加工食品には秘密がある

  • 草思社
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本棚登録 : 84
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794220486

作品紹介・あらすじ

「賞味期限」をいくら過ぎても腐らない「食品」。鶏も肉も、麺類もパン類もみな魔法の「トウモロコシ」で大増量。ビタミンは羊毛から採れる? 世界中の食卓にあふれる「加工食品」の最先端の姿を、詳細な取材をもとにユーモアをまじえて紹介する。驚いて、思わず笑って、それからゾッとする、これが現代の「食」の現実だ。

感想・レビュー・書評

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  • 科学技術が発展することは素晴らしいと思いますし、私達は先人の努力の成果を受け継ぐことで、より良い生活が過ごせています。

    特にこの10年程度で感じるのは、冷凍食品やファーストフードが美味しくなったことです。口で噛んだり臭いを嗅いでいる限り、噛み応え・香りはとても良いのです。

    でも最近、少し値が張っても美味しいと人気のあるお店で食べると、私の胃腸が喜ぶことに気づきました。私見ですが、この差は、本来の材料からのみ出てくる味と、合成された味との違いなのではと思っています。

    この本の著者が強調しているように、加工されていない原材料から美味しい料理を毎日つくることは難しく、私達は加工食品と上手に付き合っていく必要があります。

    加工品を毛嫌いせず、自分が食べる食品にはどんなものが添加されているのだろうかと考えることは大事であると再認識しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカ人が食べ物に費やす額は過去60年間で激減し、1950年には可処分所得の20.6%だったものが、現在では9.8%になり、合衆国史上、更には他の国と比較しても低い(p23)

    ・コスト削減の方策として化学処理やその他の新技術を用いた業者が、本物を製造する会社をしのぐ競争力を手にした結果、誠実な売り手は廃業するか、もっと安価な生産手段をやむなく採用するかの択一を迫られた(p46)

    ・コカコーラは、コカの葉から抽出したコカインに類する物質が含まれていたが、コカインの中毒性への関心が高まるなかで、1902年には含有量がゼロに近くなっていた(p52)

    ・2003年に、スライスチーズは、殺菌プロセスチーズ食品ではなく、殺菌プリペアド済みチーズ製品に表示が変わったが、その文字はとても小さかったし、味の違いも峻別不可能だった(p66)

    ・柔らかい餌を食べたラットは、カロリーが等価であっても、体重で6%、腹部脂肪は30%も多くなった(p93)

    ・1930年代になると、欧州の化学者が、ビタミンの調達源として食品にいっさい頼ることなく、それらの化合物を研究室で合成する方法を見つけ出した(p106)

    ・この五千年の歴史を持つ主食を作るのに欠かせない素材は、小麦粉・水・塩・イーストの4つ(p132)

    ・機械内でふくまされたり打ち据えたり、どんな仕打ちにもパン生地が耐え抜くには、生地改良剤が必要。サブウェイのパンには、弾力を保つために5種類の改良剤が含まれる(p134)

    ・私達の脂肪消費の内訳は、過去75年で変化した、昔より多量(1909年の2倍)に、さらには昔には存在しなかった供給源から摂取している(p160)

    ・今では油脂の総摂取量の44%が動物、残りの56%が植物由来の油だが、食物そのものではなく、植物から抽出、精製された工業油からおもに摂っている(p162)

    ・製品中の効果な肉の代わりを、水とともに大豆タンパクが部分的に務めている。野菜タンパク製品の割合は以前は30%が上限であったが、2000年に撤廃された(p191)

    ・大豆が製造工程を経て、分離大豆たんぱく質などになるころには、食物繊維・ビタミン類は、すべて熱と化学処理によって取り除かれるか破滅する。たんぱく質のほかに残るのは、いくばくかの鉄・カリウム・マンガンなど。市販の豆乳も同じ(p197)

    ・野菜だけで作られた物質を、鶏肉や牛肉そっくりの味にできるのは、肉の風味を分子レベルで真似ているから。大豆タンパクはそのままでは肉の風味はないが、アミノ酸まで分解していくと力強い風味が現われる。(p218)

    ・脂肪分や糖分を取り除けば、そのぶん、ゼロカロリーの甘味料・でんぷん・ガム類・味覚調整剤を、栄養的には空っぽの材料に置き換えられることになる。低カロリーだからといって健康的ではない(p239)

    2014年8月9日作成

  • 2015年2月新着
    「加工食品」を食べずに現代を生きることはまず不可能である。みんな忙しい。必要な栄養素を毎日ぜんぶ丁寧に料理して取ることなど出来るわけがない。だから加工食品をよく吟味して、上手に取り入れていくことだーという風に、おそらく誰もが思っている。それが現実だろう。では、それがいったい「本当はどういうことか」、一度きっちり読んでみたいというコワいもの知らずの方におすすめの一冊。手軽で安価でしかも安全な、そんな万能の食べ物などこの世にはないとわかってはいるけれど現代の科学がそれを可能にしたと、うっかり思ってしまいそうな時には本書を読んでみよう。『フードトラップ』を続けて読むと効果は倍になります。

  •  著者は、賞味期限の過ぎた食べ物がどうなるか気になり、シリアルやクッキーをキッチンの隅に1年近くしまいこんだ。また、食パン、ハンバーガーなども「実験対象」にしてみた。その結果は、腐るという言葉を知らないのかという驚きの結果になったとある。

     不老不死じゃあるまいし、いつまでもぴちぴちなんて何か裏があるのではないかと思う。加工食品の恐ろしさを良く表す「実験結果」だ。

     第11章では、食べ物が人格を変えると言う恐ろしい事実に触れている。訳の分からない加工食品を止めてから、以前は無気力でうれしいあるいは楽しいといった子供らしい表情を一度も見せたことのなかった子供が気分爽快になったとある。

     やはり、加工食付の生活を送っていると、体の中に「負債」を抱え込むことになり、中年あるいは老年になってからギリシアのように破たんして、体にいろいろな症状が出てくることになる。

     ダイエットコークなんて表示してあっても所詮は炭酸飲料。健康にいいわけがない。口に入れるものを買うときは含まれている成分を良く見て買わないと「悪い貯金」をし続けることになるから大変だ。

  • 本当に安心安全な食物を口にすることは、今やかなり贅沢なことになってしまったように思う。

    日持ちしなかったり、見栄えが色が悪かった食材が加工次第で美味しそうに大変身。何が混ぜられてるのか、よく知らないまま食べている私たち。お金を払って何を食べさせられているんだろう?

    食品に見えても実は食べ物ではない、こんな工業用物質みたいなモノを食べても生きている私たちって、案外頑丈に出来ている?

    私が心配してるのは今より未来のこと。このまま摂取し続けていて、将来カラダに影響が出ないわけないと思うから。自分の世代はセーフでも子供の世代、孫の世代に悪い影響が出るかもしれない。それで子孫が苦しむのかと思うと、かなりコワイ。

  • 2016.1.52016.1.19

  • 食品業界で働く人の多くが、自分の仕事を愛してやまない。新しいスナック菓子や評価を考え出すのは、高度なパズルを解くに等しい喜びを味わえる営みだからだ。

    誰もが、新鮮な野菜にありつけるわけではありません。つまり、世の中に加工食品は必要なのだ。

    加工食品はほとんどが白い粉末でできている。安い、輸送に適する、水分少なく腐らない。
    栄養を添加したり脂肪を減らしたりの調節がきくので、身体に良いとうちだせる。

  • ふむ

  • いやあ、怖いくらい秘密があるある。2014年出版。筆者はデンヴァー在住ライター。取材の過程で、工場見学を断る企業が多いって辺りが不気味。そして、加熱・化学処理・遠心分離・濾過・洗浄・真空処理…搬送や保存や嵩増しの都合で加工されて、なくなった栄養素を後から吹き付けるとか(涙)でも脱臭とか漂白とかは、消費者側の姿勢にも問題あるよな。しかしながら、大豆油の生産施設に防爆構造が義務付けられているのは、油の抽出工程でヘキサンを使うから」にはビックリだわ!神経毒ですよね…。

  • 498.54-ウオ 300410578

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著者プロフィール

ノンフィクションライター。ニューヨークタイムスのビジネス記者として長年活躍しており、ここ数年は食品問題を取材し本書にまとめた。

「2014年 『加工食品には秘密がある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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