文庫 絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ: 文豪の名言対決 (草思社文庫 か 6-1)
- 草思社 (2018年6月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794223364
作品紹介・あらすじ
「希望は生きるのを助けてくれます」(ゲーテ)×「朝の希望は、午後には埋葬されている」(カフカ)
――どこまでも前向きなゲーテと、どこまでも後ろ向きなカフカの言葉を前にして、あなたの心に響くのはどちらでしょうか?
絶望から希望をつかもうとしている人、あるいは逆に、希望に満ちていたけど、少し疲れてしまった人のための「希望と絶望の『間の本』があってもいいのではないかと思いました。ゲーテが希望を語り、カフカが絶望を語り、読者の皆さんがそれぞれに心に響く言葉を見つけ出すことができる」(本文より)そんな一冊をお届けします。『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』を改題。
感想・レビュー・書評
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ゲーテの作品は未読ですが、カフカの変身は読んだことがあります
暗かったことを覚えています
ゲーテも、カフカの人となりもそんなに詳しく知ってはいませんでしたが…
今の私には、カフカの方が心に響いたかな
カフカは、とても繊細で、優しい人だったのですね
そんなに自分を責めなくても、と思ってしまいます
ゲーテが心に響かなかったのかと聞かれれば違います
若きウェルテルの悩みは読みたくなりました -
これほどまでに、ポジティブとネガティヴな天才を私は知らないです。ゲーテとカフカこの二人の性格は真反対です。だけども共通する部分もたくさんあります。天才が故に、一般人に理解されない部分もあるのかと私は思ったのですが、この作品を読んで意外に一般人に共感するところもあるんだなと感じました。是非ポジティブ、ネガティヴの人両方に読んで欲しいです。
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ゲーテの希望に満ちた名言とカフカの絶望が詰まった名言の対比が面白い一冊。
ゲーテは1932年に亡くなり、カフカは1883年生まれなので2人が対話することはあり得なかったが、この本ではまるで対話しているように2人の言葉が配されている。
例えばこんな感じで。
ゲーテ 「人の感情で最も高貴なのは、希望です。
運命がすべてを無に帰そうとしても、それでも生き続けようとする希望です。」
カフカ 「ぼくは自分の状態に、果てしなく絶望している権利がある。」
ゲーテ 「生きている間は、生き生きしていなさい!」
カフカ 「ぼくは静かにしているべきだろう。
息ができるというだけで満足して、どこかの片隅でじっと。」
希望と絶望の極にあるような2人の言葉は、その間を行ったり来たりする人生において、そのときどきの状況や心境によって響く言葉が変わってくるだろう。
最終章だけゲーテの絶望×カフカの希望と反転している。単に希望=良い、絶望=悪いという思い込みを覆されるようで、読みやすいが奥深かった。 -
ゲーテ、若きウェルテルの悩みは40年くらい前に読んだ気もするが覚えていない。でも人物に興味がわいたので池内紀のゲーテものでも読んでみようかという気になった。
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ゲーテ
- 大地にしっかりと立って、まわりを見渡すのだ。力のある者には、世界が語りかける。
- 望んでかなうことなら、努力に値しない。
- 絶望することができない者は、生きるに値しない。
カフカ
- 朝の希望は、午後には埋葬されている。
- ぼくの夜は二つあります。目覚めている夜と、眠れない夜です。
- 当事者であるぼくは、希望を持っている。 -
カフカがネガティブ過ぎて、終始ニヤニヤしてしまった。でも嫌いじゃない、カフカみたいな人。
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カフカに対する印象が変わった。勿論良い方向に!
ゲーテはファウストが強烈なため可憐な人物像と混ざらず敬遠しがちだったが
年老いてもなお恋をしていたその精神は何を置いてもの拠り所だったように思います。 -
YouTuberのベルさんが紹介していて気になっていた一冊です。
帯は、
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希望は誰にでもある。
絶望するよりは、希望をもつほうがいい。
(ゲーテ)
ああ、希望はたっぷりあります。
ただ、ぼくらのためには、ないんです。
(カフカ)
対照的な二人の文豪の、
心に響く対話をあなたに届ける一冊。
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二人ともさすがと言わざるを得ないぐらい、
言葉にパワーがあります。
そして訳者もこの二人を好きなんだろうな、と思います。
ゲーテのマインドは、
どこかのビジネス書でも読んだことがある気がしました。
ゲーテは一国の大臣を務めた経験もあり、
その経験からくる言葉だからか、
現代に通じるものがありました。
一方カフカは、
「もう!しっかりして!」と
言いたくもなりますが、
カフカの優しいところと
本人は至ってまじめなところが
疲れたときとか静かにしていたい気持ちのときは
これで大丈夫かも、と思わせてくれます。
表現は真逆でも言いたいことは一緒なのでは、
というページも。
「朝の希望は、午後には埋葬されている。」(カフカ)
この一言には、
思わず膝パーカッションを打ち、
笑ってしまいました。苦笑