ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797673371

作品紹介・あらすじ

20世紀初頭の華やかなりしパリで人気随一の芸人となった元奴隷の黒人がいた。だが、芸は認められたが「人間」とは認められず、歴史から消え去った…。日本で公開の仏映画『ショコラ』の原作!

感想・レビュー・書評

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  • 映画になった本です。(まだ見ておりませんが)
    19世紀末の パリで 人気者になった
    元奴隷の黒人の お話です。
    芸は認められていたけど 本名を知られる事もなく
    ただ「ショコラ」と呼ばれていたそうです。

    この本の中には かなり 差別的な言葉が書かれていますが そのまま表記しています。
    不快になられる方もいらっしゃるとは 思うけど
    当時は こういう風に言われていたんですよね。

    侮辱する人々の言葉や行動が わざと ではないから余計に 受ける人達は 相手を憎めず つらかった事でしょう。

    長い本なので 
    途中読むのがしんどくなりましたが
    ロートレックが描いていたという事が 書かれてあって そお言えば、、、 このような ポスターを見たことがあったかも。。。。
    と 思いながら 読みました。

    彼が活躍した時代は チャップリンが子ども時代だったので もしかしたら チャップリンも ショコラの サーカスでの 舞台を見たかもしれなかったそうです。

    有名になった ショコラですが
    サーカスの時代が終わり 映画が娯楽の主流となり
    仕事がなくなって いったけど 病院への慰問などもやったりしたそうです。
    今では 病院へのクラウンの慰問は 当たり前のようですが 先駆者だったようです。

    長すぎる本ですので 映画を見てから 読んだ方が
    理解しやすいかもしれませんね。

  • ふむ

  • 名はラファエル、姓はない。スペイン統治下のキューバ・ハバナ
    で生まれ育ち、スペイン人商人に使用人として買われてヨーロッパ
    へ渡った少年は、時を経て19世紀末のパリで人気の道化師となった。

    その肌の色から付けられた芸名は「ショコラ」。そう、ラファエル
    の元の身分は黒人奴隷だった。

    歴史学者である著者は、若者が差別を巡る問題に関心が持てるような
    演劇作品を作ろうとした過程で1冊の子供向け絵本と出会う。

    『フティットとショコラの回想録』。この本と出合ったことが、
    著者がラファエルの足跡を追う長い長い旅の始まりとなった。

    ラファエルが生まれたキューバへ、その後に使用人として買われて
    行ったスペインの村へ足を運んだのは勿論、ラファエルが活躍した
    時代のサーカスの出し物の批評が掲載された新聞や雑誌、挿絵、
    ポスター、絵葉書、病院の記録等々。

    ありとあらゆる史料を渉猟し、歴史に埋もれてしまったラファエルの
    人生を蘇らせている。

    同時代のアメリカほどではないが、やはりパリにも黒人に対する偏見
    はあり、差別もあった。著者は古い時代の史料にあたりながら、その
    時代の差別的な表現に怒りを表し、ラファエルが演じたサーカスの出し
    物の内容を解説する場面のみ「ショコラ」の名前を記載しているが、
    それ以外では一貫してラファエルと表記しているところに好感が持てる。

    つぎはぎだらけの史料から、よくぞここまで一人の人間の足跡を追えた
    ものだと思う。本書では史料に基づいた推測部分もあるが、それさえも
    著者があくまでも推測であると断っている。

    きっと最初はエキゾチックな見世物として登場したであろうショコラ。
    だが、彼には道化師としての天性の才能があった。イギリス人道化師
    であるフティットとのデュオは人気を博し、またたくまにパリで人気
    者となったショコラ。

    しかし、人間としてのラファエルは奴隷であったことから生涯を閉じる
    まで国籍を持つこともなく、彼を支えた女性と正式に夫婦になることも
    なく20世紀初頭にこの世を去り、人々に笑いを提供した道化師の記憶は
    いつしか忘れされて行った。

    これぞ、歴史家の仕事だろうと思う。切れ切れの史料から過去を再現
    する為には、名探偵にならねばならないのだ。

    ラファエルの人生も興味深かったが、著者がラファエルの人生を肉付け
    していく過程が非常に面白かった。

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著者プロフィール

(Gérard Noiriel)
1950年フランス、ナンシー生まれ。社会科学高等研究院教授、専門は国民国家および移民現象の社会史。比較的貧しい家庭の出で、中学校教師としてロレーヌ地方の町ロンウィに赴任、鉄鋼労働者の運動に参加するなかで移民の重要性を見出す。製鉄所閉鎖反対闘争が組織されると、労働総同盟が設立したいわゆる自由ラジオ「ロンウィ・クール・ダシエ」に参加し、1984年には博士論文を元に書いた『ロンウィ、移民とプロレタリア』(フランス大学出版)を公刊。1980年代後半から90年代前半にかけて、大学教員に就任するとともに公共放送フランス3での移民関連番組の制作に参加。2000年代には、国立移民史博物館の設立に向けた運動の旗振り役の一人となり、開設にこぎつけるも、2007年の「移民およびナショナル・アイデンティティ省」の設立に抗議して同博物館の役職を辞任。この間の事情は『ナショナル・アイデンティティは何の役に立つのか?』(アゴーヌ社)に詳しい。『フランスという坩堝』以来の20年間の研究の集大成として『フランスにおける移民、反ユダヤ主義、人種差別』(ファヤール社)がある。

「2015年 『フランスという坩堝(るつぼ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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