- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794969583
作品紹介・あらすじ
私たちの生活(くらし)は柔らかな戦場だった――。
貧困、暴力、存在の否定。虐待的ともいえる過酷な家庭環境に育った10歳の少女は、
突如母と妹と三人で野宿しながらの日本一周をすることになった。
過酷な日々のなかで、少女は自らの進むべき道を見出していくことができるだろうか。自伝的ノンフィクション・ノベル。
襲い掛かる様々な困難に立ち向かうサバイバルの日々を経て、
成長した彼女の姿にとても勇気づけられる一冊。
――わたしたち、また生きて会おうね。
【読者からの感想続々!】
「登場人物が人とかかわることによって成長していき、私もこんな風に人とか
かわっていき、成長できたらいいなと思いました。
――ラストは衝撃を受けました」
(14歳:女性)
「私はこの本を読むまで、自分も家庭内暴力を受けていたのに、忘れていたな、
と思いました。忘れていたというのとは違うかもしれません。自分の育ってき
た環境が、暴力だとも思ってなかったです。
まわりの友人も、親や兄弟から殴られていて、そういう生活や育ちがあたりま
えっていうか。暴力をふるわれていたとか、社会問題だとか思ってない人が多くて。
人の目を通して状況を見ることで、「ああ、あれは暴力だったんだ」って思いました。
親に殴られて育つと、大人になってからも気づかないままにその影響が出て、
人にうまく頼れなかったり、自分を卑下してしまったり、パートナーとの関係
でまた苦しんでいる人も多い気がします。何が悪かったのかわからなくて、言
葉にできないけどもやもやと苦しんでいる人もいます。
自分の立ち位置や過去を認識してしまう辛さはあるけど、そういう人が読んで
みるといいのかもしれないと思います」
(26歳:女性)
「家族の習慣とか、考えとか、暴力だとかどうしようもない部分は、意に反し
てじっとり染み付いていく。家族の持つ負の影響に対して抗おうとしないと、
嫌な形で、脈々と続いてしまう。
家族って、いいことだけじゃなくて、嫌なことも引き継がれていく。母娘の物
語として多くの女性が共感できることだと思いました」
(35歳:女性)
「この人が見てきた景色、乗り越えてきた日々が剥き出しの言葉で描かれてい
た。そこには”普通”や”当たり前”の向こう側にある決してなくすことのできないものがあった。
それは、正しさなんてものを越えた”生きる”ということだ。心の弱さがあっ
たから、自業自得だなんて言葉では決して流せない力強い生。その力強さは、
きっと読む人の心にも伝播するのだろう。僕の心にも、確かな手触りとともに
ずっと残り続けるのだろう」
(29歳:男性 書店員)
感想・レビュー・書評
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HONZの「2017年 今年の1冊」に載っていたのを見て、今さらながら読了しました。
貧困と暴力の家庭環境に育った10歳の少女が、母、妹とともに野宿しながら日本を一周するという話で、すごい設定だなぁと思ったら、著者の自伝(的)小説とのこと。まさに、事実は小説より奇なり。
読了した感想としては、まず家庭内暴力という逃げ場のないパワハラの恐ろしさ、ままならなさを感じました。
仮に物理的な暴力が振るわれなかったとしても、親から棘のある振る舞いや言葉をぶつけられて、戸惑い、それでも親についていこうとする子どもの姿が描かれていて、精神的な繋がりがあるがゆえに逃れられないって辛いんだなぁと。
自分のコトを振り返って、親として子どもに接する意識を改めてしっかり持たないといけないとも反省。
読んでいてちょっと辛いのは、本著に通貫する冷笑的なトーン。
「自分の思いや苦労なんて、誰もわかってくれない」という(ちょっと上から目線感もある)スタンスが透けていて、確かに凄い苦労をしてきたのだけど、その気持ちをアウトプットすること自体の辛さ、しんどさに思いを馳せてしまいます。
また、その一方で、本著の一人称は章によって主人公だったり、母だったり、妹だったりするのですが、とにかく主人公と周囲との関係性が軸になっていて、これは単なる描写なのか、それとも願いなのか、同じく思いを馳せてしまう次第です。
小説ではありながら、ストーリー云々ではないと言うか…難しいですね。
本著自体は凄く読みやすく、気軽に読める分量でもあるので、こういったテーマに興味のある方は読んでみても良いかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示