ビヨンド!: KDDI労働組合20年の「キセキ」

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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794812070

作品紹介・あらすじ

「スマートな労組」?とんでもない!
激しく逞しくドラマチックな闘いの歴史を余さず描く、刺激に満ちた傑作ノンフィクション。

「労働組合っていうのは、先輩たちから預かった財産・宝物。だから、常に磨き続けて、ピカピカにしておかなきゃいけない。もし、磨き続けることができないなら、せめて汚さずに次の世代に渡していかなきゃあかんよな。それがお前さんたちの使命なんだ」(元KDDI労組中央執行委員・杉山豊治)
 これが国際電電労組、KDD労組を経て、激動の情勢下で2000年に誕生したKDDI労組の、今に受け継がれる精神だ。本書は同労組の絶望と希望、その20年間の「軌跡」に迫るノンフィクションである。
 華々しくも熾烈な競争を繰り広げるICT業界にあって、ベースアップを実現しながら、勤務間インターバル制度、非正規社員の待遇改善、被災地支援など数々の取り組みで「先駆的」と呼ばれるKDDI労組は、労働界では「スマートな労組」という印象をもたれ、名声を集めてきた――スマート? 実は全然、そんなことはない!
 「稲盛イズム」が吹きあれるなか、逞しい気概をもって巻き返しを試みてきた。度重なる企業合併やグループ化で減り続ける加入。次々に見直しを迫られる労働制度。だがそれら数多の葛藤や苦難から決して逃げず、闘い続けたことで、必然とも思える「奇跡」をつかんだ。NHK「プロジェクトX」で見るような激しくドラマチックな歴史がそこにある。
 日本の推定組織率は2021年に17%を切り、労働者の6人に1人にしか労組に加入していない。17%のほとんどは企業別組合員であり、ユニオンショップ制(入社時に労組加入)が効いている。しかも推定組織率は、実際の組織率(主体的、積極的に労組の活動に参加している組合員の組織率)とは違う。労組側は苦境に追い込まれた労働者たちを一人でも多く把捉し、仲間とする必要がある。そして労働者側も、組合の意義を見つめ、相互扶助の意識を高めることが求められる。企業別組合の本当の姿を凝視し、将来を考えていくために、労組関係者だけでなく、未加入の労働者、管理職、経営者にもぜひ読んでいただきたい。
 (ほんだ・かずなり)

感想・レビュー・書評

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  • 日経書評で知った本。労働組合を思想的な立ち位置ではなくどちらかというと経営者側の立場から書いた本って初めて読んだ気がする。

  • 数年前の調査らしいが、Wikiの”ユニオンショップ”の説明によると「厚生労働省の調査によれば、労働協約を締結している企業のうち約56%がユニオン・ショップ協定を結んでいる。」とある。

    この本記された、KDDIがユニオンショップから合併でオープンショップになり、その後、ユニオンショップに戻った経緯が興味深いところ。

  • 東2法経図・6F開架:366.62A/H84b//K

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著者プロフィール

武庫川女子大学経営学部教授。著書に『チェーンストアの労使関係―日本最大の労働組合を築いたZモデルの探求』(中央経済社、2017年)、『チェーンストアの人材開発―日本と西欧』(千倉書房、2002年)、『チェーンストアのパートタイマー―基幹化と新しい労使関係』(白桃書房、2007年)、『主婦パート―最大の非正規雇用』(集英社、2010年)など。

「2023年 『メンバーシップ型雇用とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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