町からはじめて、旅へ

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794968715

作品紹介・あらすじ

昔も今もこれからも私たちは片岡義男に首ったけなんだ。およそ40年の時を経て、待望の初期エッセイ集がオリジナル・デザインのまま復活。

感想・レビュー・書評

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  • 少年時代の思い出、映画やペイパーバック、黒人音楽、英語、西海岸やハワイでの旅の思い出など、主にアメリカ文化についてのエッセイ。

    ヒッピー文化の影響だろうが、ミニマリズム的志向がうかがえ、物品ではなく肉体の感覚を重視している。

    残された記録から、日本とアメリカを結ぶ秩父丸での航海の様子を探る部分が面白い。


    私たちの生活様式のなかのありとあらゆるジャンルに、マーケティングは食いついてくる。そして、生活様式をトータルに支配し、私たちの日常のぜんたいを商売の対象にしようとこころみる。
    そのマーケティングに対して、私たちが持ちうる唯一の根拠地は、自分自身の肉体の存在なのだ。この場合の肉体とは、あるひとりの人間の、具体的な生き方のすべて、というような意味だ。自分が自分のために我が手で選び取った生き方が「個性」の出発点であり、その生き方が日々の生活のなかで具体的に展開されていくとき、その過程のなかに私たちは「個性」の創造を見る。「個性」は、具体的な生き方のなかで社会と接していく。そして、社会と接するとき、その「個性」は、私的な領域を充分に保持しつつなお、公的なひろがりを持った共同意識のようなものに昇華されていく必要がある、と私は考えている。
    (p.44)

  • 今年、最も興奮したニュースの一つがサイのマークの晶文社から片岡義男さんの初期3作品の復刊企画のニュースだ。1970年代に初版された『ロンサム・カウボーイ』『10セントの意識革命』『町からはじめて、旅へ』の3冊だ。
    そのうち前者の2冊、『ロンサム・カウボーイ』『10セントの意識革命』は僕が学生だった1980年代に読んでおり、約30年ぶりに読み返そうと思い、単身赴任先に持ち込んだところに入ってきたニュースだった。偶然で、絶好のタイミングだった。

    一番読み返したかったのは『10セントの意識革命』だったが、まず3冊のうちまだ読んでいない『町からはじめて、旅へ』を手に入れて読むことにした。
    前半は東京近郊や身辺周辺のことが書かれており、これが『町からはじめて』。後半はハワイの風景や文化に関わる『旅へ』。合わせて『町からはじめて、旅へ』だ。
    帯に『昔も今もこれからも私たちは片岡義男に首ったけなんだ。』と書かれている。僕も片岡義男の書く世界観が大好きだった。そして40年たってもなお、意識の普遍性は失われていない。書かれている内容は今でも十分通用する。

    次は『10セントの意識革命』を読もうと思っているが、問題は字が小さいことだ。先に老眼鏡が必要か。30年という年月はそれだけの長さだ。だが、僕の意識も30年前と変わらない。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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