対論! 生命誕生の謎 (インターナショナル新書)

  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680478

作品紹介・あらすじ

地球最初の生命が誕生した場所は、海か? 陸か?

「地球生命の起源は深海の熱水噴出孔にある」という説を実証すべく、水深2000メートルの深海で微生物探査を行う生物学者・高井研。
一方、国際宇宙ステーション(ISS)で行われている生命実験「たんぽぽ計画」の代表を務める分子生物学者の山岸明彦は、「生命は陸上の温泉で生まれた」と考える。
「地球最初の生命が誕生した場所はどこか?」「地球最初の生命はどのようにエネルギーを得ていたか?」「生命に進化は必要か?」「地球外生命が見つかる可能性は?」……
まったく異なる説を唱える二人が、生命の起源や進化の謎、地球外生命探査について激しく論じ合う。

【目次より抜粋】
第1章:生物の共通祖先に「第3の説」!?
第2章:生命はまだ定義されていない
第3章:生命に進化は必要か?
第4章:生命の材料は宇宙からやってきた?
第5章:RNAワールドはあった? なかった?
第6章:地球外生命は存在する! ではどこに?
第7章:アストロバイオロジーの未来

【著者略歴】
やまぎし あきひこ 分子生物学者、東京薬科大学名誉教授。1953年、福井県生まれ。2015年から国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟で行われている、「たんぽぽ計画」の代表を務める。
著書『生命はいつ、どこで、どのように生まれたのか』(集英社インターナショナル)など。

たかい けん 生物学者、海洋研究開発機構(JAMSTEC)深海・地殻内生物圏研究分野分野長。1969年、京都府生まれ。専門は極限環境微生物・生命の起源・宇宙生物学。
著書『生命はなぜ生まれたのか』(幻冬舎新書)、『微生物ハンター、深海を行く』(イースト・プレス)など。

感想・レビュー・書評

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  • 地球における生命の誕生について、海中説と陸上説で異なる見解の二人が、対論を通して、生命の定義から宇宙生物の存否まで議論を進める。生命のメカニズムに自論を展開する両者は、真実が究明されない中、結着点は見出せないが、各説の説得性は読者に委ねられる。テーマが地球外生命に移行後は、太陽系内のエンケラドス(土星の衛星)やエウロパ(木星の衛星)の地表下に海の存在が可能視され、未知の生物への期待が膨らむ。さらに知的生命体の探索に向けた取り組みが紹介されているが、いずれも時間軸では、生きている間には結論を得られない虚しさが残る。この手の話題は、夢物語の範疇から抜け出せないのが残念である。

  • 2人の意見は常に平行線で、お互いの批判を受け入れて第3の意見が出てくることはない。最初はもどかしく、不毛な議論に見えた。でも、それだけの印象に終わらせるのはもったいない。
    意見が合わないことを前提として読むと、いろんなトピックが、お互いに補完しながら説明されていて、わかりやすく、おもしろかった。

    「生命は地球産の材料でできてるらしい」という事実ベースの話をした後で、「宇宙起源の有機物が生命誕生に大きな役割を果たした可能性は大いにある」と主張するところが面白かった。
    わりとロマンチスト。宇宙由来のなにかで生命が誕生したのでは、という素朴な疑問。事実から導き出される話だけでなく、素朴な感覚を持ち続けてるみたい。

  • 科学者どうしの議論が刺激的。言うべきことは言い、認めるべきことは認める。

    話題の選び方は興味深い。

    最新えられた科学的知見も満載。

    惑星探査の情報だけは、2019年12月の発刊にもかかわらず、結構、変更が必要。そういうもんなんですね。

  • LUCA(Last Universal Common Ancestor)と呼ばれる地球上の全生物の共通祖先が、深海の熱水活動域で生まれたのか、陸地の温泉で生まれた後、深海に移動したのか、それぞれの違う立場の研究者が討論する面白い本だ.p67に図示してあるようにLUCAが約38億年前にシアノバクテリア、大腸菌などの真正細菌に分かれ、約24億年前に古細菌と真核生物が分離した由.この真核生物から動物や植物が出現した.両者の対談では、LUCAの元となったものは地球にあったのか、隕石のように外からやってきたのか についても議論している.生命の定義として、幕を持つこと、代謝すること、複製・増殖すること、進化することを挙げている.3番目にRNAが絡む.このRNAが生命維持に欠かせないものだが、人類がこれを知ったのは1953年、ほんの少し前だ.

  • 地球生命の起源について異なる立場をとる2人の学者の対論。生命の誕生した場所や生命の進化、アストロバイオロジー(宇宙生物学)などをめぐっての議論は、時に取っ組み合いが始まるのではないかと思わせるほど熱くなる。その議論を通して生命の誕生について共通理解ができていること、未知で議論が分かれるところ、依然として謎なことなどを知ることができる。

  • 38億年前に生命は誕生したとずっと言っていたけれど、最近の本では40億年前との記述が多くなっている。新しい化石が見つかっているようだ。さて、その最初の生命はどこで生まれたのか。海底か、地上か、はたまた地球外の宇宙空間か。有機物は宇宙空間でもつくられているようで、多くが地球に降り注いでいるようだ。はやぶさ2が帰還することで、何か新たに見つかるかもしれない。2人の説は全く合い入れないようで最初から最後まで食い違ったままだった。何をもって生命と呼ぶかに差があるからでもあるのだろう。気になるのは海底の熱水が噴出するようなところで、エネルギーが供給され続けるために、新たに生命が誕生するということだが、いま現在でも新たな生命が親無しで新規に生まれるということがあるのだろうか。そうだとすればそれはかなりの驚きなのだが、でも、40億年前に生命が誕生し、そのあとはすべてその子孫というのも違うような気もするし・・・そこのところの解説が聞きたかった。いま生物と言えば地球上のものばかりだが、今後は地球外生命が発見され、研究が進むことだろう。アストロバイオロジーという名で新たな研究が進んでいる。しかし、著者たちは、このアストロが取れたとき初めて真の生物学が誕生するのだという。なるほど。金子先生の「普遍生物学」も早く読みたい。

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著者プロフィール

分子生物学者、理学博士、東京薬科大学名誉教授。1953年、福井県に生まれる。東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。主な研究分野は極限環境生物、アストロバイオロジー、生命の起源と進化。ISS-JEM(国際宇宙ステーション・日本実験棟)で、宇宙生物学に関する実験研究プロジェクト「たんぽぽ計画」の代表を務めた。
著書に、『生命はいつ、どこで、どのように生まれたのか』(集英社インターナショナル)、『基礎講義 遺伝子工学Ⅰ』(東京化学同人)、『アストロバイオロジー』(丸善出版)、共著に『対論! 生命誕生の謎』(集英社インターナショナル)などがある。

「2022年 『まだ見ぬ地球外生命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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