「日米関係」とは何だったのか: 占領期から冷戦終結後まで

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794213228

作品紹介・あらすじ

1945年の敗戦から占領期を経て52年に主権を回復し、その後目覚ましい経済成長を遂げた日本の現代史はまた、アメリカとの関係の歴史でもあった。詳細な史料を駆使して、主にアメリカ側の視点から冷戦終結後までの日米関係を検証したのが本書である。戦後の冷戦構造下で共産勢力が拡大する東アジアに位置する「同盟国」日本は、アメリカにとってどんな意味を持っていたのか。敗戦で疲弊し生存のための経済復興に必死の日本にとってアメリカの存在とは何だったのか。さらにそこに軍事的脅威であり巨大市場でもある中国が影響わ及ぼしていく様が生き生きと描かれる。従来の日米関係の見方を大きく変える画期的著作であり、両国間の問題を考えるうえでの最重要図書である。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年刊。米国目線での戦後日米関係史(主に日中国交回復期迄が中心)。米国の新規公開文書を参考にするのは固より、その分析範囲は「赤旗」記事(ライシャワー駐日大使への共産党の評価等)にまで及び、実に重厚な記述。日本の全般的な位置づけが、対中政策のカードの一(一部、ソ連も含むが)であったことがよく判る。結局、日本の対米貿易参画・拡充、再軍備とその程度、沖縄問題、自民党や民社党(旧右派社会党)への経済的支援も、貿易立国日本が北東アジア市場を不可欠とするとの判断の下、共産党中国に日本を靡かせないための飴と鞭。
    政権担当者や駐日大使、時代情勢や日米の経済力により多少の濃淡はあるものの基本軸は変わらないということだろう。また、米国は自国に不利な言動はしない(例えば、①米中雪解け期には尖閣問題につき日本に辛い態度、②日ソ国交回復交渉と領土問題解決を破綻させ、沖縄施政権を維持するため、北方四島の主権帰属解釈をソ連有利に言明、③ニクソン対中和解など)。なお、米国目線からの岸内閣安保改定交渉、自民党のみならず民社党(社会党右派)へのCIAの財政支援は裏面暴露で興味深い。
    また、朝鮮戦争特需は教科書レベル的にも著名だが、ベトナム戦争特需は新奇ネタ(名前が挙がったのはホンダとソニーだが、他にも有りそう。)。ちなみに、日中関係に神経を尖らせてきた米国という構図があるならば、日中間の経済的・政治的関係性の推移は重要な検討テーマのはず。一端が伺える本書はあくまで米国目線で、日本側から分析した書を寡聞にして知らない。「大躍進」「文革」の時代の停滞は明瞭だが、それ以外が判然とせず。誰か書いてないかなぁ…。
    著者はアリゾナ大学教授。訳者は「太平洋戦争は何だったのか」「米英にとっての太平洋戦争」の訳出歴あり。

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