ザ、コラム

著者 :
  • 晶文社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969385

作品紹介・あらすじ

政治家たちの失言・スキャンダル、スポーツ・芸能界のゴシップ、メディアの機能不全まで、世の気になる出来事に対して常に辛辣で的確なツッコミを入れ続けるコラム界の至宝・小田嶋隆。多くの物書きからリスペクトを受ける「コラムニスト中のコラムニスト」が、この凡そ十年で手がけた数多のコラムの中から自らの手で選りすぐったベスト&ブライテストコラム集。コラムの金字塔にして永久保存版!

感想・レビュー・書評

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  • ギャラリー:コラムニスト・小田嶋隆が残した功績【追悼企画】──Vol.01:内田樹 | GQ JAPAN
    https://www.gqjapan.jp/culture/gallery/20220627-takashi-odajima-tatsuru-uchida

    ザ・コラム | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=4076

  • 白地に黒い字でタイトルと著者名のみのシンプルな表紙。まえがきによれば「独り言に近い」自薦コラム集である本書が出版されたのは2016年。
    目次から既に大真面目にふざけているのが、カッコいいし笑ってしまうのだけど、社会を見る目の先見性は今なお通用するものばかり。
    Twitterが更新されなくなってからそろそろ1年になるけれど、ちょっと休んでいるだけのような気がする。

  • コラムは書き手の心象風景を綴るエッセイでは非ず。「今」を考察し、持論を述べる。正論ではなく極論に、見落としがちな事の本質を炙り出す。

    とは言え、世の中の流れは早い。次々と新たなニュースが生まれ、たちまちにして鮮度を奪う。そう「今」という舞台に、待ち構えた「新しい今」が早変わりよろしく登場し絶え間のない更新が続く。人の噂も七十五日どころか今や精々三十日か。

    本書には「腐った羊水」「後期高齢者」「小泉チルドレン」「紳助とまさしとオレ」「出版界の甘くない景気」「アベノミクス」等…、2006〜14年までの出来事を俎上に載せる。著者曰く「上梓に際し、一定の時間を経てなお生命を失っていない原稿を選んだ」という通り、時に舌鋒鋭く、またある時は比喩で茶化し、振りかざした正義にはユーモアで打ち返す。その筆法はまさに至芸。

    世の中の気持ち悪さと息苦しさの正体に対し、「ざけんなッ!」を冷徹にシニカルに綴る。よくぞ言ってくれたとカタルシスを覚える一方で、コラムニストの吐く極論に噛みつく「匿名」読者。そもそもコラムは署名入りの囲み記事。技巧派投手が胸元をえぐるのと同様にコラムニストの辛辣な毒は顰蹙を買う。書き手多難な時代に筆一本で物議を醸し、挑発をする。それもたった一人で。今日日のコラムニストに求められる能力は、腹の座った胆力かもしれない。

  • ちょっと時代を感じるエッセイ集
    アル中引きずったままってのがイロイロ説得力を強めてる
    いい視点だな〜

  • 914.6

  • 著者のコラムの中からの選りすぐりを集めたもの。
    でも、普段余り目に付かないメディア(失礼)からのが多く、良かった。
    良く読むのは日経ビジネスのサイトに連載されているものだが、毎週実に的を射ている。
    今の日本も他の国に劣らず、下品な自国主義が蔓延している。この本にも載っているが、経済学者が政権の経済政策を批判すると、たちまちネットにはネトウヨ安倍シンパから罵詈雑言を浴びせられる。
    今のこの様な社会において、全うなことを言い続けることさえ困難になりつつある。
    ペンはどこまで折れないで行けるのだろうか、日本において、アメリカにおいて・・・

  •  TBSラジオのたまむすびという番組で、毎週月曜日の3時から放送される「小田嶋隆の週刊ニッポンの空気」というコーナーが最近の楽しみだ。その小田嶋さんの本が出るというのでさっそく購入した。

     そもそもエッセイとコラムの違いも私にははっきりしないが、小田嶋さんの視点がとても面白い。少なくとも私とは全く違う視点で物事を見ているのが参考になる。同じことでも、見る視点が違えば見える景色も全く違ってしまう。そういう意味で、小田嶋さんのコラムは私に新しい視点をくれる。

     しかし、新しいといっても、同じ人間が考えることだ。いつも何から何まで新しいというのは難しい。1冊本を読んでみると、ある程度、こういう視点で見るのではないかという予想がついてくる。そして、それを外されるときがまた実に面白いのである。

     実は、私が昔読んでいたパソコン誌にも小田嶋さんの連載があった。ぼんやりと記憶の中にあるが、どうも今の小田嶋さんの文章とは微妙に感じが違ったように思う。機会があれば、昔の連載を読み返してみたいものだが、残念ながら手元にはない。でも、ぜひもう一度読み返してみたい。

  • 「ああ、あと半分しかないのか……」
    本を読み進めていくと、当然、残りのページが少なくなります。
    それが惜しくて仕方ない。
    そんな本。
    10月26日に発売すると知って、アマゾンで1か月ほど前に予約しました。
    指折り数えてとまでは言いませんが、首を長くして待ちました。
    で、来ました。
    薄い灰色の地に黒で書名が書かれたシンプルな装丁が、「大事なのは中身ですよ」と控えめに主張しているよう。
    ここで本を開くのは、いかにもガメついので、一度放置して心を整理します。
    まあ、一種の儀式みたいなものです。
    それから再び本を手に取って、まずはパラパラと中身を検めます。
    面白い本というのは、読む前からそれと分かります。
    それは内容もさることながら、読む私が既にして「面白い」と期待して読むからです。
    期待には裏づけがあります。
    というのも、小田嶋さんのコラムを読んで「裏切られた」ことがないから(いや、正直に言うと2、3回くらいはあったかな)。
    要はほとんど全幅に近い信頼を寄せているということです。
    本の良否は、作者サイドだけで決まるものではありません。
    共同作業とまでは言わずとも、読者の姿勢が大いに関係しているのです。
    前置きが長くなりました。
    当代随一と言っていい小田嶋さんが、過去に書いたコラムの中から自ら選りすぐったコラムを集めたのが本書。
    いや、大いに楽しませていただきました。
    たとえば、「日本語の短兵化傾向について」と題するコラム。
    小田嶋さんは「言葉の乱れを指摘している中高年の文章の方が、乱れを指摘されている若者の書き込みより、日本語としてデキが悪かったりするのである。」と、かなり鋭い指摘をしています。
    なぜなら、中高年のインテリは、文章を見る「鑑識眼」を持っているものの、そもそも文章を書いた経験が乏しいから。
    それに比べると、若者は、確かにLINEやフェイスブックなどのSNSで、文章を書くことには慣れています。
    要は「実戦派」だということ。
    「天声人語」みたいなコラムなら、日本語の乱れに警鐘を鳴らして慨嘆するのが関の山でしょう。
    名コラムニストは、そんなありふれたことは書きません。
    コラムとしての収まりの良さより、「正直さ」に重きを置いているのです。
    それが私にはとても魅力的に映ります。
    「アベノミクスの勝利」というコラムも、考えさせられる内容です。
    ある経済学者が、アベノミクスに含まれる政策の一部に苦言を呈したところ、「反日」「売国」「サヨク」「在日」と、経済とは無縁な罵詈雑言を浴びせられたそう。
    これを受け、小田嶋さんはこう指摘します。
    「彼らは、安倍さんを支持するからこそアベノミクスを持ち上げることに決めているのであって、自分たちが信頼し応援している安倍さんが推進しているアベノミクスが素晴らしくないはずがないという理路で、それを称揚している」
    これを知的怠慢と言わずして、何と言えばいいのでしょう。
    「安倍さんのアベノミクスはここがおかしいよ」と苦言を呈してこそ、本当の応援団なのではないでしょうか。
    まあ、でも、固い話はこの際、どうでもよろしい。
    プロの文章といはどういうものか、お金を払うに値する文章とはどういうものかを、本書は教えてくれています。
    余人を持って代えがたいコラムニストを得たことを、あらためて言祝ぎたいと思います。

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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