92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て

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  • 実務教育出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788914810

作品紹介・あらすじ

築170年の古民家の園舎で、数十年も前から
モンテッソーリ教育とアドラー心理学の“いいとこどり”を
実践している「奇跡の保育園」がある。

そこで主任保育士を務めている大川繁子さんが、
60年かけて、2800人以上の園児たちに教わった、
子どもがよ〜く育つコツ。

感想・レビュー・書評

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  • みんながみんな、豪華な派手な花を咲かせる人生でなくていいでしょう。自分らしい花を咲かせる人生でいいでしょう。というようなことが書いてあって、当たり前の事だけど、そうだよな〜と。
    ついつい目の前の子育てだと、
    ”こどもが優良生であって欲しい、何かが上手くできて欲しい、賢くいてほしい…”いろんな理想を求めてしまいそうになるけれど、
    とにかく自分らしく育つよう、見守っていけばいいのよね、色んなこがいるんだよ、と言い聞かせるような。

  • 子どものやりたいという気持ちを大切にすること。
    "深刻になっても、事態はさほど変わりません。"
    まぁいいかの気持ちを持つこと。
    大人相手にしないことは子どもにもしないこと。
    「待ってね」はその場しのぎではなく、次の約束になる。必ず守ること。
    子どもの問題行動には目的がある。何のサインか見抜いてあげること。
    あたりまえのようにできていることこそちゃんと見てあげること。
    親は忘れることでも子どもは覚えているってこと。
    「あなたのそういうところが好き」は伝えてあげること。
    子どもに信頼されていないと、本当のことを話してくれないこと。
    子どもにも言いたくないことがある。問いつめないこと。
    うそをつかれても思い切ってだまされたふりをしてみること。
    勉強ではなく、学びで子どもは成長すること。

    育児といえど、人対人だから思い通りにいかないことだって多いし、期待しすぎないこと。毎日のことだから頑張りすぎないこと。そんなに力を入れなくてもいいこと。力を入れてしまうと子どもに見好かれること。肩の力を抜くことが大事なことを優しく教えてくれる。

  • 学校で教えられたわけでもなく、子どもが生まれた瞬間からいきなり実践で学ばざるを得ない「子育て」という責務に、今でもどれだけのお母さんお父さんが苦心していることだろう。そんな親たちにこの本が伝えるのは、画期的な子育てワークスタイルではなく、子育てに対する価値観のアップデートだ。この本は俗に言う子育て本というよりも、世のお母さんお父さんたちを子育ての苦痛から救うための思想書、という方が近いかもしれない。

    著者は自分の保育方針を「ほったらかし保育園」と言うけど、全くほったらかしなんかしていない。話し方、興味の持たせ方、褒め方、食事の摂り方…ありとあらゆる領域において「自由と責任」を実践している。
    何も「あらゆることに気を配ることが重要」と言ってるわけではなく、要は「相手を信じる」ということだと思う。例えば「子ども」を「恋人」に置き換えてみれば、意外と書かれていることは至極当然のことのようにも思える。相手の話に共感する。相手の行動の理由を聞く。約束は守る。ウソは時には聞き流してあげる。子どもの場合はそれらに加え「保護」という側面も必要だけど、保育の本質は日々僕らが実践している(実践すべき)、相手を信じることから生まれる「対等なコミュニケーション」なんじゃなかろうか。その意味で、子育ては決して日常からかけ離れた特殊スキルというわけではないのかもしれない。

    「相手を信じる」を最も感じたのは食事のバイキング制度だ。すごい、そこまでやるか。食べるものを子ども自身に選ばせるなんて、それは「保護」という視点で見れば賛成しにくいことかもしれない。でも実際には子ども自身「だけ」で選んでいるわけではなく、保育士の小さな声がけを受けながら「一緒に」選んでいるのかもしれない。それがきっとセーフティネットになっている。でも、子どもたちはおそらく「自分で選んだ」という実感を持っている。そこが大事なのだ。

    対子どもとなると、どこか上から目線になったり支配的になったりする人はきっと多いと思う。でも逆もしかりで、子どもには優しくできるけど、会社の部下や同僚、その他世間の大人たちとなると途端に厳しくなる人も一定数いる。どちらにしても子どもを特別なまなざしで見ていることには変わりなく、差別的と言えなくもない。
    本書には「子どもは対等な存在」と書かれているけど、もっと言えば「全ての人間は対等な存在」という価値観が重要なんだろうな。その体得には本書でも触れているアドラー心理学を学ぶことが効果的なのかもしれない。



  • 「大切なのは、なにからなにまでお膳立てして会得させることではなく、「〇〇したい!」と思える機会や環境をつくること。」
    「決めるのは子ども。大人は「決めるための材料」を伝えるだけ。」
    「自分で考えて、どうするか自分で決めてもらうのです。」
    「一緒にルールを決めてみる」
    「「いい子」「すごいね」と評価しない」
    「その落とし穴とは、褒められることが、行動の目的になってしまうこと。」
    「自分がやりたいことより、周りから褒められることを優先して、進路や仕事を選んでしまう可能性もある――。つまり、他人の評価ばかりを気にして行動するようになってしまうのです。」
    「褒めずに感謝の気持ちを伝えることで、そんな貢献のようこびを感じてほしいと思うのです。」
    「できることは、できるだけ叶えてあげる。
    でも、子どもの奴隷になる必要はない。
    できないことは、理由をしっかり話す。
    そして、約束したなら絶対に守り切る。
    そうすることで、親は子どもの信頼を得ていくのです。」

  • タイトルのとおり、親子で幸せになる子育てが学べる一冊。

    大切なのは、「自由に生きる力と責任」を育てること。親は子どもをしつけるのではなく、子どもの自立をお手伝いするというスタンス。

    自分が選んだことを没頭する経験を積むと、
    ・自分は何がしたいのか気づける子になる
    ・やりたいことに没頭できる子になる

    「〜しなければならない」というマインドは捨てなくてはと思った。

    トイレトレーニングだって無理にやらなくていい。
    オムツは外れる時に外れる。

    ごはんだって無理に食べさせなくていい。
    子どもは食べたくなれば食べる。

    絵本も自分が読んで楽しいものを、子どもに読んであげればそれで良し。

    色々と気が楽になった。

    定期的に読み返したい本であること間違いなし!

  •  子どものことをひとりの人間として接する。
     自分と違う考え方、方法をとる人のことを否定しない。
     本書からは、これが大切だということを教えられた。実践するのはすごく難しいだろうけど・・・。対子どもだけでなく、対大人でも必要な視点だと思う。

     

  • この本は、子育てのヒントというより幸福論として受け取った。
    子どもを対等な存在として捉える。個性を見つける、その才能を目一杯発揮してやる。親が人生を楽しむ姿を見せる。
    一年後に読み返して、自分の現在地を確認したい。

    備忘録
    ・子どもに対して評価の言葉は使わない
    ・習い事⇒子供のやりたいことで一流の先生を探す
    ・絵本⇒自分の好きな本を楽しんで読む、親子のコミュニケーションの道具
    ・夫婦仲がいいこと、それに勝るいい子育て環境はない。
    (著者が不仲ではなかったが、夫婦二人で歩む感覚がすっかりなくなってしまったというエピソードが印象的)
    ・何歳になっても心が動くことをやりましょう

  • 「せねばならぬ」
    保育士をして3年目辺りでこの考えがこの思いが子どもに関わる上でのイライラの原因になっているのでは…?と気づいた。「どうしてしないの!」「いまはこれをする時間でしょ!」「その玩具は今は出さないの!」正直こんな声掛けをしている先輩ばかりだったし、流れ作業のように子どもに関わる姿も多かった。だけど全て大人の都合だし、何か違うよな〜とモヤモヤしながらも、「ずっとこうしてきてるから。」それで片付けられてきた。「せねばならぬ」そう思ってるから、そうしてくれない事に腹が立って無理矢理にでも抑え込んで、大人も子どもも爆発し合う。このおばあちゃん保育士も最初はそうだったと書いてあって少しホッとした。

    当たり前に行われてることに疑問を持つことはおかしな事ではない。当たり前を変えることは時間はかかるけどできない事はない。子どもたちの生きる力を育てるためにも身近にいる大人の心を動かしていきたいなと思った。関わる大人が変わると子どもの成長も変わっていくもんね。大人の気持ちはひとまず置いておいて、まずは子どもが何を見て何を感じて何を伝えたいのかゆっくり観察しよう。そこが分かると心が軽くなるよ。

    あとイヤイヤ期で悩む保護者に向けて「イヤイヤ期」は「やりたいやりたい期」だと思うから時間の許す限り一人で取り組める時間を用意してあげてくださいね。何をしたいのか受け止めてあげてくださいねってよく伝えてるんだけど、この本にも同じような事書いてあって嬉しかったな。「イヤイヤ期」って呼ぶのやめたらいいのにってずっと思ってる。

  • 素晴らしかった。92歳という年齢だけで説得力が5割増しだが、保育の思想before→afterの両方を30年経験してること・モンテッソーリもアドラーもブーム前から取り入れなおかつ良いところ取りしてる柔軟さと相まって、どこでも言われている保育思想なんだけども説得力がハンパない。

    自分で考えてみると、自分の言葉で話せるようになる。大川さんの保育思想がそのままご自分の成長に繋がってるいるのだろう。

    よくある保育書には「正しいこと」が書いてあるが、説得力がない(から響いてこない)ということがこの本と対比することで見えてきた。

    あとでやることメモ:
    抜粋してメモする

  • 子育てで悩んでた時に本屋で目に止まり、共感しながらノンストップで読んだ一冊。

    共感したフレーズ(●は特に重要)

    〇保育テーマが「自由と責任」

    〇みんなが無意識にら囚われてる「せねばならぬ育児」を手放すと、とってもラクでポジティブになれる

    ●なにからなにまでお膳立てして会得させることではなく、「〇〇したい」と思える機会や環境を作ること

    ○子供が決めたことには口出し無用

    ○自由に生きる為には、考える力が不可欠

    ○自分自身を見つめる習慣がついていないと、身体や心の声に気づくことができない

    ●何か行動を起こして欲しいときは、命令ではなくお願い
    「〜してくれませんか?」
    「〜してくれると嬉しいのだけど」

    「する」「しない」か相手が考えて、「しない」と決める余地を残すのがポイント

    ○子供に対して評価の言葉は使わず、自分の気持ちを軸に接する

    ●褒める事の落とし穴は、褒めることが行動の目的になってしまう
    (ゴミが落ちている時、周りに人がいるかで決めるようになってしまう)

    ●「待ってね」と言ったら必ず約束は守る
    →「待ってね」は「無理」「あきらめなさい」の意味になり、期待を裏切られた記憶になる

    ●できることは、なるべく叶えてあげる
    でも、子供の奴隷になる必要はない
    出来ないことは、理由をしっかり話す
    そして、約束したなら絶対に守り切る

    ○問題行動には必ず目的がある
    叱る前にその目的(何のためにその行動を取っているのか)を探っていく

    ○理不尽な現実にぶつかった子供には
    「もしかしたらその場ではふさわしい振る舞いではなかったかもしれないけど、あなたのステキなところで、ママはそこがだいすきだよ」と認めてあげる

    ●この人は話を聞いてくれないと思ったら、子供は口を閉ざすか、ウソをつく。
    だから親は、子どもに信頼されなきゃいけない

    ○発達の三角形を意識

    ④知識の習得
    ③社会さの発達
    ②自主性の発達
    ①情緒の発達と安定

    ○過保護とは、子供ができるのに手を出すこと
    これは「甘やかし」で自主性の発達を妨げる

    ○おもちゃの取り合いは「あとで貸して」「どうぞ」「ありがとう」のやりとりを学ぶと減る

    「ケンカ両成敗」は大人が決める事じゃない

    ●親子の絆を育てるのは、時間より「密度」
    一緒にいる時にどれくらい「いい時間」を過ごせるかが、親子関係を決める

    ●TVやDVDをたくさん見ると、映像ならではの情報の多さに慣れてしまい、想像力も育たない
    →情報量の少ない絵本がつまらなくなり、刺激の多い映像を求める
    →出来るだけ「見せっぱなし」にさせない
    声をかけたり、隣に座ったりお膝に乗せたり
    「一緒」に楽しむ

    ●絵本にしつけをさせよう、あわよくば勉強の足しにしよう…なんて思ってはいけない
    →絵本はあくまで「親子で楽しむもの」

    →教育熱心で真面目なママほど、絵本を読みながら
    「赤いお花はいくつ?」とテストをしたり
    「やっぱり兄弟は仲良くしないといけないって事だね、分かった?」と道徳の時間になりがち

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著者プロフィール

足利市小俣町にある私立保育園「小俣幼児生活団」の主任保育士。
昭和2年生まれ。昭和20年、東京女子大学数学科入学。
昭和21年、結婚のため中退。昭和37年小俣幼児生活団に就職し、昭和47年に主任保育士となり、現在に至る。
足利市教育委員、宇都宮裁判所家事調停委員、足利市女性問題懇話会座長などを歴任。
モンテッソーリ教育やアドラー心理学を取り入れた創立70年の同園で、およそ60年にわたり子どもの保育に携わっている。

「2019年 『92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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