佐々木敏のデータ栄養学のすすめ

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  • 女子栄養大学出版部
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789554497

作品紹介・あらすじ

栄養疫学の第一人者が語る食の真実・33話。

感想・レビュー・書評

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  • 一見、科学的根拠に基づいているかのような情報が数多出てくる現代において(間違いではないが一部だけが切り取られて強調されていたり)、それらをどう受け止めるべきか、安易に飛び付かないためのヒントが欲しくて本書を手に取った。

    この本を読んでも情報を正確に見極めることは簡単ではないと思うが、少なくとも安易に飛び付いたり鵜呑みにしたりすることはなくなると思う。

    「健康的な食事」はとても難しい科学だということがよく分かった。とても複雑で、まだ結論が出ていないこともたくさんある。食品や栄養素だけを見ていてはいけないし、時代とともに変わり、社会の推移の中で考えなくてはならない。各々の置かれた状況や環境、食習慣によって異なる。

    全体的に非常に興味深く、栄養学についてもっと知りたくなった。

  • パラパラ読むと「回りくどい、結論は何なの?」と言いたくなるかもしれません。しかし、これは事実を段階的に踏まえて考察しているからであり、逆に内容が信頼できる証しと思います。(本書でも言及されていますが、科学者が一般に断定を避けがちなのはこうした理由といえます。)

    そしてしばしば読者にも、「この図から読み取れることは何か?」など問いかけをされます。きちんと考えると時間を取りますが、これも巷にあふれる 「○○で✕✕が良くなる!」などの分かりやすい言説に飛び付かず、自分の頭で考えてほしいというメッセージと受けとりました。

    かくいう自分もバターコーヒーのような怪しい健康法に乗ってしまったこともあり、反省です。。とにかく、きっちり読めば意識が高まる良書と思います。

  • きちんとデータを踏まえた常識的な栄養学。食糧生産効率にも目が行き届いていてよい。

  • 食と健康に関する情報について、「読みやすさ、わかりやすさと科学的な正しさの両立」を見事に実現!本著は素晴らしく、わかりやすく、とても面白かったのですが、それが故に、食に関する情報の「闇」は奥深く「一体何を信じれば、、、」と、途方に暮れる読後感。

    書名の「データ栄養学」というのは著者の造語。"事実確認を怠ったまま社会に流される「食と健康の情報」があまりに多いと感じたことへのアンチテーゼ"として、著書が提唱しています。

    ".本書の執筆にあたって、読みやすさ、分かりやすさと科学的な正しさの両立を目指しました" と前書きに記されている通り、エビデンスをしっかりと提示しつつ、これほどわかりやすい本、なかなか見たことがないなーと。

    続きはブログにて!
    https://hana-87.jp/2018/10/21/読みやすさと科学的正しさが両立する希少な書「/

  • 野菜摂取で死亡率が減るのは心筋梗塞や脳卒中などが減るため。がんは変わらない。
    フルーツ&ベジタブル。日本人に不足しているのはフルーツ。
    尿量から食塩摂取量を測る。

    全粒食物で、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病が予防できる。玄米ご飯を一日一杯。

    トウモロコシにはナイアシンが少ない=ペラグラという皮膚病の原因。

    食塩といえば胃がん。総摂取量よりも刺激、摂取頻度のようが関与している。

    主食は味が淡泊で食べ飽きないことが条件。これはビタミンやミネラルが不足する。これが副菜が必要な理由。

    食べる速さが速いと糖尿病の発生率が高い。野菜を食べると必然的にゆっくり食べることになる。

    セカンドミール効果=朝食をたっぷり摂ると昼食、夕食後の血糖値上昇が低くなる。

  • 「栄養データはこう読む!」よりわかりやすかった。栄養学というよりデータの読み方の本だね。確証バイアスはTwitter利用者の私にとって気を付けなければいけないことだと思った。

  • 食と健康や栄養学の研究に携わっている人には、是非オススメしたい1冊。読んでよかったです。食の健康情報を鵜呑みにするのではなく、データから「本当にそう言えるか?」考えながら見る、新たな視点を学べました。

    「○○は‪✕‬‪✕‬に良い/悪い」という色々な食の健康情報について、これまでは「ポジティブ/ネガティブ両方の報告があるし、条件や個人差も大きいから、一概には言えない」・「結局はバランスよく食べること、食べ過ぎないことがいちばん」と結論づけていました。
    それはそうなんだけれども、佐々木先生は、「結局はバランスよく食べましょう」でまとめてしまうのは勿体ない(世界中で色々研究をやっているのに、まとめ方が雑だ)と論じ、「言えること/断定はできないが傾向が見えること/巷で言われているウワサは誇張されすぎなこと」等を、データに基づいて丁寧に解釈している。掲載されているデータも、誇張されたグラフやチャンピオンデータ、ポジティブデータだけを引っ張るのではなく、複数の研究を参照している。世界中のメタアナリシスのデータも引いているし、必要に応じて元データを加工して自分が検証したいことがより考察しやすい形に図の見せ方を変えている。
    専門用語や考え方を、初心者に分かりやすいように噛み砕いて説明しながら。

    すごい。本当に、栄養学研究のプロだ。
    丁寧に事実を推察していくこの佐々木先生の姿、見習いたい。

    この本は、手元に置いておいて、繰り返し読みたい。

  • 楽しみにしていた1冊です。
    一度読んだだけでは理解できません。難しすぎるという意味ではなく、2回目3回目で新たな発見がある深みのある1冊です。
    私自身、もともと「人」に興味があり、「人」のすべてを知ろうとするときに、人生は短すぎる、「食」を切り口に「人」に関わり、少しずつ知っていこうと思ってから10年以上。どんどん深みはまっていっています。
    佐々木先生の本はその深みの整理を視点を提供してくださり、かつさらなる深みに連れて行ってくれます。
    先生がある講義で「1を知ると、10の疑問が生まれる」とおっしゃっていました。
    そのような気持ちで、ずっと「人」×「食」に関わっていきたいと再確認できる1冊でした。

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    資料の返却期限は9/22(金)です。

  • 栄養学の説明を、データに基づいた科学者的立場と、落ち着いた語り口になっているのが好印象だった。
    (押し付けでもなく、知っていることをひけらかしているのでもない。それだけで読者の心は助けられるのだ)

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著者プロフィール

1949年10月20日生 東京多摩市
1969年 都立駒場高校保健体育科卒業
1973年 東京学芸大学教育学部体育卒業
1975年 同大学院 修士課程修了
1977年 札幌 北星学園女子短期大学に勤務
2002年 北星学園大学に転属 現在に至る

「2014年 『詩とエッセー 煌めきの瞬間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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