日米衝突の根源 1858-1908

著者 :
  • 草思社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218629

作品紹介・あらすじ

ペリー来航から、セオドア・ルーズベルトによるポーツマス条約仲介にいたるまで、アメリカの姿は日本史の中からほぼ姿を消す。だが日本の明治期に当たるこの半世紀にアメリカで起きていた出来事こそ、日米衝突を不可避なものとする要因となったのだ。国内産業保護を基軸とするアメリカン・システムの綻び、イギリスを筆頭としたヨーロッパ諸国との領土紛争、国内の人種問題。南北戦争、米西戦争、移民排斥、ハワイ併合、フィリピン領有を経て、良好な関係にあった日本を仮想敵国と見なすまでのアメリカの動きを、米側資料により初めて詳細に描き出し、太平洋戦争の起源に新たな解釈を加えた画期的な書。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の明治期にあたる半世紀のアメリカの出来事が語られています。大陸横断鉄道開通によって太平洋からアジアへの交易が強く意識され出した。サンフランシスコと支那沿岸部の中間地点がミッドウェーであり、将来の紛争を想定した場合、重要な戦略拠点になるのでアメリカは1867年に領有を宣言した。低賃金で働く支那人は白人の職場を脅かすので、『支那人排斥法』を施行した。日本がハワイに触手を伸ばしているという理由により、ハワイをアメリカに併合しようとした。サンフランシスコ市長のポピュリズム政策によって反日本人感情は煽られた。

  • ペリー来航から半世紀の米国史を詳らかにすることで、日米衝突に至るであろう道筋を浮き彫りにします。米国側からあの大戦の起源をたどった史実は、知らないことが多く、歴史から学ぼうとするものにとっての必読文献だと思います。本書によれば、日米の衝突は必然ですね。とすれば、衝撃を緩和するにはと考えるべきでしょうか?太平洋を制するには、ハワイがバイタルと見抜き、手中に収めた米国は恐ろしい相手です。国内事情ばかり研究している我国の戦史研究。今更ながら、複眼的思考、俯瞰的思考の大切さを痛感します。

  • 開国直後の1858年から日露戦争直後の1908年までのアメリカ史を
    折に触れて日本との関係と照らし合わせつつ描く。

    非常に読みやすく、かつ面白い。
    アメリカの拡張政策や、ゴールドラッシュに端を発する
    カリフォルニア開発と移民排斥問題、
    ハワイ併合や米西戦争などを概説し、
    明治史の要所要所で現れるアメリカの意図や狙いに納得がいく。
    ある程度話を単純化しているように見られる箇所はあるが、
    概要を俯瞰する意味合いではこの分量が最適だと感じた。
    特に印象に残った米西戦争やセオドア・ルーズベルトについては
    改めて学びたい。
    近代史の知識を深めるのに適した一冊であり、オススメ。

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著者プロフィール

日米近現代史研究家。北米在住。1954年静岡県下田市出身。77年東京大学経済学部卒業。30年にわたり米国・カナダでビジネスに従事。米英史料を広く渉猟し、日本開国以来の日米関係を新たな視点でとらえた著作が高く評価される。著書に『日本開国』『日米衝突の萌芽1898-1918』(第22回山本七平賞奨励賞受賞)(以上、草思社)、『アメリカ民主党の欺瞞2020-2024』(PHP研究所)、『英国の闇チャーチル』『ネオコンの残党との最終戦争』『教科書に書けないグローバリストの近現代史(茂木誠氏との共著)』(以上、ビジネス社)など。訳書にハーバート・フーバー『裏切られた自由(上・下)』(草思社)など。

「2023年 『オトナのこだわり歴史旅 伊豆半島編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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