誰でもない (韓国文学のオクリモノ)

  • 晶文社
3.87
  • (11)
  • (15)
  • (11)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 210
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969873

作品紹介・あらすじ

それが必要だった。
すべてのものが消えてゆくこのときに。
暗闇を水平線で分ける
明かりのようなものが――

デビュー以来、作品を発表するごとに注目を集め、
「現在、最も期待される作家」として挙げられることが多い
ファン・ジョンウンが、2016年末に発表した最新の短編集。
恋人をなくした老婦人や
非正規労働で未来に希望を見出だせない若者など、
“今”をかろうじて生きる人々の切なく、
まがまがしいまでの日常を、
圧倒的な筆致で描いた8つの物語。

★いま最も期待される韓国文学の〈新しい顔〉ファン・ジョンウン、待望の初邦訳!

★「人間をつまらないものと見なす社会全体の雰囲気を目撃することは、どうにも、わびしい」――ファン・ジョンウン

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ドキドキしてる、わわわわわーって叫びたい。『誰でもない』の最後の「わらわい」は怖かった。怖すぎて叫びたくなった。ずーっと笑ってる顔なんやから仕方ない? 加速して狂気へ向かっていく。怖すぎる。
    好きだったのは「上京」「ミョンシル」「誰が」です。前にも言ったけれど、チママンダ・ンゴディ・アディーチェの『なにかが首のまわりに』と同じにおいのするところが所々ある。このファン・ジョンウン作家のもっと短篇を読んでみたいです。

  • 八つの短編集。現在を生きるのに辛い経験をしている人を描く。「ミョンシル」がよかったな。亡くなったシリーの蔵書で埋まった部屋でシリーの思い出を万年筆で書こうとする老女。

  • 「現在、最も期待される作家」といわれる韓国人作家ファン・ジョンウン氏の短編集。国が違うという意味において、読者であるわたしとは別の世界に暮らしているはずの作者が描く物語は、日本のあちこちに通じるものがあった。(唐辛子摘みに行くとか、文化の違いはもちろんあったけど)人と人との距離感が、たとえばアメリカのドラマでみるものよりずっと、日本に近しい感じがした。
    引っ越した先のアパートで騒いでいるひとたち、百貨店の布団用品売り場でいちゃもんをつける人たち、スマートフォンに目を落とし鞄があたると睨んでくるエスカレーターの人たち…読んでいると気が滅入る、反面、そこをみている人がいることに、妙な救いがある。

  • ヤッバイ。最初の2編はツラくて仕方なかったが、後半3編は吐きそうになった(むちゃくちゃほめてる)。
    見えているのに、見えないふり(なんなら少し隠そうと埋め気味)をしていることーー貧困、年老いた親、整備が行き届かない下水、中流意識ーーなんかを、丁寧に掘り起こしほら最初からそこにありますよ!?見えてないですか?嘘、わかってましたよね見えてましたよね?ていってるみたいな、でも責められているわけでなくあくまでもフラットな陳列で、だから余計にシコリが残る。そんなオソロシイ短編集ですわ。

  • 2023.02.11 朝活読書サロンで紹介を受ける。韓国文学。韓国文学を理解するには背景が分かる必要らしい。

  • https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00003002/index.html
    豆腐のつけ焼き

    「上京」と「ヤンの未来」だけ読んだ。それ以上別の短編を読み続ける気にならず、表紙を見るとそれまで気付かなかった傘に気づいた。

  • なんか痛い

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50134424

  • 2021 #8

    訳者あとがきで文芸評論家のシン・ヒョンチョルによる言葉の引用がある「この作家はあたかも猛獣がえものに狙いを定め、ひとしきり目で追ったあと、たった一撃でしとめて引き倒すように、書く。」

    原文を読んでいないので、訳者による文を通しての印象になるけど攻撃的な文章だった。棘みたいなものがチクチクしていて読んでいて痛くなった。ディディの傘では正直読みながら泣いたし読むのに時間がかかったけど、本作はそこまでではなかった。


    ---メモ---


    P58 あの日の光を肌に浴びられる時間は一日のうち三十分にも満たないんだと私は気づいた。お日様をいちばん楽しめるときも私はここにおり、そんなふうにして時はすっかり過ぎてしまうのだろう。恋なんか二度とできないかもしれない。そんな機会はもう、想像することもできなかった。
    P232 尊い人は誰にもバカにされないわ。自分自身を尊べない人が、とことんバカにされるのよ。

  • 自分はそういう「階級」なんだと思い知らされる。
    不思議なくらい違和感なく共感する。
    日本もきっと同じだから。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年生まれ。2005年、短編「マザー」でデビュー。08年に短編集『七時三十二分 象列車』を発表。10年、『百の影』で韓国日報文学賞、12年、『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年、短編「誰が」で李孝石文学賞、15年、『続けてみます』で大山文学賞、17年、中編「笑う男」で金裕貞文学賞、『ディディの傘』で五・一八文学賞と萬海文学賞など数々の文学賞を受賞している。邦訳された作品に『誰でもない』(斎藤真理子訳、晶文社)、『野蛮なアリスさん』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『ディディの傘』(斎藤真理子訳、亜紀書房)、『続けてみます』(オ・ヨンア訳、晶文社)、『年年歳歳』(斎藤真理子訳、河出書房新社)がある。

「2023年 『百の影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ファン・ジョンウンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×