クレモニエール事件

  • 草思社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794212849

作品紹介・あらすじ

1988年、フィリップ・クレモニエールは妻殺しの罪により15年の禁固刑に処せられた。父の無実を信じる娘マリ‐エレーヌは、冤罪を晴らすため、青春の全てを賭けて司法との闘いに立ち上がる。1996年、ついに再審が開始され、世紀の冤罪裁判に判決が降りた。勝利を手にし、マスコミの寵児となった父と娘。だが父親は沈黙と無気力に沈み、部屋に引きこもる。何が不満なのかといぶかる娘は、弁護士との遅ればせの恋愛に現を忘れ、しだいに父娘の関係は軋み始める-。巧みな心理描写から生の愚かさを浮きぼりにする。物語巧者トロワイヤの真骨頂とも言える秀逸な作品。

感想・レビュー・書評

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  • 妻殺しの冤罪で入獄したフィリップ・クレモニエールが娘の訴えで再審され無罪を勝ち取った場面から始まる物語。
    冤罪が晴れて明るい展開になるのかと思いきや、家族間のぎすぎすとした空気の悪さ、正面から向き合えない父と娘、と重苦しい展開でした。
    父親から精神的に離れられずにいながら父親の弁護をした弁護士と体を繋げる娘の複雑な心の裡が細かく書き出されていました。
    そして父親のよもやの告白。
    根底から覆されるような場面でも展開は静かです。
    全体的に淡々としながら細部で起こるわずかな変化が漣のように広がる、そんな印象の本でした。

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著者プロフィール

1911年モスクワ生まれのロシア系フランス人作家。1935年に処女小説『ほの明かり』を発表して以来、2007年に95歳で没するまで精力的に小説、伝記、エッセイ等を発表した。日本でも多数の作品が翻訳されている。主な著書に、『女帝エカテリーナ』(中公文庫、1985年)、『ドストエフスキー伝』(中公文庫、1988年)、『バルザック伝』(白水社、1999年)、『プーシキン伝』(2003年)、『ボードレール伝』(2003年)、『ヴェルレーヌ伝』(2006年)、『フロベール伝』(2006年、以上、水声社)等がある。

「2023年 『モーパッサン伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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