- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794970732
作品紹介・あらすじ
【方向音痴でないあの人は、地図から何を読み取っているのか】
タモリ倶楽部、アウト×デラックス等でもおなじみ、
実在しない架空の都市の地図(空想地図)を描き続ける鬼才「地理人」が、
誰もが地図を感覚的に把握できるようになる技術をわかりやすく丁寧に紹介。
【オールカラー図解】
【地図感覚の例】
1◉地図上で色が濃くなっているところには人が多く集まる。
2◉同様に色が薄いところから、濃いところへ人は移動する。
3◉大きさが同じもので比較する(小学校は100〜150m四方、東京ドームは217m四方)。
地図に散らばるあらゆる情報をキャッチする方法を
日本全国の特徴的な地域を図説しながら伝える。
地図から読み解く、都市の生態学。
感想・レビュー・書評
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通称「地理人」の今和泉隆行さんが書かれた、地図感覚について書かれた本。
「地図感覚」とは一体なんだ?となりますが、著者の造語で、潜在的に持っている地理感覚、土地勘、経験を地図から引き出して読み解く感覚のことだそうです。
地図を見ただけで、その地域の都市の規模、街並みなどが想像できるそうです。
地図が読めなくて……という方もいるでしょう。地図そのものの情報が多層化して一見ではわからないかもしれない。そんな情報を1つずつ分けて読み解くためのヒントがたくさんあります。
今、ネットで見られるGoogle Map やYahoo!地図、マピオン地図、紙地図の地形図、都市地図、住宅地図などそれぞれの得意分野などの説明も詳しいです。
また、都市部と郊外の小学校、中学校の大きさは、だいたい一定の面積となっているので、それを基準に地図を見るなど、なるほどと思ったこともたくさんあります。
各章でも、地図から都市を読み解くヒントがたくさんあります。
特に興味を持ったのが、7章の、都市の発達と成長のところ。
古くから賑わっていた中心地である旧市街と、明治期以降、鉄道がひかれ、駅ができて発達した新市街。
旧市街と新市街の距離、地形、開発可能な土地などの違いで異なるタイプの都市ができるのだなあと感じました。
個人的には、駅=いちばん栄えている中心地だとぼんやり思っていましたが、この本の例にあげられていた熊本市などのように、駅はあくまで他地区からアクセスする玄関で、中心市街地は古くからの街にあるというところも少なくないのだなあと知りました。
本を見ながら、なんとなく感じていたことを明確に言葉で説明してもらったようで、なるほどと思うところがたくさんありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国土地理院の地形図、都市地図、グーグルマップなども目的に応じて使い分けるとよい。
・目的地に行くためのルート捜しにはグーグルマップやヤフー地図。そのために地の色が薄くなっている。
・街の雰囲気をつかむのは都市地図。建物名やビルの大きさも色分けされていて、目的以外のものも目にはいるのがよい。
・国土地理院の地形図は2013年から建物は赤で描かれ、等高線があり、畑や果樹園などの土地利用も地図記号で描かれていて、山間僻地までくまなくカバーされている。
・駅前が賑わうとは限らない
熊本などは城を中心にすでに江戸時代から街があって、駅はそのはずれに通った。宇都宮などもそうで、けっこうこういう都市は全国にあるのかも。
・池袋は駅を中心に両側にデパートと商店街が固まるが、駅ができるまでは農地が広がっていた。
・街の重心は移動することもある。駅ができることで駅から離れた旧市街から駅中心の市街地に重心が移動する。秋田、長野、松本、松江など。
・重心が移らない街。熊本、八戸、山口、高知、宮崎。
・都市の人口が賑わいを決める
都市規模 :中心市街地 :郊外大型モール
・人口20万未満: < それまでの市街地を越える商業施設が登場し、街を代替する。
・人口20-40万: =都市によっては市街地の集客力を凌駕し互角の戦いとなる
・人口40-100万:大型モールにひけをとらない店舗がある
>郊外大型モールは脅威とはなるが、中心商店街と棲み分け共存する
・人口100万以上:県外からも集客し郊外モールより集客力は強い >複数の大型モールが進出するが中心市街地と棲み分け共存する。
2019.3.20初版 2019.4.30第2刷 図書館 -
「地図感覚」とは、人が潜在的に持っている
地理感覚や土地勘、経験を引き出して地図を
読み解く感覚であると著者は言います。
要は地図を見て細い道路が碁盤の様に張り
巡らされていたら「京都のような歴史のある
街かな?」
大きなバイパスのような道路であっても、
道路沿いに何も無いと「最近開通したばかり
の道路かな?」
と誰もが思うはずです。
そんな地図を見ていて得られる情報をもとに
導き出される都市や、街の姿、街の歴史を
考察する一冊です。 -
紙地図よりも電子地図への馴染みが深くなった現代。
ここで紹介されている地図の読み解き方を実際に活用する場面というのは、おそらくそう多くはない。
しかし基本的な読み方は知っておいたほうが便利だし、
道路形状などから地形や街の盛衰を推し量るというのはロマンがある。 -
好きなテーマなので興味を持って読めた。地図感覚は慣れることで会得するものだと思っていたがコツがわかれば短期間でも身につけられそうな気がしてきた。緩急というか生真面目じゃないコンテンツが少し欲しかった
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地図を見ていると、道路や住宅配置、地名、
また地図の種類によっても情報の取捨選択により、
その土地が見えてくるとのこと。
なるほど、新しい切り口だ。
どのように都市形成されていくかの過程が
歩くよりも地図から見えてくるところがなんだか面白い。
でも、いろんな発展タイプがあり、
そのタイプを見極めるにはなかなか熟練度が必要そうだ。 -
前半なかなか面白みを見出せなかったけど、後半になってグイグイと引き寄せられた。
内容としては、まさにタイトル通り、地図感覚というか、地図から周囲の状況を読み解く力をつけるための見方の例をあげてくれている内容で楽しめた。
例えば、
・人口密度が一定以上だと鉄道などでの移動が中心になり車は逆に使いづらいが、一定以下だと中心地以外は車が必要になるような話
・傾斜の有無と道路の曲がり具合の関係
・大型ショッピングモールと既存店の関係
・新市街と旧市街の強弱
・集約されている佐世保のような街とある程度分散している佐賀のような街のそれぞれの良さや懸念
などなど。
そういう見方ができるのか、と勉強になった。
多分住処を考える時にも参考になる部分がありそう。 -
地理好きやまちづくりが好きな人は必見。一概に地図と言っても様々ある。1つの地図からでも読み取れる情報は一つではないし様々な解釈が出来ることを示唆している。