アベノミクスによろしく (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680140

作品紹介・あらすじ

アベノミクスによる実質GDPの伸びは民主党政権時代の3分の1! 異次元金融緩和の失敗や公的資金による株の買い支えなど、アベノミクスのトリックを、公式発表データを駆使してわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • もう5年もたっているのにアベノミクスがうまく機能していないことは殆どの国民が感じていることだ。
    これを各種のデータから読み取れるのが本書の便利なところ。
    「平成23年基準改定によるGDP統計の改定」によるGDP算出方法の変更があり、内閣府の説明では国際基準に合わせたというのだが、筆者の指摘どおり「名目GDP水準の改定状況のその他の要因」が意図的な数値操作に見える。
    科学論文のデータなら、あからさまな偽造データと指摘されそうなレベル。公的データであるが信ぴょう性に欠けると思わざるを得ない。今後発表されるGDPデータには注意しよう。
    なお、アベノミクスは失敗したので今後に起こる大混乱は覚悟して乗り切れという章は蛇足だ。
    あと、民主党との比較も多少目障りだ。淡々と、データをもとに検証してくれるだけでよかった。

  • 労務や消費者関連を扱う弁護士の視線で、統計情報を読み解き、実感のない経済成長であるアベノミクスの正体がいかに誤りで、どこまで欺瞞に満ちているのかを暴いた本。全部を鵜呑みにはできないものの、まあ圧倒的に権力を集約した長期政権ならば、この本の中で述べられている様々な粉飾や、強引な調整もあってもおかしくないと思えてしまう。弁護士らしく理路整然とした訴えなので、著者の言う通り、野党政治家先生たちも反対ばかりしていないで、是非このような切り口で問題を提起、解決へ向けての立法に勤しんで欲しい。

  • GDPのかさ上げの謎はそこまでやるのかと思ったが、それよりは年金の株式の買い支えをいつまで続けるのか、そっちの方が怖い。大暴落もあり得るのだろうか。

    残業代ゼロ法案も怖いね。政府がブラック企業を支援するようなもんだ。結局今の政権は経済界をおもんぱかってばかりで国民がどうなろうと知っちゃいないんだ。

  • 分かりやすい。このまま、覚醒剤漬けのようなアベノミクスを続ければ、金融破綻しか待っていないことは分かる。余程の神風が吹かない限り。要は、消費や投資といった資金需要をどう喚起するかであって、マーケットに湯水のようなお金をどう循環させるかなのだ。早急にそのアイディアを突き詰める必要がある。

  • 実質GDPの話しは、経済統計を見れば、一目でわかります。
    本当に不都合な情報は、マスメディアから発表されることはありません。
    だから、自分で一次情報を調べていくしかない。
    著者の功績は、「自分で調べると、多くの真実がわかる」ことだと思います。

    ついでに言及すると、実質GDPも確かに、日本のここ数年の悲惨ぶりを語っていますが、
    世帯所得を見てください。こっちの方が衝撃的です。
    94年前後は640万円の世帯所得がありました。
    20年経った今は、いくらだと思いますか?
    480万円です。この20年で2割世帯所得が減少しました。

    この数字には色んな解釈ができますが、
    平均的に日本人は、貧しくなったということは事実です。
    そして、これから、更に、貧しくなります。
    恐らく30年前後には、300万円台になる可能性も高いと思います。

    日本は今、人口減少、少子超高齢化、生産年齢人口の減少と、
    世界で類を見ない事態に陥っています。
    以前の国力を維持することは、もはやできません。

    しかし、アベノミクスの国家戦略を見ると、
    労働生産性をアメリカ並みにしようしています。
    なぜか?GDPの規模を維持するためです。国民の所得を上げることには、
    一切言及していません。なぜか、「できない」と政治家は、知っているからです。

    これから、ますます、仕事上での生産性を求められます。
    つまり、ストレスが増えます。
    しかし、給与は増えず、絶対的に減っていきます。

    もう誰でもわかっていると思いますが、日本人の少なくない人が、
    いくら頑張っても、豊かになれず、そして、貧しくなっていっています。
    そして、これが、かなり長期間に渡って続くであろう国が、今の日本です。

  • 読みやすいが、グラフを頻繁に参照しなくてはならなかったので、読むのはちょっと面倒に感じた。しかし、アベノミクスが世上言われているような成功を納めているわけではなく、破壊的方向に進んでいるということは確認できたように思う。

  • 2022/01/17

  • 図書館で経済の棚を見ると、「アベノミクスは失敗本」と「そんなことはないよ本」がいろいろと並べて置いてあって何が正しいのかよくわからない。なんかネット上のしょうもない論争を見てる気分になってくる。経済に詳しくもないのでどうしたものか。

    ただ庶民の暮らしがほんとうにひどくなってることは間違いないのでそこを擁護しているような本はまぁダメだろうくらいの基準で読んでみるかなぁと。

    この本はそれほど難しくないデータから政策を評価しているのでわかりやすいしバイアスやウソの入り込む余地は少ないと思う。さすがのアベちゃん大好きさんたちも重箱の隅をつつくしかないのでは。

  • 読了.
    アベノミクスのウソを暴く,と言う点において概ね理解&納得.
    しかし,社会保障費の増大を赤字の第一原因にしているあたりがなんともはや…
    まぁ社会保障費はこれから増大していくことは避けられないわけで…でもそこにこそしっかり光を当てなければ,この問題は根本的に解決しないわけだから,逆説にも思えるかもしれないが,しっかりとした社会保障と経済の底上げが必要,って事なんじゃないの?
    安心して産み育て,お金が使える世の中にしなきゃ,窮屈で希望のない社会は変えられない.

  • アベノミクス
    大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略
    日銀が民間銀行にお金を供給、金融緩和
    緩やかなインフレを起こそうとしている。
    2年以内に2%の物価 1.02×1.02
    法律の規制を緩め企業が儲かりやすい環境づくり
    実質金利をマイナスにする
    国債の9割は国内
    日銀が供給する通貨、マネタリーベース
    信用創造、借りたお金を貸すのを繰り返す
    預金が返ってくると信用しているがゆえ成り立つ
    マネタリーベース、60から70兆円ペースで増加、結果80兆円に。
    2013年138兆円、2017年445兆円
    アメリカ、2008年8800億ドル
    2015年4兆1700億ドル329兆円の増加
    アメリカの名目GDPは日本の3倍以上
    マネタリーベースとGDPの比
    日本80%、アメリカ19%
    故に異次元の金融緩和と言われている
    沢山買いだめしようとするから景気が良くなる
    マネタリーベースを増やしても景気は良くならない
    リフレーションはデフレーションから脱却し、インフレーションになる前の状態
    マイナス金利は不発
    3%の増税で2%の物価上昇、2014年
    円安のピークは2015年
    毎年2%ずつ上昇は不可能
    円安は必要なお金が増加する
    マネタリーベースを増やせば円安が進むと考えたのは投資家だけ
    円はユーロやドルに比べて安全だと思われている
    アベノミクスは民主党時代の3分の1しか実質GDPが伸びていない
    2014.2015年はリーマンショック時よりもGDPが下がった
    アベノミクス前よりも低下
    全く経済成長していない
    東日本大震災は民主党時代
    リーマンショックより被害が大きい
    しかしこれより酷い
    実質賃金が上下がった為。
    賃金が下がっても物価がもっと下がれば賃金は上がった事になる
    非正規労働者が増えたから消費が減少したわけではない
    エンゲル係数が急上昇している
    食べていくのがやっとの人が増えている
    物価の伸びに賃金の上昇が追いついていない
    賃金が3〜4%上がるのは不可能
    アベノミクスの失敗を隠すためにかさましが行われている
    2015年は8兆円もかさましされている
    日本の国家予算は300兆円
    成長率のかさましは年々増加する
    出なければ辻褄が合わない
    2020年を目標に名目GDPを600兆円上げる
    アベノミクスと雇用改善は関係性が薄い
    公共事業を増やしても若者が建設業に従事しないため雇用状況の改善につながらない
    雇用者は増加しているが働き手の数は減少している
    企業の倒産は減少している、年1万件前後
    男性の自殺率は女性の2倍以上
    アベノミクスは株価という人の目につきやすい部分の良さだけが強調されている
    ほとんどの人はアベノミクスの恩恵を受けていない
    第3の矢
    残業代ゼロ法案
    高度プロフェッショナル制度
    高度な専門家の残業代を0にする
    電通高橋まつりさんの死はなんの影響も与えなかった
    企画業務型裁量労働制
    業務を管理する人や営業マンの残業代が出ない
    都合の悪い事ほど抵抗が少なくなるために最初は抑えめにする
    規制緩和をするのが当たり前になってしまう
    止めることが出来ない
    家計の貯蓄率はかなり下がっている
    マイナスに入っている
    日銀総裁黒田東彦
    インフレで国民の財産を没収すれば借金は解消される

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著者プロフィール

弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。著書に『アベノミクスによろしく』『データが語る日本財政の未来』(集英社インターナショナル新書)など。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人。

「2023年 『データで見る日本経済の現在地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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