- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791761937
作品紹介・あらすじ
突然赤ん坊を授かった文学教師は欣喜雀躍。だが文学などはねのける幼児のエネルギーにはたじたじ。子育ての苦労を笑いのめし、赤ちゃんと触れあう甘美な経験を悦楽にみちた文章で綴る傑作エッセイ。
感想・レビュー・書評
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フランス文学者の親ばか日記。子供がいれば、少なからず共感できる部分も多い。冷静に親ばかであることを自覚しつつ、客観的にあろうとしつつ、でもやっぱり親ばかぶりが出てしまう。きっと自分もそうなのだろうと思ってしまう。
こんな文章がある。「子供がいないと文学がわからないというのはいったいどういう文学観なのだろうか」「自分が最も親しんできたのが、子供を作らない人々による文学だった」。なんだか妙に印象に残った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか面白かった。うちの子は今でもてっちゃんです。架鉄にハマっています。
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すごくいい。
普段同じような作者の小説しか読まない私が、ふと手にとって題名と装丁(この写真とは違う)に惹かれて借りてしまった。なんの本かよく分からなかったし、恥ずかしながら作者も知りませんでした。東大大学院教授?!フランス文学?!って読み終わってから思いました。
難しい話も少しだけありますが、基本的には(言葉は悪いですが)親ばかエッセイみたい。息子さんの行動を冷静に分析しているんだけど、でもやっぱり親ばかなところがあってそこがすごく好き。
2歳の彼の可愛い物言いや行動に読みながらニヤニヤしてしまいました。将来男の子が欲しいとさえ思った。それだけ描写が正確です。
こんなお父さん、すごく羨ましいな。
そしてこんなお父さんになれるような人に出会いたいとも思った。作者はすごい方みたいですが、一人のお父さんの愛情にあふれた一冊です。
ほっ*とする。 -
子供がいないと文学が分からないというのは一体どういう文学観なのか。一笑にふせば済む話だったが、意外に複雑な余韻を噛みしめる羽目になった。その投げかけ以降、育児の苦労が正直に述べられた部分にやたらと反応する様になってしまった。要するに遅ればせながら子供を持つ事への憧れの様なものが自らの内に湧いてきた為だろう。
独身主義者?であった作者が息子を得る事になり、そこから小さき息子の一挙手一投足に至るまでを手放しに可愛がる父親バカぶりを発揮する。客観的に観る余裕も若干持ちつつ…。
母の温かい乳房と赤ん坊の温かくぽっちゃりした体は最初から融合を前提とした一対の塊で両者が融合した瞬間に父親は余計者となる。なぜそんな存在をチチと呼ぶのだろう。母こそチチと呼ばれるべきでは?またオッパイの語源は何なのか?
子供と関わることの多い父の「テテナイクン」と阻害されながらも母より格下に置かれても溢れる子供への愛しい眼差しが至る所に感じられる作品。
父が感動した絵本に対し息子氏の無関心さが対照的で面白い。子供の感受性と大人の感性はやっぱりちょっと違うなぁと感じるあるある一コマでした。 -
野崎歓さんの、育メンぶりが満載の一冊です。時にはないがしろにされながらも、息子さんに注ぐ視線のあたたかいこと、微笑ましいです。独自の子ども論を、文学論とからめながら論理的に(ふざけてるようにもみえるのですが)語るところが、ただの育児エッセイとは異なり楽しめました。
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新聞に、この著者の新しい本のレビューが載っていたのがきっかけで、手に取ってみました。
フランス文学研究者の著者が、赤ちゃん(2歳の男の子)と過ごす日常を綴ったエッセイ。
テテ(この赤ちゃんは著者をこう呼ぶのだそう)がいとしい赤ちゃんに振り回されて過ごす毎日は、ほほえましくもおかしい。
この赤ちゃんと、うちの子は、電車好きだったり、トーマスのキャラクターをほとんど覚えてしまったり、それなりにかぶる部分が多かったので、にんまりしてしまいました。雨に濡れるのが嫌いなネコを「猫ちゃんとヘンリー、おんなじだねえ」というセリフとかね。
私は文学素養が乏しいので、著者が比喩に出すインテリジェンスな文学者にはほとんどついていけませんでしたが、きっと、それらの素養のある方が読むともっと楽しめるのでしょう。 -
(2009.11.12読了)
フランス文学の翻訳などをやっている人のようです。
最近出版した「こどもたちは知っている」の紹介記事で、「赤ちゃん教育」の存在を知りました。神さんが、興味を示したので、借りてきて読んでみました。
題名からすると赤ちゃんに対するしつけ教育か、知育の本かというイメージですが、単なる自分の子供に対する親ばかぶりを書いた本でした。
赤ん坊から、3歳ぐらいまでの時期について書かれています。結構親ばかぶりが楽しめます。
●御真影(26頁)
・息子のポートレートを人に披露した時の反応。
見る者の心をとろかす表情の愛らしさ、しかも頼もしい知力を感じさせるまなざし、そして太りすぎでもやせすぎでもなくいかにも優雅な曲線からなるその体つき。そのいちいちを口をきわめて讃美してもらって当然と思って示した写真を、さしたる感激の言葉もなしに、それどころかむしろつまらなそうな表情で機械的に眺められたりする場合が多く、本当に驚いてしまう。
●ジャン・クリストフ(29頁)
・昔読んだ「ジャン・クリストフ」の冒頭に赤子の泣き声が延々と響き続けるシーンがあっとことを思い出し、むやみに泣き続けるわが子を泣きやませる妙案でもあるかと読み返してみたら。
「何物も彼を静めることはできない」とロマン・ロランは重々しい口調で断言するのみ。
●微笑み(33頁)
憔悴した父母に向かって、乳児がはじめてにっこりとほほ笑んで見せたのは、生後どれくらいたってからのことだったか。その瞬間、父母は顔を見合わせてはらはらと落涙した。こちらの存在を、彼がはっきり認めて笑いかけてくれた。
●離乳(63頁)
そろそろおっぱいとさようならしようか、と言われたある二歳の女児はこう毅然と答えたという。「ママ、そんなこと私に二度と言わないでちょうだい。おっぱいは私の生きがいなんだから。」
●女性に声を(115頁)
幼児を連れて外に出るときに愉しいのは人に声をかけられることだ。声をかけられなくても、優しく慈しむようなまなざしを向けてもらうだけでたちまち気持ちは晴れやかになる。しかもその視線の主のほとんどは女性である。
文学者の書いた本なので、いろんな作品の話が出てきます。もし気に入った本が見つかれば、読んでみるのもいいでしょう。お子さんは、電車が好きだったようで、電車の話、いろんなことを電車にたとえて話すことなどが述べられています。「脱線」とか。
著者 野崎歓(のざき・かん)
1959年、新潟県高田市生まれ
東京大学文学部仏文科卒業
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部仏文科准教授
専門はフランス文学、映画論
2000年、J.P.トゥーサン作品の翻訳によりベルギー・フランス語共同体翻訳賞
2001年、『ジャン・ルノワール 越境する映画』等でサントリー学芸賞を受賞
2006年、「赤ちゃん教育」で講談社エッセイ賞を受賞
(2009年11月15日・記) -
松井るりこさんの日記を拝見して、知った本。
そりゃもう抱腹絶倒、とまではいわないが
笑えること請け合い。
フランス文学や谷崎の本を出している教育者のうちに、「鉄ちゃん」がやってきた。
赤ん坊とは、男にとってかくもうるわしく光り輝く物か。
父の書きあげたばかりの原稿を丸めてゴミ箱に捨てる我が息子、
谷崎全集の上で爪をとぐ黒猫。
どちらにも頭が下がらない文学者。
うちの夫に煎じて飲ませたいくらいの書物であるが
勧めても一顧だにしなかった。 -
すごくいい。
普段同じような作者の小説しか読まない私が、ふと手にとって題名と装丁(この写真とは違う)に惹かれて借りてしまった。なんの本かよく分からなかったし、恥ずかしながら作者も知りませんでした。東大大学院教授?!フランス文学?!って読み終わってから思いました。
難しい話も少しだけありますが、基本的には(言葉は悪いですが)親ばかエッセイみたい。息子さんの行動を冷静に分析しているんだけど、でもやっぱり親ばかなところがあってそこがすごく好き。
2歳の彼の可愛い物言いや行動に読みながらニヤニヤしてしまいました。将来男の子が欲しいとさえ思った。それだけ描写が正確です。
こんなお父さん、すごく羨ましいな。
そしてこんなお父さんになれるような人に出会いたいとも思った。作者はすごい方みたいですが、一人のお父さんの愛情にあふれた一冊です。
ほっ*とする。
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野崎歓のキャラと親バカが合っている。とぼけ方が上品でいい。2007.2.19