文庫 カッコウはコンピュータに卵を産む 上 (草思社文庫 ス 2-1)

  • 草思社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794223098

作品紹介・あらすじ

1986年、まだネット黎明期のカリフォルニア・バークレー。事件の発端は75セントだった。ローレンス・バークレー研究所のコンピュータ・システムの使用料金が75セントだけ合致しない。天文学研究のかたわらシステム管理者をつとめる著者の初仕事はその原因の究明だった。調査を進めるうちに、正体不明のユーザが浮かび上がってきた。その人物は研究所のサーバを足場に、国防総省のネットワークをかいくぐり、米国各地の軍事施設や陸軍、はてはCIAにまで手を伸ばしていたのだ!――インターネットが世界を覆いはじめる前夜、「ハッカー」の存在を世に知らしめた国際ハッカー事件。その全容を当事者本人が小説のような筆致で描く。トム・クランシーも絶賛した世界的ベストセラー、待望の復刊!

感想・レビュー・書評

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  • 【ネットワークは人間の相互信頼と協調のうえにかろうじて成り立っているひ弱な共同体である。信頼が損なわれれば、共同体はもろくも崩壊してしまう】(文中より引用)

    大学の研究所に務めていた著者は、ある日ネットワーク・システムに75セント分の課金齟齬が発生していることに気づく。その原因を突き止めようとして彼がのめり込むようになったのは、政府機関を巻き込む国際的なハッカーの追跡劇だった......。著者は、ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所での勤務などを歴任したクリフォード・ストール。訳者は、翻訳家として活躍する池央耿。原題は、『The Cuckoo's Egg: Tracking a Spy through the Maze of Computer Espionage』。

    嘘のような本当の話を地で行く展開に驚かされっぱなしの読書体験でした。技術的な知識がなくとも軽快なミステリー小説のようにサクサクと読み進めていくことができる快作。サイバー・セキュリティの古典として名高いのも宜なるかなといった装いでした。

    バークレー、住み良さそうだな☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものです。

  • 私が読んだのは1991年刊の初版の方ですが、今の若い方にもお薦めしたいので再版された文庫版を登録しました。
    丁度コンピュータと出会ってその面白さにハマっていた頃でしたので、夢中になって読み耽った事を覚えています。

    当時、一般人はまだフロッピーディスクや光磁気ディスクでデータをやり取りしていた時代でしたので、ウイルスもフロッピー等のメディア媒体で感染するものしか目にしたことがありませんでした。それも、現代のそれとは違ってただ増殖するだけであったり、ちょっとしたイタズラを仕掛ける程度の愉快犯的なものばかりだったのです。
    自身の痕跡を消しながら回線上を移動するワームの存在は、話にこそ聞いていましたが、それが異国の研究所に入り込み、人知れずスパイ活動を行う様子にはただ目を見張るばかりでした。
    原文は読んでいないのですが、翻訳も良かったのではないかと想像します。「F的」「C的」等の訳にはさぞ苦労されたことでしょう。著者=主人公の「F的? 何それフーリエ変換?」といういかにも科学者らしい発想に笑いました。

  • 堂島のジュンク堂のコンピュータコーナーをふらふらしてたら発見。他の本で紹介されているのは見たことがあったが、復刻したとは知らなかった。しかも文庫で読みやすい。
    1986年、ネット黎明期に実際にあったハッキング事件を、当事者書き上げている。当時はデジタルとアナログの境界が曖昧だったり、逆に30年経っても変わっていないこともあったり、生々しくてすごく面白い。下巻も楽しみ。

  • もう古典と言っていいかもしれない、インターネットが普及するずっと以前の物語である。

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著者プロフィール

クリフォード・ストール(Clifford Stoll)
1950年、ニューヨーク州バッファロー生まれ。ニューヨーク州立大学を経てアリゾナ大学で博士号取得。天体物理学者。ローレンス・バークレー研究所のシステム管理者だった1986年、同研究所のシステムを経由して軍関係のサーバへの侵入を繰り返すハッカー発見、追跡。この事件は世界的に報道され、自身の体験をまとめた本書はベストセラーとなった。のちにハーバード・スミソニアン天体物理学研究所に勤務、現在はバークレーに戻って家族と三匹の猫とともに静かな暮らしを愉しんでいる。著書に『インターネットはからっぽの洞窟』『コンピュータが子供たちをダメにする』(ともに草思社)。

「2017年 『文庫 カッコウはコンピュータに卵を産む 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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