民主主義を直感するために (犀の教室)

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794968234

作品紹介・あらすじ

「何かおかしい」という直感から、政治へのコミットメントははじまる。パリの街で出会ったデモ、小平市都市計画道路反対の住民運動、辺野古の基地建設反対運動……哲学研究者が、さまざまな政治の現場を歩き、対話し、考えた思索の軌跡。民主主義を直感し、一歩踏み出すための、アクチュアルな評論集。

感想・レビュー・書評

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  • 「政治に興味を持つきっかけは、社会のある問題に直感的に違和感を持つことだ」という著書の意見はすごく腑に落ちる

    そうしてみると、今の日本にはおかしなことが沢山あるなぁ…

    オリンピック、やるの?笑

  • 「辺野古を直感するために」では思わず胸にぐっと来た。ほんと世の中には理不尽なことが多すぎる。腹をえぐられるような怒りが沖縄の人たちに湧き上がってるのが良く解る。

    辺野古のきれいな海を見に行きたい。

  • 自分に嘘をつかない、分からないことは聞く、話したいことは話す…本音。
    ⤴︎のようにできればいいが、しばしば、言えない雰囲気、聞けない雰囲気、本音が言えない、と聞くし私も日々そうだ。
    それは、雰囲気や空気と言われるが、そうだろうか? 
    自分自身がどこかで、言いにくい、恥ずかしい、うるさがられる、これくらいの仲で話す内容だろうか、ダサい?、と思っているのではないか。
    雰囲気に圧せられてしまうとき、自分の中で、いや違う、このままじゃダメだ!、ザワザワと違和感を感じ、目の前で進む核心から外れた話し合いに私の本音が内でぐつぐつと熱してきて顔が熱くなって、言うか言わまいか迷っている。言ってしまえば、後から体が震えて相手の反応を受け取ることができ周囲の人々にも刻み込める、言わなければ、また次も核心を外れた話し合いに参加することになり、自分の中では煮えたぎっているが相手や周囲は何もなかったと同じだ。
    クラスで誰も質問しないと、みんな分かっていて自分(Aさん)だけが分かっていないんだと思い恥ずかしくて質問を控える、そのとき実はクラスの皆もAさんのような状況であり、誰も分かっていないのに話が進んでいくことがあると聞く。
    それは違うんじゃないの?とか、これおかしくない?という気持ちも、上の例のように、誰も何も言わないと皆これで納得してるんだと思うようになり、自分がおかしいのかと思うようになるかもしれない。実は皆、違うと思っているのに!




    引導を渡す
    葬式に際し、導師の僧が死者がさとりを開くよう説ききかせる。転じて、相手に教えさとすような態度で言う。また、縁を切ること、相手の命がまもなくなくなることを宣告することなどにいう。

    テニュア
    テニュアとは、米国の大学で一定の条件を満たした教職員に与えられる終身在職権を指します。また、テニュアの取得を目指すコースのことをテニュアトラックと呼びます。

    揚棄 アウフヘーベン
    「弁証法」の基本的な考え方の一つです。「弁証法」とは、対立した意見について議論する過程において思考を深め、より高次の段階へと進んでいく思考法を指します。対立する二者をどちらも否定せずにかけ合わせて統合し、一つの解として昇華させる過程

  • どんな(社会的)テーマも民主主義国家で起こる以上は民主主義が背景にあるのだ。

    わざとらしさの復権=人為的(P.142)にはハッとされた。それは所謂「冷笑主義」へのアンチテーゼといえるかもしれない。ベタの復権。

  • 様々な角度から民主主義とは何かを考えられた。個人的には書評が面白く、読みたいと思わせてくれる本が多く紹介されていた。
    また、辺野古の話は自分が感じていた疑問や蟠りを解いてくれた感覚を持てた。

  • 冒頭で著者が述べた通り、内容に一貫性は無かったものの、幅広い分野に触れられた。読んでいる最中はタイトルと関係あるのかな?と思っていた話題ばかりでしたけれど、良く考えればどれも民主主義と繋がるようなことでした。

  • エッセイであったり、対談であったり。
    内容も民主主義について全体的に語っているものもあれば、住民運動や大学についてのものだったりと様々。
    広く色々と読めて良かった。
    全てに納得するわけではないけれど、同意できない考えでも、自分が考える時の足がかりになる。
    辺野古を実際に訪れて書かれたものは、胸を押し潰されるようだった。
    この部分だけでもたくさんの人に読まれて欲しい。

  • 「政治的な問題を考える時、最初にある素直な直観はとても大切である。」

     國分くんの考え方にスタイルというものがあるとすれば、この一言。「政治的な問題を」の部分はなくてもよさそうだ。この本が、ぼくたちが当面している「政治的な」問題を対象にしているから、この文句が入っているが、「哲学的な」、ほかの著書を読んでも、直感で始まっているという感じがする。
     本書の中で白井聡君と話し合っている、大学とかの改革の話の中で、大学におけるトップダウンの愚かさが語り合われているが、高校とかの現場では、30年前から進行してきたアホな現実が、アホなえらい人によって、そこまで来ましたかという感慨と、モノを言わない教員は考えることも、もちろん、直感に反応することもなくなるし、若い、新しい人たちも、悲しいことだが、すぐにそっちの人になるのを止めることはできなかったなあ、というもう一つの感慨に浸ってしまった。
     國分君は保育園の話とかにも首を突っ込んでいるけれど、「そうだよね、そこを見据えないとヤバいよね」というのが僕の「直感」というわけだ。
     

  • 心優しき哲学者、國分功一郎。
    残念ながら、これまで雑誌に掲載された文章や対談をまとめたものなので「民主主義を直感するために」というテーマに沿って書かれた本ではない。

    デモについて
      柄谷行人「民主主義は代表制だけでは機能しないのであって、デモのような直接行動がなければ死んでしまう」
    デモとは「いつまでも従っていると思うなよ」というメッセージ。だから、デモに参加する人が高い意識を持っている必要などない。ホットドックやサンドイッチを食べながらお喋りしながら単に歩けばいい。お祭り騒ぎでいい。
    単に群衆が現れることこそが重要。


    民主主義にはバグがある(山崎亮氏と対談)
     コミュニティ・デザイナーという職業があることを知った。
    市民運動のノウハウ、行政と正面衝突しない知恵はとても面白い。勉強になった。
    ウィリアム・モリスを読んでみたい。


    変革の可能性としての市民政治(村上稔氏と対談)
     吉野川と小平の住民投票運動を振り返りながらの対談。
    こちらも市民運動の具体的な方法論と地方議会の実態が面白い。

    教員は働きたいのであって、働くフリをしたいのではない(白井聡氏と対談)
     大学運営の実情。愚痴の言い合いになってる。

    辺野古を直感するために
    キャンプ・シュワブゲート前での抗議運動をレポート。
    初めて沖縄に行ったという著者の素直な感激、興奮、怒りが伝わってくる。



    民主主義の基本のおさらいができる本。
    卓越した何かが得られる訳ではないが、ちょっと元気が出る。

  • 民主主義をキーワードにした,様々な論文,書評,対談などをまとめたもの.

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科准教授

「2020年 『責任の生成 中動態と当事者研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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