41歳の東大生

著者 :
  • 草思社
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本棚登録 : 209
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224231

作品紹介・あらすじ

この物語は、私が41歳のときに東京大学に合格、
入学してから卒業するまでの4年間を軸に、
その前後各20年以上にわたる出来事を描いた実話です。
一度大学を出ていながら、なぜもう一度大学に入って勉強しようと思ったのか。
妻子があり、仕事をしていた私が、多くの人たちに支えられて、
どうやって昼間の仕事を続けながら東京大学に通い、
四年間で卒業することができたのか。
詳しくはぜひ本文をお読みいただきたいと思います。
おそらく、ほとんどの読者の方にとって、
今までに一度も聞いたこともない、読んだこともない物語のはずです。
          (本書より)


郵便配達員として働きながら6年がかりで東大に合格。
前代未聞の「学び直し」に挑んだ中年男性の奇跡の実話!

[草思社・文芸社W出版賞 金賞受賞作品]

感想・レビュー・書評

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  • 一九九七年。三五歳から東大を受験し始め、四一歳の時、五回目の挑戦で東大文Ⅲに合格した著者。一〇歳と六歳の二人の男の子の父親で、仕事は当時国家公務員であった郵便局の配達員。

    時短勤務と年休で平日に休みを取り、その代わり土日祝に出勤するというスタイルで、四年間で東大を卒業した。
    職場の人たちの理解と、奥様のサポートありきの大学通いだった。

    わたしも大学生の頃、クラスに社会人学生の方々が数名いた。二十代のわたしたちよりも熱意ある人たちだった。今なら、仕事と学業の両立がどれほど大変かがわかる。休みを取りやすい仕事であること、体力があること、独身もしくは支えてくれる家族がいること。様々な条件がそろってようやく社会人学生になれる。

    勉強漬けの旦那さんと小さい子どもを抱えた奥様は、きっと大変だっただろう。でも、うちの夫(修士)が博士号を取りたいと言ったら、わたしも同じように応援したい。通えるならわたしも興味のある講義を受講したいし、一生、学び続ける人生を送りたい。

  • 1956年に生まれ、1980年に明治学院大学社会学部社会学科卒業し、職を転々とし、1988年に入社した日本郵便局で働きながら、1997年東京大学教養学部文科三類に入学した主人公のノンフィクションだった。
    なぜ大学に二度入ったのか、家族がいながら仕事と大学を両立したコツや大学で過ごした四年間の事などが色々書いてあり、とても勉強になった。
    勉強したいことや、やりたいことは何歳になってもできるのだなと改めて思った。

  • ななめ読み、飛ばし読み。一人の人間の半生だった。
     

  • 現在、大学生なので、学ぶ姿勢、友人の大切さ、
    を知ることができた。
    挑戦することは悪いことではないので、残りの大学生活で、今まで諦めていたことに挑戦してみようという、気持ちを持った。

  • タイトルから想像するのは、41歳で現役学生、まさに現在進行形の人生が語られるのか、と思って手に取ったが、そこには62歳の定年退職者の回顧録があった。
    20代で明治学院大学を卒業、紆余曲折する中で、働きながら学ぶ場として東大への進学を目指し、幼い子供を二人抱え、郵便局での集配業務をこなしながら、5度目の挑戦、41歳で東大に合格。郵便局の同僚や職場の協力に恵まれ、働きながら卒業を果たす。家族の理解に助けられ、自分の学びたい学問へ緩めることなき努力を重ねる姿勢、強さには感心する。
    20代、40代、そして60代と20年を周期とした人生を振り返る語り口は、朴訥としながらも、上品なユーモアが潜んでいる。
    本文での登場人物は、例えばM君とか仮称で語られているが、最後の謝辞で、一人一人、仮称を実名に披露するスタイルは、著者の感謝の発露として、とても新鮮であり、感銘を受けた。

  • 何かで紹介されて知ったのだと思います。
    社会人続けながら大学に通い続ける人の話、今後の人生の参考になるかもと、とても興味があったのでずっと読んでみたかったのです。
    近所の図書館で所蔵があったので借りて読んでみました。

    読み物としては、ドラマが沢山あって面白かったです。

    参考になったかと言えば、殆ど参考になりませんでした。
    というかそもそも、「何かの参考になる」という類の体験記ではなく、蓋を開けてみれば周囲の人と環境に恵まれながら自分の求める道を努力して歩んだ一人の男性の40年の人生を綴ったハートフル・ストーリー(言い過ぎかも)でした。
    例えば、「社会人でも大学受験に受かるにはどれくらい勉強が必要か?」とか「東大に受かるにはどんな参考書が必要か?」とか「受かった後の仕事と学業との両立は?」とか、確かにどうしたかは書かれてあります。書かれていますが、再現性はない。誰にでも出来ることじゃないものは参考に出来ませんよね。せいぜい民営化前の郵便局ってホワイトだったんだなということがよく分かるくらいです。

    まぁ、大学の通い方はひとつじゃないんだな、とか、幾つになってもその気になれば大学に通っていいんだな、くらいのことを感じるだけでも、なんというか、読んでよかったかなとは思いますが。

  • 淡々として穏やかな文章が読みやすかった。
    東大生はみんな苦労せずとも授業を理解して、他の人のことはあまり気にしないイメージがあったが(議論したりはするだろうけど)助け合ったり、面倒見がよかったりとイメージと違った。
    なんとなく大学に行ってなんとなく卒業して、一体何を学んだんだろう…と最近思い始めた自分には、大学で勉強するってこういうことなんだろうなと、反省の念が強くなった。
    しかし著者卒業後学びを辞めてしまった件は悲しく残念で、せめて独学でも続ければよかったのにと思った。

  • 2024年最初に読み終わった本(2023年から読み始め)
    この本の作者、純粋にすごいと思いました。
    内容は、哲学のことや好きなことを書いてあったので、好き嫌いはあるとは思いますが読みやすかったです

  • ゆっくりだとしても学びを止めないことは常に心がけたいなと思いました。

  • ・本人の努力と周囲の支えがすごいと思った。
    ・努力できる人、勉強を楽しくできる人、まるで違う世界の人間のように感じる

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著者プロフィール

小川 和人(おがわ・かずと)
1956年、千葉県市川市生まれ。1980年、明治学院大学社会学部社会学科卒業。証券会社勤務、学習塾講師、教材制作会社勤務を経て、1988年、江戸川郵便局集配課(現日本郵便株式会社)勤務。1997年、東京大学教養学部文科Ⅲ類入学。2001年、東京大学文学部思想文化学科(インド哲学仏教学専修課程)卒業。2016年、日本郵便株式会社定年退職。東京都江戸川区で育ち、結婚後、東京都豊島区(西池袋、目白)で暮らし、現在は神奈川県川崎市麻生区在住。趣味は内田樹氏の本を読むこと、映画鑑賞、野球観戦、競馬観戦、東京ディズニーリゾートで一日を家族とのんびり過ごすこと。家族は妻と子ども二人(男)、孫一人(女)。

「2022年 『文庫 41歳の東大生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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