東京漂流

著者 :
  • ゆびさし
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本棚登録 : 51
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795801721

感想・レビュー・書評

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  • 何度読んだか知れない。時代にメスを入れ切り裂いた、私の運命の書。初めて読んだ時の衝撃が遜色なく甦る。上梓から30年以上の年月が経過したというのに、なんということだろう。著者が全身を刃に研ぎ澄ませ、返り血を浴びながら提示した日本の現状は、なんら解決の糸口も見いだせずにいる。ますます無機質で潔癖症の社会の壁に押し潰されてまともに息すらできない。東京漂流はずっと続いている。むしろとっとと古びてしまえばいいんだ。それこそが、藤原新也が東京漂流を記した時の希望であったはずであると。

  • 一言で言うと、「同じ匂いがする」。もう30年前なのに、今でも新しい。

    いくつか、拾ってみると、
    アフリカへの募金、反核運動など、異論がないがゆえにやるせない、という。こういう「無償の行為」によって「良心」の飢渇に潤いを与え、しかも募金によって「良心の王座」を買い取ることができる。
    中流階級の幸福度をもたらすものとして、フランスパン、ブランデー、レギュラーコーヒーが挙げられていた。
    フランスパン-反核運動
    ブランデー-日本国憲法読書運動
    レギュラーコーヒー-ボランティア

    「善行主義」は、時として「魔女狩り」を生む。
    価値判断の座標を失った人々が選び取れるものがあるとすれば、単純で観念的な方向、つまり、「絶対善」「絶対悪」に対する、盲目的な信仰と排そである。

  • いやはや、激烈であった。灰汁が強い。
    当時80年代の事件(通り魔、金属バット事件等等)についての言及が頻繁にでてくるのだが、生まれる前だったこともあり、その事件たちがどの程度のセンセーショナルな事件であったのが、なかなか想像できなかった。ぼんやりと著者がいうことを感じていた。
    中に、マンザイについての部分もある。マンザイをみて全日本人が呆けているという内容なのだが、ひょんなことから、ツービートのマンザイを動画サイトでみてみた。あったあった、たけしは当時こんな風刺もののマンザイをやっていたのか、通り魔、金属バット事件をれをネタにする、観客が沸く(現在では絶対に考えられない、風刺ネタ)このマンザイを見、当時の雰囲気を感じ、やっと少し本書の空気感がわかったような気がした。

  • 11/4 アジアを放浪した著者の見た都市、現代人の荒廃

    ※1991年再読

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著者プロフィール

1944年福岡県生まれ。『印度放浪』『全東洋街道』『東京漂流』『メメント・モリ』『黄泉の犬』『日本浄土』『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』『死ぬな生きろ』『書行無常』『なみだふるはな』など。

「2022年 『若き日に薔薇を摘め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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