「元号」と戦後日本

著者 :
  • 青土社
2.50
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 28
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791770069

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB24367747

  • 装丁:水戸部功


    【目次】
    目次 [001-003]

    第一章 「元号」とは何か――問いと対象 007
    1、問いと射程 009
      「元号」による時代区分への問い
      ‎「元号」とは何か――その歴史
      ‎本書の問題意識――「元号」と歴史の非対称性
    2、対象選択と認識利得 028
      対象選択の原理について
      ‎「元号」というカッコつきの表記について
      ‎問いと認識利得――「元号」の三類型
    3、構成と目的 039
      構成
      ‎現代の歴史意識のために
      ‎『「平成」論』で積み残した課題の解明にむけて

    第二章 「元号」と歴史意識――先行研究と方法 049
    1、「戦後」と「元号」 051
      「戦後」
      ‎戦後社会論として「元号」を論じる
      ‎「元号」と歴史意識をめぐる典型的な二項対立
    2、先行研究の整理 063
      時代区分論とは何か
      ‎時代区分論の相対化にむけて
    3、「方法」について 071
      佐藤健二による〈歴史社会学〉の基準
      ‎クロノロジーを選択しない理由、そして、方法の再定位

    第三章 「昭和」――「昭和史論争」と「もはや「戦後」ではない」の同時代性 079
    0、一九五六年の「戦後」 083
    1、「昭和史論争」再考 088
      「昭和」における「昭和」という再帰性
      ‎ベストセラーとしての『昭和史』
      ‎『昭和史』における「国民」
    2、文学論争としての「昭和史論争」 103
      文芸評論家と歴史学者の論争
      ‎一九五六年の文学論争
      ‎「昭和」=「戦前」
      ‎「科学」を担保する存在としての国民
    3、「昭和」と「戦後」の対比性 117
      『昭和史』における「昭和」
      ‎「昭和」という「元号」
      ‎「もはや「戦後」ではない」一九五六年における「昭和史論争」

    第四章 「大正」――「大正デモクラシー」と「戦後民主主義」の相似性 135
    1、「大正デモクラシー」とは何か 140
      「大正デモクラシー」の意味
      ‎「大正デモクラシー」の現在
    2、提唱者・信夫清三郎(一九〇九―一九九二) 150
      信夫清三郎による「大正デモクラシー」の定義
      ‎「大正のブルジョワジー」と「大正デモクラシー」
      ‎「民本主義」と「民政主義」
      ‎ネガティブな用語としての「大正デモクラシー」
    3、「大正デモクラシー」と「戦後民主主義」の相似性 172
      「戦後民主主義」
      ‎時代区分としての「大正デモクラシー」
      ‎「戦後」の相似形としての「大正」

    第五章 「明治」――「明治百年」と「戦後二〇年」の対称性 187
    0、なぜ「明治百年」なのか 191
    1、「明治百年」の知識社会学 195
      「明治百年」への懸念
      ‎国家的行事としての「明治百年」
      ‎「一九六八年」と「明治百年」
    2、桑原武夫における「元号」  208
      同時代における評価
      ‎「昭和史論争」と「明治の再評価」の同時代性
      ‎「大正五十年」
    3、竹内好と「明治百年祭」  217
      「明治百年祭」提唱
      ‎「維新百年が勝つか、戦後二十年が勝つか」
      ‎竹内好の「明治」
    4、「戦後」の原型としての「明治」 230


    第六章 近代日本の歴史意識の解明に向けて――「戦後」という時代の区切りかた 237
    1、「近代」  244
      「近代」/「脱近代」
      ‎「近代」としての「戦後」
      post-modern / post-war/‎そして/あるいは、一八六八年/一九四五年
      ‎近代社会の自己観察としての社会学
    2、「日本」 255
      「創られた伝統」としての「近代日本」の「元号」
      ‎「近代」的思考法から見た「元号」
    3、「歴史意識」――「戦後」という時代の括りかたの有効性 260
      

    注・参考文献 267
     注 [269-286]
     参考文献 [287-292]
    あとがき(平成二九年七月の終わりに 著者 識) [293-298]
    人名索引 [i-iv]


    【メモ】
    [著者]鈴木洋仁(すずきひろひと)
    昭和55年東京都生。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。
    京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金を経て東京大学大学総合教育研究センター特任助教。専門は歴史社会学。
    著書に『「平成」論』(青弓社、2014年)。共著に『映像文化の社会学』(長谷正人編著、有斐閣、2016年)、『作田啓一vs.見田宗介』(奥村隆編、弘文堂、2016年)など。



    【抜き書き】
    □81頁
     「昭和」。
     それは、現在では、「古くささ」や「懐かしさ」、ないしは、「レトロ」をあらわす記号となり、そして、〔……〕古き良き日本人を象徴する記号として使われている。
     ‎加えて、近年では、映画『三丁目の夕日』のヒットをきっかけとした「昭和ブーム」、あるいは、「昭和ノスタルジア」と呼ばれるムーブメントが、社会風俗としてのみならず、アカデミックな世界においても分析対象となっている。
     ‎しかしながら、この「昭和ブーム」分析においても、なぜ、「昭和ブーム」といった形で、「元号」=「昭和」が用いられるのか、という問いが、オミットされている。すなわち、なぜ、「昭和」が「古くささ」や「懐かしさ」をあらわす記号として機能しているのか、という問いは、不問に付されている。
     ‎より正確にいえば、「昭和」という記号によって、ひとつの古き良き時代という区切りを指し示せるのか、その理由と仕組みについては、解き明かされていない。

  • 東2法経図・開架 210.6A/Su96g//K

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1980年生まれ、東洋大学研究助手。
最近の主な著書に『「三代目」スタディーズ 世代と系図から見る近代日本』(青土社、2021年)、『「ことば」の平成論 天皇・広告・IT をめぐる私社会学』(光文社新書、2019年)ほか。

「2023年 『蜘蛛の巣上の無明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木洋仁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×