- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794969873
作品紹介・あらすじ
それが必要だった。
すべてのものが消えてゆくこのときに。
暗闇を水平線で分ける
明かりのようなものが――
デビュー以来、作品を発表するごとに注目を集め、
「現在、最も期待される作家」として挙げられることが多い
ファン・ジョンウンが、2016年末に発表した最新の短編集。
恋人をなくした老婦人や
非正規労働で未来に希望を見出だせない若者など、
“今”をかろうじて生きる人々の切なく、
まがまがしいまでの日常を、
圧倒的な筆致で描いた8つの物語。
★いま最も期待される韓国文学の〈新しい顔〉ファン・ジョンウン、待望の初邦訳!
★「人間をつまらないものと見なす社会全体の雰囲気を目撃することは、どうにも、わびしい」――ファン・ジョンウン
感想・レビュー・書評
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ドキドキしてる、わわわわわーって叫びたい。『誰でもない』の最後の「わらわい」は怖かった。怖すぎて叫びたくなった。ずーっと笑ってる顔なんやから仕方ない? 加速して狂気へ向かっていく。怖すぎる。
好きだったのは「上京」「ミョンシル」「誰が」です。前にも言ったけれど、チママンダ・ンゴディ・アディーチェの『なにかが首のまわりに』と同じにおいのするところが所々ある。このファン・ジョンウン作家のもっと短篇を読んでみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
八つの短編集。現在を生きるのに辛い経験をしている人を描く。「ミョンシル」がよかったな。亡くなったシリーの蔵書で埋まった部屋でシリーの思い出を万年筆で書こうとする老女。
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「現在、最も期待される作家」といわれる韓国人作家ファン・ジョンウン氏の短編集。国が違うという意味において、読者であるわたしとは別の世界に暮らしているはずの作者が描く物語は、日本のあちこちに通じるものがあった。(唐辛子摘みに行くとか、文化の違いはもちろんあったけど)人と人との距離感が、たとえばアメリカのドラマでみるものよりずっと、日本に近しい感じがした。
引っ越した先のアパートで騒いでいるひとたち、百貨店の布団用品売り場でいちゃもんをつける人たち、スマートフォンに目を落とし鞄があたると睨んでくるエスカレーターの人たち…読んでいると気が滅入る、反面、そこをみている人がいることに、妙な救いがある。 -
ヤッバイ。最初の2編はツラくて仕方なかったが、後半3編は吐きそうになった(むちゃくちゃほめてる)。
見えているのに、見えないふり(なんなら少し隠そうと埋め気味)をしていることーー貧困、年老いた親、整備が行き届かない下水、中流意識ーーなんかを、丁寧に掘り起こしほら最初からそこにありますよ!?見えてないですか?嘘、わかってましたよね見えてましたよね?ていってるみたいな、でも責められているわけでなくあくまでもフラットな陳列で、だから余計にシコリが残る。そんなオソロシイ短編集ですわ。 -
https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00003002/index.html
豆腐のつけ焼き
「上京」と「ヤンの未来」だけ読んだ。それ以上別の短編を読み続ける気にならず、表紙を見るとそれまで気付かなかった傘に気づいた。 -
なんか痛い
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50134424 -
2021 #8
訳者あとがきで文芸評論家のシン・ヒョンチョルによる言葉の引用がある「この作家はあたかも猛獣がえものに狙いを定め、ひとしきり目で追ったあと、たった一撃でしとめて引き倒すように、書く。」
原文を読んでいないので、訳者による文を通しての印象になるけど攻撃的な文章だった。棘みたいなものがチクチクしていて読んでいて痛くなった。ディディの傘では正直読みながら泣いたし読むのに時間がかかったけど、本作はそこまでではなかった。
---メモ---
P58 あの日の光を肌に浴びられる時間は一日のうち三十分にも満たないんだと私は気づいた。お日様をいちばん楽しめるときも私はここにおり、そんなふうにして時はすっかり過ぎてしまうのだろう。恋なんか二度とできないかもしれない。そんな機会はもう、想像することもできなかった。
P232 尊い人は誰にもバカにされないわ。自分自身を尊べない人が、とことんバカにされるのよ。 -
自分はそういう「階級」なんだと思い知らされる。
不思議なくらい違和感なく共感する。
日本もきっと同じだから。