文庫 カッコウはコンピュータに卵を産む 上 (草思社文庫 ス 2-1)
- 草思社 (2017年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794223098
作品紹介・あらすじ
1986年、まだネット黎明期のカリフォルニア・バークレー。事件の発端は75セントだった。ローレンス・バークレー研究所のコンピュータ・システムの使用料金が75セントだけ合致しない。天文学研究のかたわらシステム管理者をつとめる著者の初仕事はその原因の究明だった。調査を進めるうちに、正体不明のユーザが浮かび上がってきた。その人物は研究所のサーバを足場に、国防総省のネットワークをかいくぐり、米国各地の軍事施設や陸軍、はてはCIAにまで手を伸ばしていたのだ!――インターネットが世界を覆いはじめる前夜、「ハッカー」の存在を世に知らしめた国際ハッカー事件。その全容を当事者本人が小説のような筆致で描く。トム・クランシーも絶賛した世界的ベストセラー、待望の復刊!
感想・レビュー・書評
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【ネットワークは人間の相互信頼と協調のうえにかろうじて成り立っているひ弱な共同体である。信頼が損なわれれば、共同体はもろくも崩壊してしまう】(文中より引用)
大学の研究所に務めていた著者は、ある日ネットワーク・システムに75セント分の課金齟齬が発生していることに気づく。その原因を突き止めようとして彼がのめり込むようになったのは、政府機関を巻き込む国際的なハッカーの追跡劇だった......。著者は、ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所での勤務などを歴任したクリフォード・ストール。訳者は、翻訳家として活躍する池央耿。原題は、『The Cuckoo's Egg: Tracking a Spy through the Maze of Computer Espionage』。
嘘のような本当の話を地で行く展開に驚かされっぱなしの読書体験でした。技術的な知識がなくとも軽快なミステリー小説のようにサクサクと読み進めていくことができる快作。サイバー・セキュリティの古典として名高いのも宜なるかなといった装いでした。
バークレー、住み良さそうだな☆5つ
※本レビューは上下巻を通してのものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
堂島のジュンク堂のコンピュータコーナーをふらふらしてたら発見。他の本で紹介されているのは見たことがあったが、復刻したとは知らなかった。しかも文庫で読みやすい。
1986年、ネット黎明期に実際にあったハッキング事件を、当事者書き上げている。当時はデジタルとアナログの境界が曖昧だったり、逆に30年経っても変わっていないこともあったり、生々しくてすごく面白い。下巻も楽しみ。 -
もう古典と言っていいかもしれない、インターネットが普及するずっと以前の物語である。