文庫 他人を支配したがる人たち: 身近にいる「マニピュレーター」の脅威 (草思社文庫 サ 1-1)
- 草思社 (2014年10月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794220837
作品紹介・あらすじ
表面はいい人、陰で執拗に攻撃する「マニピュレーター」から身を守る方法を、
豊富な臨床例をもつ心理学者が具体的に紹介。
複雑な人間関係に悩む現代人必読の書。
単行本『あなたの心を操る隣人たち―― 忍びよる「マニピュレーター」の見分け方、対処法』改題。
感想・レビュー・書評
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翻訳作品にありがちな、訳のわかりづらさ。「自分」とは誰を指していて、「相手」とは誰を指すのか、しょっちゅう混乱した(*_*)グルグル
第2章~第8章は、具体的な、身近に潜むマニピュレーターのエピソードに入るので、サクサク読めた。
が、第1章は様々な攻撃性のタイプ(反応的攻撃性、略奪的攻撃性、道具的攻撃性、受動攻撃性等)が出てきて、結構混乱した。さらに、攻撃性パーソナリティの5つの基本分類に加え、能動的非依存性、受動依存性なんてワードもでてきてもう大混乱(゚∀゚)ファー
「いかなる攻撃性もそれ自体を問題とは考えず、攻撃性の背後になんらかの障害や不安感、無意識の恐れを抱えているのではないかと、攻撃性をある種の兆候として捉えてはいないだろうか」という問いには思わず、えっ違うのと声が出た。わたしはずっと、プライドが高い人やマウントを取ってくる人、突然牙を向く人に対してもこんな風に思っていたわけですが、「これでは、患者(攻撃性パーソナリティを有している人)は“葛藤”を抱えているという仮定に目を奪われ、問題を引き起こしている元凶の攻撃性の存在を見落としてしまうことになる」。そして「この考えは、筋金入りの強者を恐怖に脅えて逃げまどう弱者と見なすものであり、こんな風にして状況の本質をなしている事実に誤解が生じていく」。また、この考え方は、攻撃性パーソナリティとは真逆の性格である「神経症的人格の特徴を過激に一般化し」ているものだそうだ。なるほど、一読者であるわたくしもこの作品が定義づける「神経症的人格」側にいるので、いつも攻撃してくる人たちの心をどうにか理解しようと試みてもうまくいかないのは、攻撃性がベースにある人たちがいる、という考え方をしてこなかったからなんですね。
衝撃はさらに続く。これまで多くの攻撃性パーソナリティに心をズタボロにされてきたわたくし、異動や転職を余儀なくされたことも。この本に出会ったきっかけは、DaiGoさんの動画で「カバートアグレッション」という概念を知ったから。それが今までわたしをズタボロにしてきた人とがっつり重なって、それで読むことにしたんだ。この作品の中で著者は「彼ら」を、パーソナリティ障害と断言する。
しかし、「一人ひとりに対して『あなたは神経症タイプ』、『あなたはパーソナリティ障害だ』と単純に振り分けることはできるものではない。が、人格の軸線上では神経症からパーソナリティ障害を両極にして、どんな人であろうとこの線上のいずれかの地点に位置づけられる。神経症とパーソナリティ障害のふたつに大きく分けて、どちらの傾向に属しているのか比べてみるのもとても有効的な方法だろう」。
なるほど、いわゆるスペクトラム、という考え方。
同時に思ったこと。
様々な職場でわたしの心をズタボロにしてきた彼ら。同僚や友人と話すと「やっぱりおかしいのは彼らの方だよね」と思ったからこの本を手に取ったわけで、つまりわたしは作者と一緒になって彼らのことを罵ってもいいはずなのに、なぜだか途中から、その「明らかに悪いのはあっちで、こっちは絶対おかしくない」というスタンス・考え方に疑問を持ち始めるようになっちゃって。すごく心の中がざわりざわりとして集中できなくなった。過去に攻撃性パーソナリティから受けてきた数々の攻撃、それらは心に封印してきたけれど、この本を読むことでその封を開けてしまったことによるものなのか、今関わっている攻撃性パーソナリティを有していると思われる人との立ち向かい方を思い描きながら読んでいるからなのか、自分では圧倒的に神経症タイプと思いながらも、パーソナリティ障害の割合が少なからずある、と気付かされたからなのか。
この本を読んでしばらくして、自分の周りにいる人たちへの見方が変わった。攻撃性ベースで関わってくる人がいる、と知ってから、これまでなんとなく苦手だな、と思っていた人達の背景に、攻撃性、操作性、マウンティングが垣間見えた。そして、彼らの発言を振り返って傷ついたこととか思い出して、やっぱり今までの「なんとなく苦手」の感覚は間違ってなかったんだなって思ったりもして。その直感は信じていきたい。
作中にもあるけれど、彼らは、こっちの弱いところをついてくる。だから、自分の弱点は彼らから自分を守るためには、向き合っておかなくてはならない。そこを突かれても動揺しないように。今まで自分の弱点が何か、うまく言葉にできなかったけれど、最近同僚と話して、少しだけ言葉にすることができた。だから、まずは今の人間関係の中で、相手の発言に違和感を覚えたら、その時に自分の弱点を突かれたことに気付くこと。これが、スタート。で、それができたら次。彼らが「どのような手口で操作しようとしているか、そのかけひきの手口を見極め、それにふさわしい方法で対応する」ということ。
ハードルが高い。人間関係、ずっとこれを繰り返して終わりたくない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
思うところがあり購入。
一読目では、具体例を読むだけで、強く共感したり、もっと強烈な境遇例にすっかり疲労してしまい、内容を受け取り切れなかった。
最近、改めて拾い読みする。
特に、第10章「相手との関係を改める」を、自分が現実に取ってきた対応と比較しながら、噛みしめるように読んだ。
たくさん付箋を貼る。
今後も、自分の血肉になるまで、何度か振り返ると思う。
全受容では、益々エスカレートしていく相手との、関係性の改善の糸口や、対応時の心構えなどを具体的に知ることができ、深く感謝。 -
人を追い詰め、その心を操り支配しようとする者―「マニピュレーター」は、聖書に書かれた「ヒツジの皮をまとうオオカミ」に実によく似ている。
本書の目的は、そのオオカミの正体を見抜き、何を相手がたくらんでいるのか予想し、関係操作の被害をの免れる為の方向性を示そうとする。
また同時にそのようなオオカミへの対処として、フロイト派の古典的な心理学理論ではもはや対処出来ない旨を訴える。
類似の専門用語の整理が難しい部分で★-1個とさせていただいた。
様々なパーソナリティのそれぞれの傾向を把握することで、適切な対処を促すものであり、例えば攻撃性パーソナリティは、やりたくもないことを強要されたり、自分がやりたいことを妨げられたりすることを嫌う・・・。
・人間関係をめぐる大半のトラブルは、かたや精神的には独立して他社に対して攻撃的である側と、その一方で、不安定な自分を抱え、他社に対してすがろうと必死になっている者のあいだで起きている場合がほとんどだ。
・虐待関係において攻撃する側の真のねらいとは、被害者本人に向けられているのではなく、支配する地位を得ることにあるのだ。
・神経症の患者はささいなことをつねに過大な問題と受け止めて頭を抱える。つまり些細なことを大惨事と考えてしまう。一方、攻撃性パーソナリティ―は、つねに自分の悪事をありきたりのものに見せかけようとする。そうすることで自分を問いただす者に、その非難はあまりにもひどすぎるとか、自分の立場に対する評価が十分ではないと思い込ませようとしている。… -
人を追い詰め、その心を繰り支配しようとする者--「マニピュレーター」うわべは穏やかだが、悪知恵にあふれ他人に容赦がない人のこと。潜在的攻撃的パーソナリティを備えている。
そういう人たちの事例と特徴、攻撃されやすい人の特徴と対処方法が書いてある本。
職場はコンサル会社らしく潜在的ではなく明示的な攻撃性を示す人が多いので、あんまり気にはならなそう。むしろ、自分がそういうものになってないか注意を払いたい。
家庭ではどうだろう。子供が親をあやつる事例もあったけど、ロジカルのかけらもない受け応えには気をつけたい。
なんらか苦しんでいる人にはヒントになる本かも知れません。攻撃する人は変えられない。 -
これに当てはまる疑いのある同僚1名、元友人1名との人間関係に消耗し、まさに本文中の
「混乱してやり場のない思いにとらわれ、気持ちが落ち込んでしまった結果、明晰にものを考えることができず、合理的に振る舞えないという傾向」を呈した者です。
当時は、誰かに相談しても「何故こんなにも嫌悪感があるのか」を言語化するのが難しく、悪口や陰口になってしまってさらに自己嫌悪→さらに落ち込む。のドツボ状態でした。
そんな気持ちをなんとかしようと「厄介な人への対処法」的な本を読んだら、そこに書かれている“厄介な人”の事例のほうに、「理不尽に怒りを抱えて相手に迷惑をかける自分」を重ねてしまい更に憂鬱になる、という袋小路でした。
ネットには、よりキャッチーで分かりやすい「フレネミー」などというモノもありますが、メンタリストDaiGoが言う「カバートアグレッション」や、この本が言うところの「潜在的攻撃性パーソナリティー」が正にヤツらにはドンピシャと思います。「障害」が付く程度かどうかは分かりませんが。
この本でタブーとされている「率直に向き合おうとするあまり、攻撃的になりすぎてはいけない」を私はやってしまっていたんだなあ…。
その二人とは関係を絶ったのでもう関わることはないのですが、今後もそういう人たちと出会う可能性は高いので読んでおいてよかったです。次は自分を守るために全力でWin-Winを目指します。
自分の中の過剰な罪悪感が少し軽くなりました。 -
自信を持ってアサーティブであることが出会わないことへのデザインに繋がるような気がしてきた。とはいえ出会わざるをえない場所もあるので、もし出会ってしまったら毅然とした態度であること。そのときは、いずれ分かり合える、いずれ変わってもらえることには過度に期待しない方がよいかもしれない。いわく、犠牲者たちが挑み続けた "勝ち目のない闘い" とのこと。
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サイコパス。
日本にいると、なんだか中二病な感じでとらえてしまうのだけれど、彼らは普通に周囲にいるといて、隙あらば支配しようと目を光らせているというから怖い。
この本ではサイコパスとは言わずにマニピュレーターを書かれている。
他人は自分が勝つための駒にすぎなくて、弱いものをかぎ取る能力が高い。
彼らと対峙せざるを得なくなったときに対応とか、交渉術が書いてあるんだけれど、こちらがちょっとでも弱気になればあっという間に食いにかかってくる相手に、どうしろと(笑)
話し合いでなど、どうにもならない相手。
人間が全員誠実とは限らないのだ。 -
世の中には「他人を支配したがる人」がいるため、その支配から逃れるためにはどうしたらよいのか、が書いてある本。
支配したがる人はどういう種類の人なのか、という解説から、支配したがる人の類型を紹介し、ではどのように我が身を守ったら良いか、が記載されている。大なり小なり人に支配されて嫌な思いをしている人は、読んでみると良いと思う。
特に参考になった部分は、「支配される側もつけ込まれる隙があるため、自覚し、隙を塞いだ方が良い」事や「理屈で考えては理解できないため、相手の不本意な行動を注視する」事や、「相手の嫌な行動に対して、毅然とした態度を取り、妥協しないのが何よりも大切」という事かな。
これ、ふと思ったけど外交も同じかもね。