アントニオ・カルロス・ジョビン: ボサノヴァを創った男

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791756674

作品紹介・あらすじ

ボサノヴァの創始者にして最高のミュージシャン、アントニオ・カルロス・ジョビン。音楽との出会いから、「想いあふれて」「イパネマの娘」などの成功、芸術家としての苦悩まで、繊細かつダイナミックなその世界観-実妹が語るジョビンのすべて。秘蔵写真多数、ディスコグラフィー付き。

感想・レビュー・書評

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  • そもそもアントニオ・カルロス・ジョビンが1994年まで存命であったことをはじめて知った。サブタイトルに「ボサノヴァを創った男」とあるように、ボサノヴァの創始者として認知されている彼が比較的近世の人であるということは、ボサノヴァそのものも、「ノヴァ」の名に恥じず、新しい音楽だったわけか。もっと伝統的な音楽かと思っていた。

    アントニオ・カルロス・ジョビン、愛称トム・ジョビンはナイーブだけれども放蕩。世渡り下手で、家族が一番大切。腎臓癌の手術の合併症でなくなる最後まで子どもみたいな人だなと思った。

    訳者あとがきで書かれているように、ブラジルにおける家族観は日本のそれとは大きく違うようだ。日本は「とりあえず一緒に住む」ことが先に立つけれど、社会の成員の間での信用の絶対量が少ない(らしい)ブラジル社会では、一緒に住もうが住むまいが、家族や親族のつながりはとても強い。本書の書き手は実の妹のエレーナ氏だが、家族だからこそ生活ぶりがうかがえるエピソードが多い。

    今では多くのカフェで流れるお手軽オシャレBGMという認識の濃いボサノヴァも、音楽的には相当ややこしい素養を要求される音楽らしい。あとがきで山下洋輔がそう書いてる。アメリカのジャズ・ジャーナリズム界がこぞってボサノヴァへのジャズの影響を強引にかきたてようとしたのは、文化的帝国主義みたいなものが透けて見える。トム・ジョビン本人は最後まで「私は自分の音楽をやっているだけだ」と取り合わなかったようだが。

    音楽のジャンル分けや、影響を与えた/受けたというような上下関係を持ち込むことは無粋だと思う。フレーズやコード進行盗用の法廷闘争もしかり。

    そんなビジネスや業界内での権威争いをよそに、今日も世界中で「イパネマの娘」が鳴っている。その作曲者はきっと、天国でも海岸の心地よい風をうけながらピアノの前に座っていることだろう。

  • ブラジルの偉大なる作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンについて娘のエレーナが書いた伝記です。ジョビンの父や先祖までさかのぼって彼の背景まで綴っています。細かく、余すところなくジョビンの生涯が語られていて、ジョビンの音楽に魅力を感じる人ならば必読の一冊だと思います。坂本龍一さんもこの本を推薦していました。

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