- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794810359
作品紹介・あらすじ
あなたは、算数・数学の授業が好きでしたか? 楽しんでいましたか? 訳者は、決して嫌いだったわけではありませんが、単位を得るため、卒業するために仕方なくお付き合いしていたというのが本音です。いずれにせよ、私たちはみなそれがどんな授業だったかは鮮明に覚えています。
この本は、音楽家と画家が悪夢を見ている場面から始まります。音楽家は学校で、楽器を奏でることは一切許されず、ひたすら「ルールに従って」五線譜に記号を記す練習だけをさせられています。画家も同じように、キャンバスに絵を描くことなく、ワークシートのマス目に指定の色を塗る練習ばかりをさせられています。
夢だと気づいた二人は、ともに次のことを確認します。「どんな社会だろうと、音楽や美術といった美しくて価値のある芸術を、くだらない作業に落とし込んだりはしないだろう。どんな社会だろうと、音楽や美術によって極めて自然に自分を表現することができる機会を、子どもたちから取り上げるなどという残酷なことはしないだろう。もしそんなことが起こったら、狂気としかいいようがない」と。
しかし、本書の著者に言わせると、私たちの知っている算数・数学は、まるっきりこうした悪夢にほかならず、その点で今の社会は狂気に陥っているのです。右の文の「音楽や美術」を、算数・数学に置き換えて読んでみて下さい。それでもピンとこないとすれば、ある種の感覚がすでに破壊されている証です。
幸いにも音楽と美術は、音楽家と画家が見た悪夢のような状況にはなっていません。算数・数学を音楽や美術以上にアートであると信じる著者は、本書の中でその本来の魅力を取り戻すための具体的な方法を提示しています。この本を読めば、「狂気の授業」のせいで算数・数学嫌いになってしまった人、仕方なしにやっていた人も、きっと「今からでもやってみようか」と思うはずです(訳者がその生きた証拠です!)。生徒・学生時代から好きだった人は、さらに好きになること請け合いです。(よしだ・しんいちろう)
感想・レビュー・書評
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今の学校教育における数学教育、算数教育の悲劇性を指摘し、子供にとって数学が苦痛なものとなっていることを批判することから始まる。
数学は芸術であり、数学することの美しさ、楽しさ、元は数学すること自体が楽しむ行為であったという。具体的な授業が見えず、結局どのように実践するのか。数学者の、数学の原理の発見のプロセスを辿ることが、本当に子供にとってアートだ!とならないだろうと思う。
数学を実用主義的に考えてもいいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルや著者だけから判断して気になったものを図書館で予約しみると、最初にページをめくった瞬間に「あれ?」と予想に反した内容の本に出合うこともあります。本書もそういった類のものでした。
意外な「解法」を紹介しているような頭の体操的なものではなく、「算数・数学」を教える側の立場からの課題提起の書なんですね。
著者の強烈な“熱量”を感じるちょっと珍しいテイストの本でした。 -
数学の本ではなく、数学教育の本でした。
前半は算数・数学教育の不毛を糾弾(と言うか嘆く)部分。後半に「ワクワクする」数学の考え方を紹介(でもちょっと端折りすぎ)。訳者あとがきにあった「ワクワクするする学びを奪い取らないために!」がこの本の一番重要な視点かもしれない。 -
学校での算数・数学教育は画一的で数学の面白さの部分だけを排除して、子供から数学に対する興味を奪っているという趣旨の本です。
現代の数学教育に対する著者の『創造的なプロセスを排除して、プロセスの結果だけを提供したところで、そのテーマに真剣に取り組める人がいない』という一文がこの本を表しています。
内容は素晴らしいのに翻訳がその魅力を半減させていると思います。日本語が崩壊しており、何を言いたいかを読者がさらに考えないといけません。もうちょっとマシな翻訳者はいなかったのか。。。と残念でなりません。 -
題名だけだった
結果、買わず
A Mathematician's Lament: How School Cheats Us Out of Our Most Fascinating and Imaginative Art Form
「数学者の嘆き:学校がどのように私たちの最も魅力的で想像力豊かな芸術形態から逃げ出すのか」 -
学校の数学が暗記ものなのは犯罪だ。
からくりと原理を覚えて、不思議に思う感覚とワクワクする感覚を養い続けなければいけない。 -
請求記号 375.41/L 78