評伝ジャン・デュビュッフェ アール・ブリュットの探求者

著者 :
  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791766406

作品紹介・あらすじ

アール・ブリュットの唱道者にして20世紀フランスを代表する画家はいかにして生まれ、いかにして現代美術に架橋したか?従来の西洋芸術の価値観を反転し、反文化的創造の道を開示した特異な才能、めまぐるしく変容する作風と軌跡-その原動力とは?ブルトン、アルトー、セリーヌ、マルローをはじめとするあまたの芸術家・文学者との交流と同時代の思潮を浮き彫りにし、多彩な先駆的創造活動の全貌に迫る、待望の書き下ろし評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人が書いたとは思えないほどの文章力ではあるが、内容は面白かった。
    既成概念を打ち崩すことは難しい。育ってきた環境そのものがその人の思考に影響し、それをいったんゼロにして創造し直すことなど、考えただけでもめまいがする。それでも、美術の歴史の中で語られてきたものに疑問を持ち、違う美があったかもしれないと試行錯誤することは、決して無駄なことではない。
    正直なところ、アール・ブリュットにそれほど興味を持っていたわけではない。デュビュッフェ自身は意識的に文化の枠外へ出ようとしていたとしても、アール・ブリュットとして括られる人たちにそれほどの思想があったかどうかは疑問だからだ。いや、無いからこその「なまの芸術」だったのか。確かにアール・ブリュットの作品の中にも心惹かれるものはある。でも、思想があるのと無いのとでは雲泥の差だと思うのだ。
    文化の権威を否定しながらも、その思想が認められるようになれば、それが今度は権威になってしまうという矛盾。それならば、アウトサイダーとして、権威から離れてただ孤独をかこっていれば良いのか。しかし、それでは何も変わらない。でも、「これが美だ」と言われていたものに対して疑問を投げかける態度、それを促す作品、あれ?と思って立ち止まる、そんな引っ掛かりを日常の中に作ること、それこそが重要なのだ。ペリニー=シュル=イエールにあるという「ロゴロジックの部屋」。デュビュッフェは自分自身に、そして私たちに、「考える」ことを要求する。

  • 一人の芸術家の伝記としてこれ以上無いほどの評伝だと思います。アンフォルメルの画家と認識していましたが、デュビュッフェがそうではなく、むしろそう一括りにされることを良しとしていなかったことや、アール・ブリュットへのかなり踏み込んだ思いなど、よく分かりました。特に、ページの下方に参考になる絵を掲載されていて、非常に分かりやすかったです。

  • 気骨のあるやんちゃ坊主って感じか。その生き方はいいな。好きだわ。そしてその言葉にはいろいろ啓発された。だからといって明日からどうしようって事じゃないけどさ。たぶんこの本を読んだ影響はずっと残る予感がする。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784791766406

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