ワインの染みがついたノートからの断片 -未収録+未公開作品集-

  • 青土社
4.00
  • (2)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 47
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791767953

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分は正直、詩というものがよくわからない。
    だから、この本にあるものが、詩なのか、小説の一部なのか、はたまたただの走り書きなのか、区別がつかない。
    ただブコウスキーはみたくないものをみないのは楽だと知りつつ、そのみてしまう苦しみから目をそらさない作家だと思う。感受性の鋭さは柄のないナイフの刃みたいなもので、他人への武器にもなるが、それで自分を傷つけないわけがないのに、それでもナイフの刃をぐっと力をこめて握る傷の深さ。その傷からでる血が言葉になるから、他人の心まで到達する強さを持ってるんだろうな。
    そして、ブコウスキーの文章は、いつもボクシングを思いおこさせる。直線的でウエイトのある鋭い言葉の連打。文書の背後にわきたつ血と汗のにおい。ブコウスキーの作品はいつも、絶望も希望もない場所での殴り合いの、強制的な観客になっている感じがする。
    あぁだからこの人はいつも何かと闘っていたひとなんだろうな、きっと。

  • 未収録未公開作品集。追悼文、コラム、短編など様々に収録。ブコウスキーの作家になろうとしていた、とびきり若い時代もよく出てくる。図書館の本棚を片っ端から眺めていき、貧乏暮しで、職を転々としていた様子がたびたび出ていて印象に残った。きつい労働にもまれ社会への怒りがあるからこそ、言葉に力がこもるのかもしれない。

  • ブコウスキーの未公開+未収録作品集 Vol.1。エッセイ、自叙伝、他作家の本への序文、"Women" 風の小説から "PULP" 風の小説まで、手当たりしだいに収録したブコウフスキー詰め合わせ。お気に入りは、少年時代から "Notes of Dirty Old Man" を出版するまでを描いた「スケベ親父の告白」と、John Fante (文中はジョン・バンテ)を礼賛し世に出した「師と出会う」。

  • 2020/1/4購入
    2023/8/6読了

  • 本書わ昨年(2016年)11月、翻訳者中川五郎氏のライブ会場(美濃加茂本屋ワンダーランド)で氏本人から買い購めた。

    五郎さんが「訳者解説」に書いて有ることが大変に良い。

    以下文意のみ。
    「"訳者注釈"をほとんど省きました。これは手を抜いたというわけでは無く、今時は解らない言葉が出てくれば必要に応じてググればそれなりのことは載っているのでそうすればいい、と云う事と、そういう難しい"注釈"にいちいち手間を取りながら切れ切れに読むよりも、文章の流れと勢いに沿ってテンポ良く読んでいく方が良いと思ったからでもあります。」

    まさにその通りだとボクも思いました。

    本書との直接的関係はほとんど無いのですが、最近読んでいた『シャルロックホルムズ』シリーズがまさにこの"注釈"の為に途切れ途切れにしか読めなくて、何がなんだか分からなくなることしきりでした。 そりゃあ"注釈"って本文に※印付きで書かれれば、どうしたってそっちをチラリと読んでおきたくなるぢゃないですか。 そおしてその結果栞(しおり)を2つ3つ使うことになる。 その栞がポロリと落ちてありゃ本文どこだっけ? "注釈"の場所は?とパニクる。シャルロックホルムズシリーズの第8巻なんぞは、そういう理由から何回挫折したことか。だって "注釈"に乗っていることって大概わショウモナイ事が多くて呆れるのだもの。 アメリカ英語だとこう、だとか、なんとか出版の何年の版だとこういう表現のもあるとか、物語の流れからすると全部どうでもよいことなのだ!

    ああ、横道に逸れてしまったので、ここで無理やり戻すことにします。すまぬ。

    五郎さんは結構大量/沢山の文章を書く。ボクも、言いたいことを短くまとめるのは大変にむづかしいので、気にしないでどんどん書く。放って置かれるとこれ幸いとづんづん沢山書く。でも結局わ不要な部分わ削ってスリムで解りやすい文書に持っていったほうが断然良い。最初から何も書けないのでわとても困るのだが、沢山書いてその後で不要な部分ワ削って行く、という作業わ結構楽しい。だがしかしとても時間が掛かる。なので文筆を生業とするのわとても大変な事なのだなとつくづく思う。

    さてブコウスキー氏の書いた本文にも少し触れておきます。結論から言うと、全部読み通すにわ実に多大な努力が必要です。僕わ普段から「読書とわ能動的趣味」と云っていますが、本書ワまさにその通りで、意味を捉えながら読もうとすると本当に集中力が必要です。ハッキリ云うと疲れます。でして、ボクの場合わ読了に述べ7ヶ月を要しました。でも充実感わあります。

    やはり読書は良い趣味です。みなさんもスマホで詮無きゲームばかりして貴重な人生時間を浪費してしまわないで本でも読んで下さいませ。高言スマヌ!

  • ブコウスキーの単行本未収録、未発表の小説、エッセイをまとめたもの。ちょっと無理して書いた感じのするものもあったりはするが、「師と出会う」には感動した。ブコウスキーがまるで少年のようだ。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。

「2010年 『勝手に生きろ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

チャールズ・ブコウスキーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×