毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218407

作品紹介・あらすじ

総死者数4500万人!中国共産党最大のタブー、「大躍進」の全体像を、党の資料をもとに初めて明るみに出す。2011年サミュエル・ジョンソン賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 1958-62年の大躍進政策。4500万人が飢餓、暴力、拷問、強制労働で亡くなったとされる。正確ではない。とう案館の保管文書が一部、秘密指定解除になり、研究者が利用できるようになった。改竄もある。
    個別のエピソードは吐き気がするほど酷い。
    更にこの後、文化大革命があるのだ。
    文書が破棄されず残されるのはなぜか、歴史に断罪されるのはよしとするのか、不思議だ。日本軍は焼いたし、今でも改竄廃棄は当たり前。
    独裁は恐い。

  • 1958年から62年まで毛沢東の政策である「大躍進」によって、大量の食料が失われ、数千万の市民の命を奪った大飢饉が発生した。個人ファイルを保管していた部署の記録から、その実態を解析したのがこの本。 毛沢東が権力を拡大していくきっかけとなった政策は、中国人民に多大な負荷、犠牲を払わせた。 亡くなった人は4000万人以上と推定され、一人の指導者によるものとしては前代未聞のスケールだった。なぜこのような事態になったのか、その経緯と結果をいくつかのカテゴリーに分けて考察する。
    毛沢東の政策推進の裏で市民を弾圧する残酷な事例が沢山出てきて、読み進むのが辛い感じがあった。指導者が自分のメンツのために多くの人たちを犠牲にする。一人の命は、単なる統計上の数字として語られる。共産主義という理念が至上命題とされ、現実を見て見ぬふりをする。数字をよく見せるために粉飾は当たり前、ウソがまかり通る社会。共産主義の実態を見ると、様々な不具合を抱えていることがわかる。毛沢東は、世界の偉人の一人とされていた時代もあったが(中国では今でもそうだが)真実を知ると、ヒトラーやスターリンと同じレベルの独裁者であった。この時期の時代背景もあるけれど、それにしても酷い人権侵害で、現代の視点で見るととても耐えられない。それから60年経って、現代の中国に通じるところがあり、基本的に毛沢東の時代と今も変わっていないようだ。この本を読むと、日本に住めることの幸せを感じる。
    追記:戦争を仕掛けたプーチンのロシアも似たようなものだろう。国民は情報統制され、既に「情報の大飢饉」に見舞われているような感じがする。

  • 中国では、「天安門事件」でさえ検索しても情報統制されており、中国の一般人が知ることはできない。
    人災規模では、天安門事件がかすんで見えるこの「大躍進」という毛沢東の失政については、まだ当時を知る生存者がいるはずなのだが、その実態がよくわかなかった。
    著者は残された公文書を読み込み、その阿鼻叫喚の状況をつぶさにレポートしています。

    ここで素朴な疑問ですが、なぜこれほどの餓死者を出した明らかな失政に途中で歯止めがかからず、さらに党内で問題視されなかったのか、それは毛沢東の個人権力が強大すぎて、反対者が弾圧されたからに他なりません。
    当時の権力闘争の中では、反対者が粛清され、従順な側近しか生き残れなかったというのはわかるが、今でもなお毛沢東が多くの中国人に支持されているのは、やはり歴史教育のせいだろうか?
    そして今また、長期政権の習近平国家主席もまた自己の個人崇拝への道を進んでいるかのようで、歴史に学ばない中国の悲惨な歴史は繰り返すのか・・

    本書はもちろん中国では禁書扱いなのでしょうが、大躍進の後起こった1966年から10年続いた文化大革命までを大きな権力闘争による人災(20年弱の期間であわせると1億人以上の死者なのでもはや虐殺?)としてみれば、その恐ろしさと凄まじさがよりわかります。

  • 斜め読み。暴力、拷問、食人なんでもありの人災はなぜ起きたのか。

  • アクセス可能となった中国共産党の文書に基づいている。
    当時の政治情勢もよくわかる。
    本書では少なくとも4500万人が本来避けられたはずの死を遂げた、少なくとも260万人が拷問死あるいはその場で処刑と推察。
    大躍進の結果、毛への批判が高まり、それを回避するため、文化大革命をは発動。
    大躍進は、ソ連への対抗から、15年以内、イギリス(鉄鋼生産)を抜くと1957年11月に公言してから。

  • 大企業病と良く似てるな、と感じた。程度の酷さは、中国の方が遥かに上だけど…。
    数値目標を掲げて、トップにノーと言えない空気で進めると、何が何でも計画遂行するコト自体が目的になってしまう…。

  • 現在大躍進を遂げている中国のたった50年前の「大躍進」政策。餓死、拷問等々で4500万人以上の死者が出たと言う。何でも中央でコントロールする計画経済の陥る最悪パターンの集積。中国市場スゲーと関心するだけでなく理解しようと努力するとき避けては通れない歴史。

  • 知っていた、予想していた、以上の悲惨さに驚愕。
    国家が行った殺戮行為としてアウシュビッツより大規模。
    史上最大の愚行なんじゃないかしら。
    しかもこの後に文革。
    すごいな中国。
    これだけの大失態で国を破壊しまくったのにまだ存続していることがすごい。

  • [ 内容 ]
    総死者数4500万人!中国共産党最大のタブー、「大躍進」の全体像を、党の資料をもとに初めて明るみに出す。
    2011年サミュエル・ジョンソン賞受賞。

    [ 目次 ]
    第1部 ユートピアを追い求めて
    第2部 死の谷を歩む
    第3部 破壊
    第4部 生き残るために
    第5部 弱者たち
    第6部 様々な死

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 途中まで読んだが、よく調べられており面白かった。しかし、同じことを色んな角度から考察しており若干飽きてくる。この続きは、よっぽど暇でこの本以外に読むものがない限り読まないだろう。(文化大革命の方が興味あるし)

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著者プロフィール

フランク・ディケーター 香港大学人文学院講座教授。檔案館(党公文書館)資料を利用した研究の先駆者で、名著『The Discourse of Race in Modern China』(1992)、サミュエル・ ジョンソン賞受賞作『Mao’s Great Famine』(2010)(『毛沢東の大飢饉』(2011年,草思社))、最新著書『The Tragedy of Liberation』(2013) をはじめとする10冊の著書は、歴史学者の中国に対する見方や認識を変えた。

「2020年 『文化大革命 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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