日本でいちばん幸せな社員をつくる! "やさしさ"を大切にしたら、人も組織も生まれ変わった

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797384956

作品紹介・あらすじ

学歴も障害も不問、オールヌード経営、採用条件はやさしい気持ち──
「日本一幸せな従業員をつくる! 」というスローガンの元、
大赤字から会社も従業員の心も蘇らせた「日本一心温まるホテル」
元ホテルアソシア名古屋ターミナル総支配人・柴田秋雄の経営哲学。

はじめに なぜ、人へのやさしさを持てばうまくいくのか

第1 章 当たり前を見直す
第2 章 言葉で人を動かさない
第3 章 仕事と思うな、私事にしろ
第4 章 ホテルマンをつくるのではない、人間をつくる
おわりに 人を粗末にしない社会をつくりたい

感想・レビュー・書評

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  • 暖かみのある優しい内容である。柴田氏の語り口は自然体で見栄がなく、彼の懐の深さと人間愛を感じる。まず人に与えることで、相手の心を動かすことができるということを、本書は改めて教えてくれる。

    以下、本書よりお気に入りの箇所を抜粋。
    「経営がピンチだから人をケチる?逆だよ。ピンチだからこそ人に投資するんやないか」

    「従業員が経営者を見かけて「あ、社長」声をかけたときに、「ん?君は誰だっかな?」というのは最悪。従業員にとって、ちゃんと自分のことを見てもらえていない、覚えてもらえていないというのは一番ショックなことだ。名前を覚えて名前で話しかけるのは、僕のやるべき仕事なのである」

    「どんなに大人しくても、目立たない場所での仕事をしていても、自分のことを見ていてもらえているというのは働く喜びの原点だと僕は思う」

    「サービスも人間も、見えないところでどれだけ地道に「自分のできることは何だろうか」「自分はどんなふうに相手に喜んでもらえたら幸せななのか」を考え続けたかが問われるものだ」

    「こうしておけばクレームがないからというやり方で、果たしてそれでいいのだろうか」

    「どんな子も必ず芽が出る。どんなふうに芽が出るかは一人ひとり違う。それは本人すらわかってないことがほとんどだ。上に立つ人間が「必ず何かいいところが出てくる」と信じて、いろんな機会を与え続けることだ」

  • ”人間塾 2016年7月の特別編講師、柴田さんの新刊。7月30日の上映会&講演会&対談が楽しみ
    サブタイトルに「”やさしさ”を大切にしたら、人も組織も生まれ変わった」とあるように、本書を貫くテーマは「人へのやさしさ」。

    1994年から2010年にかけて、ホテルアソシア名古屋ターミナルで起きた変化は「奇跡」だと言われる。お客さまとの心温まるドラマの数々、名古屋での稼動率No.1達成、水害時の神対応、食中毒事件からの復活、多くのファンの集まった閉館セレモニー etc.

    すべて、「人へのやさしさ」を大切にしてきたからこそ起きたことだと柴田さんは言う。本当だろうか? それを確かめたい。

    <キーフレーズ>
    ・みんなが本当にしたいこと。求めていること。それは、生きていて、仕事をしていて「幸せ」だと感じられるような瞬間が一つでも多くあることじゃないのだろうか。(p.3)
    ・「一人もクビにしないリストラをする」(p.28)
    ★人への投資「ブラッシュアップ18」(p.35-)
     ※組織改革「スタート21」を始めるまでの18ヶ月に実施した研修。東京の一流ホテル現場を体験する宿泊研修。バンケットルーム、厨房の見学、ホテルマンと会話
     →負けていたのは、気持ち。理屈じゃない。実際に「感じる」ことが一番
    ★経営理念(p.51-52)
     「私たちはホテル事業を通じて お客様に親しまれ
      楽しさとやすらぎを感じていただけるよう
      心あたたまり彩りのる時間(とき)を創造します
      そして 自らをみがき 生き生きと活動することで
      すべての人々に貢献し
      社会から信頼される人間集団をめざします」
    ・毎年12月30日は(略)従業員とその家族のためだけのホテルに変身した(p.53)
     ※「すべての活力の源泉は人である」、「大きな家族」のような関係
    ★お互いが自分の利益をモノサシにするのではなく、「人を幸せにする」というモノサシを持てば、経営側だろうが従業員だろうが、向かっていく先は同じじゃないか。(p.66)
     ※「人を幸せにする」というモノサシ! 向かっていくべきはそれを実現するための課題そのもの。
    ・本当に一人ひとりをちゃんと見て、その従業員のためだけに言葉をかけられるかどうかだ。(p.76)
    ・うちは「従業員は家族」なんだから、うちの子たちに人間として成長してほしいと願うのは当然だ。(略)常々、そう思っていたら、ひょんなことからホテルの中に学校をつくればいいじゃないかということになった。(p.85)
     ※「いい人」と「いい人間」は似ているけれど違う。
    ★アソシアおもしろ学校(p.88)
     毎月第3金曜日19時開校。(略)どうやって一人ひとりが、いい人間になれるか。人間としてのやさしさ、本当の賢さをいかに身につけるか。そのための勉強をする場だ。
    ・大人になった人間を誰が、さらにもっと人間として伸ばすのか。それは会社の責任ではないのか。学ぶ喜びを知り、人間としての成長ができ、人間に対する本当のやさしさを身につけることでより輝ける生き方ができるようになれば、それはその人間だけでなく世の中のためにもなることだ。(p.89)
    ・「仕事だから」でやっているんじゃなく、「その仕事が本当に好きでやってる」のが傍目にも伝わってくるような子かどうかを見てる。(p.100)
     ※ガソリンスタンドのアルバイトの女性を引き抜き! しかも店長さんに声をかけて真正面から!!
    ★一人の人間として、ホテルマンとして「人へのやさしさ」を前面に出してできること、やりたいことをやってお客様に喜んでもらい評価されるようになってきたことだ、みんなが自信を取り戻した。(p.105)
    ・コーヒーを飲みに来るのではなく、そんな従業員がいる場所に来て癒やされたり元気をもらって、そのついでにコーヒーを飲んだり食事をする。そして帰るときには、気持ちが満たされて「また来るね」と言って手を振り合う。そんな姿の中に、真実があり、本当の人間の姿があると僕は思ってるんだ。(p.114)
    ・単なる「仕事」ではなく、自分の思いの入った”私事”に変わっていったのである。(p.120)
    ・「GM、通告します! 全従業員の給与の10%引き下げを提案します。これで会社を黒字にしてください!」(p.158)
     ※労働組合委員長からの言葉。2001年度、生まれ変わった1年目をどうしても黒字化にするために…。 → 結果的に、提案を受け入れ。10%の賃下げ文を2年間で5%ずつ賃上げして返すことを条件に。
    ★「いい会社かどうかは、従業員たちが、今よりもいい未来を信じられるかどうか」(p.160)
     ※この仲間といたら、今より絶対にいい未来がある。そう信じられる場所かどうか。
    ・相手のことを「お客様」だと思っているうちは、本当のさ?ビスはまだできないのではないか。(p.170)
    ・無条件に仲間を受け入れられる「家族」のような存在の場をつくるための、3つの「信じる」(p.190-)
     1.いろんな枠を壊して「人間として正しいこと」をやろうとしている従業員を信じる
     2.どんな子も必ず芽が出る → ※本気で自分を信じてくれている人間がいると感じられれば、人は変わることができる
     3.自分を信じる。上に立つ人間が自分自身のことを信じられているかどうか。

    <きっかけ>
    ・人間塾で紹介のあった3冊のなかから、おすすめの新刊を。”

  • 柴田氏は元ホテルアソシア名古屋ターミナルホテルの総支配人です。

    30年ほど国鉄に勤められたのち、1994年に販売促進部次長としてホテル部門に異動されます。

    4期連続で赤字だったホテルの売上を7期連続の黒字にし、同時に従業員満足度の上昇に大きく貢献されます。


    本書の副題は「"やさしさ"を大切にしたら人も組織も生まれ変わった」。

    厳しい経営状況にあったホテルを、柴田氏がどのようにして再建されたかが本書で紹介されています。

    その根本にあるのが「人の心をわかろうとするやさしさ」だといいます。


    再建に取り掛かろうとした柴田氏は、社内の人員整理のときに「一人もクビにしないリストラをする」と決めます。

    そして、全社員150人ひとりひとりと繰り返し面談をおこない、従業員がどうすれば幸せになるのかを考え続けたそうです。

    全員の名前を覚え、ひとりひとりの良いところを見つけて、「よく頑張っているね」と声をかける柴田氏の姿勢に影響を受け、徐々に従業員たちのモチベーションは上がっていきます。

    元気を取り戻した従業員たちは、どうしたらお客様に喜んでもらえるかを自発的に考えはじめます。

    そして、既存のホテル業界の常識やマニュアルにとらわれない創意工夫に富んだサービスを次々に展開していきます。


    柴田氏が一貫して大切にされていることが「すべての源泉は人である」ということです。

    お客様を喜ばせようと新しい取り組みにチャレンジする従業員をまず自分が信用するから、従業員も「総支配人は本気で自分のことを信じてくれている」と感じ、楽しみながら仕事をするようになるのだそうです。

    そして、ホテルにおけるお客様へのサービスも、働いている従業員が日々幸せを感じていれば自然と出てくるものだといいます。


    "やさしさ"という言葉はいろいろな意味を持っているかと思います。

    私は本書を読んで、相手が従業員であれお客様であれ、「どうやったら目の前の人が幸せを感じられるか」と相手の理解に努める姿勢が、お互いの信頼を深めるうえで大切なのだと感じました。

    ただ単にやさしくすればいいというものではなく、相手が自然と行動を起こしたくなるような働きかけをするという"やさしさ"は、心から相手に興味関心を寄せるからこそ伝わるのだなと、柴田氏のメッセージから学びました。

    私もメンターの指導があってこそ今の自分があり、ともに経営を学ぶ仲間たちは本当の家族のように思っています。

    すべていろんな人とのご縁でつながっていて、たくさんの人に支えられているのだと感じます。

    「義理人情を大切にする」と教わってきたことをこれからも肝に銘じます。

    そして、何よりもまず私自身が「人」の持つ可能性を信じて、一緒に楽しみながら成果をつくっていきます。

  • 従業員を「うちの子」って呼ぶのすごいな…。

    【読んだ目的・理由】仕事で
    【入手経路】借りた
    【詳細評価】☆2.8
    【一番好きな表現】
    給料のために仕方なく仕事している人と、その仕事が本当に好きでやっている人の仕事ぶりは明らかに違う。(本文より引用)

  • 国鉄の労働組合出身。信念が違うんだろうなー。言葉だけじゃどうにもならんもんな。本も良いが、映画観たくなるな。

  • 20160221 今の日本に足りない事を教えてくれる本。素直に共感できる人が多ければまだ日本も大丈夫だと思う。ある面、生き方のアドバイスでもある。嫌な事があった時の薬にも良さそう。

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著者プロフィール

昭和17年岐阜県中津川市生まれ、岐阜県立岩村高校卒業後、昭和36年4月国鉄に就職、31歳で当時の鉄道労働組合名古屋地方本部の専従役員となる。平成4年からJR連合の事務局長。平成6年に名古屋ターミナルホテルの販売促進部次長に転身。その後平成10年総務部担当部長、12年取締役総支配人、15年常務取締役総支配人、17年代表取締役専務総支配人に就任する。この間4期赤字のホテルを7期連続黒字のホテルに再生した。現在は、一般社団法人アソシア志友館を設立。理事長として、講演やイベント企画、執筆などを通して、絆や優しさ、ぬくもり溢れる社会を目指して活動を展開中。著書に『柴田秋雄のホテル再生物語』(中日新聞社)、『日本でいちばん心温まるホテルであった奇跡の物語』(SBクリエイティブ)がある。

「2016年 『日本でいちばん幸せな社員をつくる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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