ありのままがあるところ

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794971630

作品紹介・あらすじ

できないことは、しなくていい。
世界から注目を集める知的障がい者施設「しょうぶ学園」の考え方とは。

しょうぶ学園。そこは心が自分でいられる場所。
生きるということが誰にとっても意味があり素晴らしいと気づかされる場所。
そこに居る人も、訪ねる人もみんなそう思える場所。
――皆川明(デザイナー/ミナペルホネン)

鹿児島県にある「しょうぶ学園」は1973年に誕生した、知的障がいや
精神障がいのある方が集まり、暮らしている複合型の福祉施設。
どのような歩みを経て、クラフトやアート作品、音楽活動が国内外で
高く評価される現在の姿に至ったのか。

人が真に能力を発揮し、のびのびと過ごすために必要なこととは?
改めて「本来の生きる姿」とは何かを問い直す。

その人にとって楽しいことなら、ずっとできる。

ここにいると、当たり前が逆転するんです。

僕は僕でしかないのに何を変われというのだろう。

【目次】
第1章:心ここにあらざれば見て見えず

木くずになるまで彫る
しょうぶ学園で働きはじめた理由
できないことができるようになるとは?
固く縫い上げられた布
傷跡が装飾に見え始める
「五〇歳を過ぎれば誰も相手にしない」(他)

第2章:できないことはしなくていい

雨の日のふたつの出来事
選べることと迷うこと
相手に寄せず引かず自分を保つ
できることからの発想――教えないということ
私が私を愛する――I LOVE ME.(他)

第3章:「今・ここ」でかなう自己実現と自己満足

健常者の知恵の特徴を自覚する
彼らのしきたりを尊重する
音パフォーマンスotto&orabuの誕生
共鳴する不揃いな音があった
自分をさらけ出す試み(他)

第4章:人が生まれ、生きているということ

時の流れと見えない世界
コミュニティーの中に共存する+特別な居場所をつくる
間違えたら進路を変える
自分そのものとして生きる姿を知らせる
たった今の充足
世の中に合わせるということ(他)

おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 自分の価値基準を押し付けない、
    相手がどんなことを考えているのか言葉や行動から、そしてこれまでの経験と傾向から考え、より良い環境を作り上げていった福森さんの「しょうぶ学園」。
    いつか必ず訪れてみたい。

  • ノーマルに近づくことが、障害のある人にとって本当に良いことなのか?
    ふと、糸賀一雄氏の「この子らを世の光に」という言葉を想起した。彼らの行為には偽りがなく、その一途で純粋な無心さは、我々が理想を求めすぎて見失いつつあるものなのだと思う。

  • "私たちは数えきれないほどの情報を知らないと自由な選択は行えないし、幸福につながらないと思っている。そこで、これでもかこれでもかと新しいことや新しいものを生み出していくのだが、彼らは、自分がすでに持ち合わせている情報だけを頼りに生きている。メニューに迷わずサッと適当に指差すというプリミティブな感覚でいられる姿を見ると、人が生きていく上で必要なものはそれくらいでいいのではないかと思わされる。"(p.97)

  • 声の大きい人が信じている「正しいこと」を全員一丸となってなぞるのは、もうおしまい。言うこと聞かなくたっていい。聞かなくたっていいんだ!

  • しょうぶ園は、鹿児島県にある知的障がい者支援施設で、アート制作事業に取り組まれている。

    木を彫ってもらったら、すべて木屑になっていて途方に暮れた。
    でも、木屑になるまで、途方もない時間をかけて削り続けられるのだ。
    それをアートに見立てるのは健常者の仕事。

    大好きなエピソード。

    私たちは色んなことをすぐに手に入れられる。なのになぜか自信が持てないし、全然自由ではない。むしろ生きづらさを抱えている人は増えている。

    "それが私たちの姿なのだとすれば、いったいどちらが障がいを持っているのだろうか。"

  • 正しさを求めてしまう自分を見つめ直しながら読んだ。障がい者の違いを認めケアをするというと素晴らしいことに聞こえるが、「健常者」のエゴな気もしてしまう。はたして「ケア」で良いのか。障がいに限らず、人との違いに、どのように向き合えば良いのかと考えさせられた。
    この施設は成功例の様に見えるが、常に同じ方法で正解というわけにはいかないだろう。自分の生き方について答えは出ないが、新しい考え方で面白かった。

  • 作者が大切にされている支援者としての在り方を感じた。機会があれば訪れてみたい。

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000940741

  • だれかの「生きづらさ」に目を向ける40冊

    所蔵状況の確認はこちらから↓
    https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001010143

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著者プロフィール

福森伸(ふくもり・しん)
1959年鹿児島県生まれ。知的障がい者支援施設しょうぶ学園統括施設長。
1983年より「しょうぶ学園」に勤務。木材工芸デザインを独学し、「工房しょうぶ」を設立。
特に2000年頃より縫うことにこだわってプロデュースした「nui project」は、
国内外で作品が高く評価されている。また、音パフォーマンス「otto&orabu」
・家具プロジェクト・食空間コーディネートなど「衣食住+コミュニケーション」
をコンセプトに、工芸・芸術・音楽等、新しい「SHOBU STYLE」として、
知的障がいをもつ人のさまざまな表現活動を通じて多岐にわたる社会とのコミュニ
ケート活動をプロデュースしている。

「2019年 『ありのままがあるところ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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