しい打ち手や戦略構築は容易。
ロイヤル顧客が持っている認識を、一般顧客に理解させれば一般顧客→ロイヤル顧客になる
カスタマージャーニーをインタビューでN=1×10つくる
◾️競合分析とオーバーラップ分析
自社ブランドの顧客が競合のピラミッドのどこにいるのか
→ CDの大手小売同士がオーバーラップ分析していたら、デジタルに移行する層に気づけたはず
◾️積極的ロイヤルティと消極的ロイヤルティ
amazonは、小売業者同士が近さの競争を繰り広げる中で、その距離の概念を打ち砕いたことでブランド選考が低い消極ロイヤル顧客を一気に奪った。
→ 消極ロイヤル顧客のブランド選考の理由、つまりその積極性を支える独自性と便益を見つけ出すこと
◾️9セグマップ
ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客、認知・未購買顧客の4層をブランド選好の有無で8つに分類する
そこに未認知顧客を足して9
ブランド選好は、購入者本人の次回のブランド購入ないし使用意向。
見認知顧客を何かをフックに一般顧客にすることは容易だが離反する。
→ ロイヤル化する仕組みを作る
◾️分析
・自社と競合の認知、使用経験、使用頻度を聞いて顧客セグメントのどこに属しているか聞く
・そこまでの認知や招待券に至ったきっかけや理由や生活の中での体験を聴きながらカスタマージャーニーを理解
・上記から出てきた疑問を老若男女30人以上にN1分析をしてアイデア候補を出していく
◾️アプリのビジネスモデル「AARRRモデル」
A acquisition:ユーザー獲得
A activation:商品使用とユーザー活動の活性化
R retention:継続使用
R referral:他者への紹介や推奨
プロダクトアイデア自体の完成を前提とせず、「プロダクトアイデア」そのものを磨き上げるためにユーザー行動のデータを使用している
「頭で考えるのではなく心で感じることを頼りにしなさい」
「ユーザーを対象物としてみてはいけない、その気持ちに共感し"自分ごと化"しないといけない」
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ここまで精緻に進めれば結果は出るだろうと思えるくらい具体的なフレームワークとノウハウが惜しげも無く、披露されている。