「変化を嫌う人」を動かす: 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794226242

作品紹介・あらすじ

魅力的なはずのアイデア、製品、サービスが、相手に受け入れられないのはなぜか?
それは魅力が足りないからではない。相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるからだ。
著者らは抵抗を4つ(惰性・労力・感情・心理的反発)に分類し、それぞれの正体を分析、
それらへの対処法を、事例を使って具体的に伝授する。
 
[フィリップ・コトラー推薦]
“新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。”

「ウォールストリート・ジャーナル」ベストセラー



「惰性」:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求。
「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト。
「感情」:提示された変化に対する否定的感情。
「心理的反発」:変化させられるということに対する反発。

アイデアのメリットをアピールするよりも、魅力をさらに増やす努力を重ねるよりも、
抵抗を減らすアプローチの方が、ずっと効率的で低コストであることが示される。

“マーケティング担当者は、顧客に新しい製品やサービスを採用させる手段として、機能やメリット、宣伝に頼ることがあまりにも多い。だが、本書を読めば分かるように、これはマーケティングの公式の半分に過ぎない。新しいものを取り入れようとする消費者の欲望を抑え込む4つの主要な「抵抗」を突き止めた本書は、マーケティングの世界に大きな貢献をしている。本書は、これらの「抵抗」を予測する方法を示すだけでなく、「抵抗」を克服する方法まで教えてくれる。新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。”
――フィリップ・コトラー

感想・レビュー・書評

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  • 新しいアイデアをどううまく受容してもらうかを、人の思考の傾向に沿って考察した本。だいたいアメリカの人が書いた本は、冗長で例が多い傾向がある気がするのだけれど、本書は自分にとっては適切な分量だった。「教えるのではなく、正しい質問をするべきだ、という単純な発想」

  • 身近なところでどんどん新しい変化が起きている。キャッシュレス決済、マイナンバー活用、リモートワーク、フリーアドレスなどなど。嫌がる人はいろいろと理由をつけて賛同しない。その「いろいろな理由」が何なのか突き詰めて、4分類して解説している。

    「惰性」自分が馴染みのあるものにとどまろうとする欲求
    「労力」変化を実行するために必要な努力やコスト
    「感情」提示された変化・アイディアに対する否定的感情
    「心理的反発」変化させられるということへの反発(ex.アイディアを提示or推進する人への反発)

    これらの中には、表面的な理由もあれば、その裏に隠れた「本当の」理由もあったりする。もしかしたら嫌がる本人が気づいていない理由もあるのだろう。これに気づかせる「yesへの誘導質問」「自己説得」という技術はとても興味深い。

    正直、何か新しい制度や取り組みを推進しようとして、反発する人に対してここまで抵抗理由を分析したことは無かった。分析をせずに、新しい物事の魅力を執拗にPRしたり、賛同しない場合のペナルティを強化したりと、強引なパワープレーで推進しようとしていた。本書では「燃料を増やす方法」と記載されている。これでは、反発する人たちが余計に態度を硬化させることは明らかである。

    燃料ではなく、抵抗に着目し、嫌がる理由を細かく掘り下げて因数分解すれば、解決策が見つかり、結果として早期の目的達成が見込めるとのこと。本書で書かれている抵抗の4分類方法と、抵抗内容にアプローチする方法を是非とも実践していきたい。いきなり全部ではなくとも、「これなら自分でもできる」という簡単なものから取り組めば良いと思う。

  • この本は、安さだけではなく、深い洞察とデザイン思考を使って顧客や職場での抵抗に対処する方法を探求します。「適用の課題」を攻略し、変化への抵抗を理解するための実践的アプローチを提供。企業が直面する改革の難しさと、トップダウンの限界を超える戦略を明らかにし、実用的な知見を提供します。

  • 自分には難しかった。心理的リアクタンスとオープンザクエスチョンのとこはやんわり理解できたような、できなかったような。あとは本当にワタシには無理だった。笑

  • 企画や提案を熱意を持って説得するも、上司をはじめとした関係者が認めてくれない「あるある」。その理由を4つの【抵抗】があるとし、実際の事例とともにその対策を紹介している本です。

    メリットがわからないというよりは、
    「やり方・手順が分からないから動かない」という、別のところに根本的な理由があったりするもの。視点をちょっとずらして考えてみる。加えて、自分自身にも購入しない、動かないという時はあるので、そんな時に発生している抵抗は何なのか、考える習慣を付けたいと思いました。

    【抵抗レポート】という4つの抵抗を事例に合わせてチェックできるシートが紹介されているのですが、それをもとに、自分の会社で「現場が動かない」と感じていた案件をチェックしてみたのですが、イマイチ当てはまらないというか…私の理解不足なのかな。

  • おもしろかった。新しいことやイノベーションに対する様々な「抵抗」の理由と、それを回避/クリアしていくための方策のあれこれ。

    UXデザイナー出てくるしジョブ理論(jobs-to-be-done)出てくるし、IDEOもエスノグラファー(行動観察者)も出てくるのでデザイン との親和性高め。

    惰性、労力、感情、心理的反発という4つの「抵抗」のうち、「感情」(提示された変化に対する否定的感情)と「 心理的反発」(変化させられるということに対する反発)が、特に厄介というのが経験値。なので、ここを回避するための方策は示唆に富んでいて役に立ちそう。

  • 冒頭紹介される比喩。
    弾丸が前へ進むのは、火薬の力ではない、抵抗力だ、というのが秀逸。

    会社で業務改善を提案したら、反発意見をたくさんあげてくる人がいて、地に落とされた気分になった。何かヒントになることないかなーと、タイトルで選んだ本。
    冒頭の比喩がもう、気持ちを前向きにしてくれた。
    ちょっといいように捉えたら、抵抗力があるからこそよりスピードもって強く進むのだなと、反発をプラスに捉えられた。がらっと意識が変わった。

    4つの対策とその対応策が紹介されている、が、真の抵抗を探し当て、そこに対応するのは大変だけど
    最初の比喩を胸に向き合っていこう。

  • 人を動かすのは、燃料(内容を売り込む)だけではなく、抵抗を減らす必要がある。
    新しいソファーを買わないのは、魅力がないか伝わらないか高いか、ではなく、単に今のソファーをどうしたらいいかわからないから。

    抵抗には、惰性、労力、感情、心理的抵抗の4つがある。

    燃料は、競争すると見合う効果は得られない。効果は長続きしない。
    燃料は目につきやすく、誰にでもわかるが、抵抗は見えないところに潜んでいる。紹介料を払う、は燃料。抵抗を発見するには努力と忍耐が必要。

    惰性:
    現状維持バイアス、単純接触効果、人は知っている商品を購入する、世代が変わるまで変わらない=新しい概念は葬式のたびに進展する。
    対策:何回も繰り返す、小さな変化から始める、選択肢に相対性を取り入れる、極端な選択肢を作る=松竹梅の法則。

    労力:
    最小努力の法則、面倒なことがきらい、フォームを用意したりデフォルトをつくるのは、これを避けるため。
    高い価値より少ない労力。出願手続きが面倒だと出願者が減る。いつ、何をするべきか、まで告知する=行動までのロードマップを示す。
    どう思う、という質問よりも、何か対案はあるか、のほうが労力がかかるので賛成を得やすい。
    デフォルトにするとそれを選択しやすい。

    感情:
    マッチングアプリで断られる感情を防ぐために、あらかじめ対象にならない人にはメッセージを送れないようにした。
    セルフサービスのほうが、感情面の抵抗に遭いやすい。感情面の抵抗を探すことは難しい。
    トヨタの5回のなぜ、を繰り返す手法。行動観察者になる。オフィスにいてはわからない。
    クレジットカードの抵抗を減らすために、即時払いも選択できるようにした。

    心理的反発:
    人に影響を与えることは、自由を奪うこと。自律性を守りたいという欲求が心理的反発となる。
    説得されていると感じさせない。無理強いしない。
    相手が自己説得するように導く。
    洗脳と同じ。少しずつ、イエスを引き出して誘導する。
    目安箱のように、自由に意見を言わせるのは自己説得にはならない。

    ドバイが、スタートアップの街になるための工夫=起業家にならないという惰性を破る。失敗を恐れる感情を解く。フリーソーン、助成金、ロードマップを作る。

    大麻の合法化。医療用大麻から始める。

    住宅購入時のハンデをなくす=住宅を買うとマイルがたまる。これだけでは購入には至らない。売却保障を付ける。

  • 行動経済学に近い感じがした。
    何かをやって貰いたい時の受け手側の内面を分解して、解決策を掘り下げるストーリーが載ってました。



    「労力」 最小努力の法則 カニも人も最小の努力で最大の効果を欲しがる。この法則は、実は友人関係(近接性の原理)にも当てはまる。
    「高い価値より少ない労力が優先される」
    「燃料」中心の戦術より「抵抗」を減らす事の効果が高い事がわかって来た。

    問うべきことは、「どうすれば顧客に喜んでもらえるか?」ではない。「どうすれば顧客に負担をかけずに済むか?」だ。

    「労力」の二つの側面。
     「苦労」と「茫漠感」
    身体や頭を酷使することが「苦労」
    どうすれば良いのか分からないことが「茫漠感」

    ロードマップの作成で「茫漠感」を制した事例あり。
    戦費の国債購入のため、なぜ?ではなく、いつ?を提示した事が効果ありだった。 これは、調査に要するコストが削減され、行動までの道筋が明確になるという利点がある。いつ何をすべきか?を明示する。 無関心なのでは無い、単なる茫漠感なのだ。

    茫漠感は「ロードマップの作成」と呼ばれるプロセスで制するのに対し、苦労は「行動の簡素化」も呼ばれるプロセスで変容させる。

    ロードマップを作成する戦術
    ーやって貰いたい行動の実践方法を示すことはできるか?
    ーやって貰いたい行動を起こすタイミングを人々は知っているか?
    ー行動を誘発するきっかけを設定できるか?

    小さなYesを引き出す事でより大きなYesを引き出すとか、ちょっと試してみたい。

  • 何故人は変化を嫌うのか?この理由を4つに分類して、丁寧に説明している。また理由に対し克服する方法も述べられている。
    惰性、労力、感情、心理的反発による抵抗をいかに抑えて行くか、人の心を支配するのは燃料よりも抵抗と言う文章を見た時、目から鱗が落ちた。勿論ある程度の燃料は必要だが、押せ押せで燃料注入(魅力の売り込み)は、抵抗が増えて逆効果になる事が分かっただけでもこの本を読む価値があると思う。

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著者プロフィール

ロレン・ノードグレン(Loran Nordgren)
ケロッグ経営大学院の経営学教授。新しいアイデアの採用を促す作用や妨げる作用を持つさまざまな心理的力について探求する研究や教育に携わる。研究者として、また教育者として数々の賞を獲得。世界中の企業とともにさまざまな行動変革の課題に取り組んできた。そのプロセスをロレンは「行動デザイン」と呼んでいる。

「2023年 『「変化を嫌う人」を動かす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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