ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと
- 青土社 (2021年7月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791773978
作品紹介・あらすじ
なぜアフリカのアスリートは足が速いのか
男子マラソン世界記録TOP5のうち3人のランナーはエチオピア人であり、多くのエリートランナーが輩出される――。ランナーたちは標高3200メートルのエントト山にこもり、午前3時から薄い大気の中でトレーニングを開始する。時には岩山に寝泊まりし、時にはハイエナがうろつくサバンナでトレーニングを続けるものもいる。彼らは、マラソンの世界記録を樹立することにより夢を実現できると信じて過酷なトレーニングを続けている。フルマラソンを2時間20分で走るエジンバラ大学の社会文化人類学の准教授が、15ヵ月にわたりエチオピアのランナー達とトレーニングを共にしたフィールドワークの記録。
感想・レビュー・書評
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アフリカのアスリートの見方が変わる本です。
ただ走っているだけでなく科学的な部分も取り入れつつ経験的な部分の練習もやっており、ただやみくもにやってあの成績が出ているわけではない事を知れました。弛まぬ努力がある。そして、1人じゃなくやはり仲間で競い合っていかなければならないこと、走る事に夢があることなど色々と気づかせてもらいました。
そして、ここに出てくるエチオピアのランナーのタイムは速いですね。私は到底一緒に走れません。 -
文化人類学者のマイケル・クローリー。
フルマラソン 2時間20分ぐらいのランナーでもある。
エチオピアのランナーの練習に入ってランニング文化を知る、考察する。
標高3,200m
考えただけでも息苦しい!
17
“走ることはたしかに苦しいが、他のスポーツでは味わえない、自分の中にある深いものを掘り起こしてくれるような感覚”
19
“成功するのは、足を動かす前に、目で見て、頭で考えるランナーだ。感情だけで走る者は成功しない”
ハードな練習をたくさんやっても、楽にはならない、速くなるだけだ…
速くなるためのトレーニングだから、いつまでたっても楽になることはない。
エチオピアの人は成功して大金を得るために、お金のために走る。
森の中、自然の中で、自然からの力を得て走る。
非科学的なものも信じ、走る。
練習する環境を与えられたものだけが練習できる。
練習すれば勝てると思っている。
仲間と走ることは重要。
“走ることは生きること”
エチオピア選手のようにハードなことはできないけど、走ることは生きることを実感する様々な要素が詰まってるから、やめようと思わないんだろうなぁ。
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男子は2時間8分切り、私はエチオピアで知り合ったアスリートが(マラソンで人生を変える)と語っていた時に目指していた数字だ。
アルコールは禁止だ。それから彼女や彼氏も必要ない。
ある程度の経済力がなければランニングには打ち込めない。
誰と走るかと同じ位重要なのがどこを走るかだ。
1人で走るのは健康のため。 -
これを読むととにかく走りたくなる。
そういう本 -
エチオピアのランナーはどのような生活をし、練習をしているのか。人類学者で、自らもフルマラソンを2時間20分で走る著者が、エチオピアのランニングクラブのメンバーと1年3か月の間、生活を共にした記録です。
・レースで賞金をもらうことで人生を変えたいと願うランナーたちの走ることに対する姿勢は真剣そのもの
・シューズが買え、クラブに入れるようなある程度経済力のある人しかランナーにはなれない
・練習は集団で一定のペースで走る。前のランナーの足を見て、同じリズムで走る。一人で走ることはあまりない(夜中にハイエナに襲われる危険があるからという理由もある)
・森の中、トラックで走るのが基本。アスファルトで走るのは週に1回だけ
エチオピアのランナーが大切にしているのは、仲間との絆、自然との共生、自分を信じること、夢にチャレンジすること。速くて強いランナーが次々と出てくる理由がわかる気がします。
いつかそのうち、森の中や草の上を自由に走れる環境に住み、走ってみたいものです。 -
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エチオピアン・ドリーム。
うっとりするような言葉。
そのために、食事も、睡眠も、息抜きですらランニングのために行う。
エチオピアで『走る』ということは、趣味ですることではないようだ。
生きるために走る。
日本人でそんなランナーはいるのだろうか。