明治の説得王・末松謙澄 言葉で日露戦争を勝利に導いた男 (インターナショナル新書)

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  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680768

作品紹介・あらすじ

明治の国難を救った知られざる偉人!

言葉で日本を創り、日本を守った男がいる。末松謙澄(すえまつ けんちょう)、福岡県行橋市に、日本がアメリカと不平等条約を結んだ翌年(1855年)に生まれた。
明治になってもまだ江戸の匂いの濃かった時代、日本という国の名前はあっても、ひとつの国としての形はまだ何も定まっていなかった。国としての「歴史」も、「議会」も、「憲法」も、「新聞」も、それらを書き記すための皆が分かる標準語としての「日本語」すらなかった。
日本をどんな国にするのか――政治家として、また多才な文化人として、西郷隆盛への降伏状、大日本帝国憲法、下関条約の締結文の草案を書き、明治維新史『防長回天史』を編纂。日露戦争では日英同盟の強化などにより日本の窮地を救い、近代日本の礎を作った。
謙澄の作った道を今の私たちは歩いている。彼は何を目指し、何をしたのか――世界を舞台に活躍し日本の国際化と近代化に果たした謙澄の足跡を辿る。

【末松謙澄(安政2〈1855〉〜大正9〈1920〉)主な業績】
●西南戦争において、西郷隆盛への「降伏勧告状」の草稿作成
●「大日本帝国憲法」の起草
●『源氏物語』を世界で初めて英訳出版し世界へ紹介
●ウィリアム・アンダーソンによる日本美術史の先駆的研究書“The Pictorial Arts of Japan" の編纂に寄与。後に日本語に翻訳出版して日本美術史の発展に大きく貢献
●「演劇改良会」を主唱発足し演劇の近代化を推進
●日露戦争では渡英して黄禍論を抑え、ロビイストとして日本の勝利に大きく貢献
●晩年には司馬遼太郎も数々の歴史小説執筆にあたって参考にし、いまなお明治維新史研究の第一級の基本史料とされる『防長回天史』(全12巻)を出版

【末松謙澄をめぐる主な人物】
義父:伊藤博文/生涯の友:高橋是清/ケンブリッジ大学の学友:オースティン・チェンバレン/西南戦争の際の上官:山縣有朋/「日朝修好条規」締結の際の上官:井上馨/「東京日日新聞」時代の先輩:福地桜痴など】

■著者略歴
山口謠司(やまぐち ようじ) 1963年、長崎県生まれ。大東文化大学文学部教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』(集英社インターナショナル)など著作多数。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ラジオで紹介されていたので。日露戦争でヨーロッパでのロビー活動に活躍した末松謙澄を掘り起こした一冊。西南戦争時の西郷への降伏文の起草や、長州、防州の歴史を編纂などなど、歴史の陰に埋もれてはいるが、なくてはならないひとの一人であることがよく分かる。国内外双方の視点から明治日本をみることの出来た超優秀な官僚なのに、何故有名ではないのか…

  • 歴史の狭間に埋もれた偉人にスポットライトをあてた作品。過去を学問とする歴史が未来に向けて進んでいくのは面白い。

    日露戦争のロビー活動や「防長回天史」など。結果として歴史の裏方役だった末松謙澄。

    歴史のスポットライトをこういったあまり知られぬ人物にあてる企画はきらいではない。そう、自分もだが世の中には無名のまま終わるがどこか社会に貢献してきた人の方が多いのだから。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1378821

  • 東2法経図・6F開架:289.1A/Su17y//K

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著者プロフィール

1963年、長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。専門は、文献学、書誌学、日本語史など。著書に『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)『文豪の凄い語彙力』(さくら舎)ほか多数。

「2020年 『語感力事典 日常会話からネーミングまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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