- Amazon.co.jp ・本 (664ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794969088
作品紹介・あらすじ
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』によって全世界的に知られる作家となったサリンジャー。1965年に最後の作品を発表して以降、沈黙を守りつづけ、2010年に91年の生涯を閉じた。
本書は死後初めてとなる伝記で、『ナイン・ストーリーズ』『フラニーとゾーイー』などの代表作をはじめ、単行本未収録の初期短編や未発表作品まで網羅的に紹介。同時に、ノルマンディー上陸作戦での従軍体験、ウーナ・オニールとの恋と破局、最初の結婚、出版社やマスコミとの軋轢……謎につつまれた私生活を詳らかにしていく。
膨大な資料を渉猟し、緻密な追跡調査を行い、さまざまな新事実をあきらかにしたサリンジャー評伝の決定版!
感想・レビュー・書評
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小説『ライ麦畑でつかまえて』で知られている、作家J.D.サリンジャーは、1965年に最後の作品を発表して以降、45年にわたり沈黙を守りつづけ、2010年に91歳の生涯を閉じました。
本書は、サリンジャーの誕生から死までの全人生をカバーした初の伝記です。出生秘話、家族、戦争体験、失恋、結婚、創作活動、編集者との確執、謎に包まれた私生活について明らかにしています。彼の作品は斬新な文体で、ウイットと翳りがあります。本書を読んだ後に作品を読めば、より一層理解ができるのではないでしょうか。
京都外国語大学付属図書館所蔵情報
資料ID:583822 請求記号:930.28||Sla詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サリンジャーの本格的な伝記たりうる本。
サリンジャーファンが運営するwebサイトをもとに編纂された本とのこと。元サイトはウイルスにやられたのか見れないものの、非常に詳しく調べられている。
同時に、登場する作品のほとんどに要約もついていて、サリンジャーとその作品をざっと知るにはとても有用な本。
非常に勉強になりました。
これをきっかけに自分もサリンジャー研究に足を踏み出そうかしら -
映画を観ました。原作もいつか...
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ふむ
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エピソードのいくつかは、サリンジャーに関心ある人なら聞いたことがあるだろうもので、私も聞いたものが多い。
新事実というより既出の事実を手際よくまとめている印象だ。
「サリンジャーをつかまえて」も「ライ麦畑の迷路を抜けて」も勿論読んだけれど、謎の人であることにいささかの変化もない。 -
それにしても4830円という値段は高いよね。そうそうニーズがある本ではないし600ページを超える大著だけれど。
最近サリンジャー周辺が騒がしいと思えば、なんと2013年中にも未発表作が出版されるのだという。グラース・サーガに含まれるものあり、ホールデン君が主人公のものあり。そんな注目のサリンジャーを、熱心な研究家の視点から語り尽くすのがこの伝記だ。
晩年世を忍ぶ隠遁者となったこと、「キャッチャー」を始めとした著作が文化に浸透する(ズーイー・デシャネルは親がその世代だったのだろう)など、謎めいた巨匠のイメージだが、実は寡作、さらに日本で読めるのは僅か文庫本数冊のボリューム。「新作」は大きな注目を集めるだろう。
若いころ、兵士としてノルマンディー上陸作戦に参加し、諜報部員としてナチの尋問や収容所解放にも携わっており、戦後PTSDに苦しんだというのは、今まで知らないサリンジャーの人生として興味深かった。病んだ心が書きたかったのが、ホールデン君でありグラース家の病みようであったという、葛藤が優れた芸術を生み出したことに惹かれる。 -
私生活を隠したがったサリンジャーの伝記を読むという微妙な行為。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が「ライ麦畑でつかまえて」だということに途中まで気づかなかった。
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サリンジャーというと、寡作で早熟というイメージをずっと抱いていた。実際には寡作ではなく、持ち込んだ作品が拒絶され続けるという日々が続いたようだ。また、1965年に作品を発表しなくなってからも書くことは続けていたようだ。
タイトルが「ライ麦畑でつかまえて」ではなく「キャッチャー・イン・ザ・ライ」として紹介されているのは、村上春樹版を意識してでしょうか。