奇跡のフォント 教科書が読めない子どもを知って―UDデジタル教科書体 開発物語
- 時事通信社 (2023年3月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788718715
作品紹介・あらすじ
ある日、UDデジタル教科書体を初めて見た子が「オレはバカじゃなかったんだ……」と叫びました。読み書き障害の人でも読める「奇跡のフォント」はどうやって生まれたのか――。
この本は障害のある子どもを救いたいという熱意に駆られ、人生を賭して一つのフォントを生み出したデザイナーの実話です。「見やすい文字」を追求してきたタイプデザイナーの試行錯誤のプロセスを通じ、ディスレクシアの子どもに普通の文字がどんなふうに見えているのかを、明らかにしていきます。
彼女の仕事のお陰で、今、私たちは、フォントを変えるだけで、発達障害で苦しんでいる子どもやその家族を救うことができるようになりました。仕事や努力を通じて、よりよい世の中を実現できるという前向きなメッセージを発信します。
感想・レビュー・書評
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自分のPC(Windows10)にも入っている「UDデジタル教科書体」フォントが世に出るまでを描いた本。UDとはユニバーサルデザインのことである。
ロービジョン(弱視)のため文字がはっきりしない。ディスレクシア(読み書き障害)で文字が動く、重なって見える。視覚過敏で明朝体の「はね」とか「はらい」が突き刺さるように感じられる。そうした子供たちに配慮したフォントがUDデジタル教科書体。
本書では、作者が書体デザイナーになるまでの道のりから、ロービジョンの当事者や教師、研究者の方から意見を聞くなどしてフォントを開発してきた経緯が紹介されている。
さらには、UDデジタル教科書体を使用する際のアドバイスも載っている。
そして、本書の本文には「UDデジタル教科書体」が使われているのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フォントの種類は今本当にたくさんあって、これとこれは一体何が違うんだろう?と思うようなフォントもあったりして
学習障害については知ってはいたものの、それがフォントを変えるだけで読めるようになるとは知らなかった
一つのフォントを作るためにこんなにも時間をかけ、こだわり抜き、完成させていく
その一連が書かれています
書かれているこのフォントは可愛いと思うけれど、もう少し、もう少し字を大きくしてもらえるともっと読みやすかったな…
という、フォントについての本なのでフォントへの感想です -
内容は興味深く、面白かった。しかし、字が細かく、読みにくい本だった。本の内容と読みにくさの違和感がすごかった。普段問題なく、本を読めているのだが、私の問題だろうか?
フォントはUDであっても、字の大きさ、行間、1ページの字の量等でこんなにも読みにくいのかと、勉強になった。 -
SNSなどですでに見聞きしたことある話が一冊の本にまとまった。いわゆる「ユニバーサルデザイン」にさまざまな当事者の声が反映されるようになったのもこの十年ぐらいかな、という気がするが、その立役者の1人の奮闘記。
この本では著者がレタリング・フォントづくりの世界へ入ったきっかけからはじまり、デジタルフォントの世界の発展史もたどりながら、ユニバーサルデザインのフォント開発への道のりが語られている。100%の正解ではないにしろ、これまで読むことで苦しんだり諦めたりしてきた少なからぬ人に希望を与えた「UDデジタル教科書体」を世に出すまでの道筋を知るのは、ユニバーサルデザインという考えを理解する上でも助けになるし、なにより著者の体験としてフォント開発の黎明期を支えた人物の名や仕事ぶりを記録して残すという意味でもありがたい一冊。紆余曲折のなかフォントの開発に協力した研究者や会社の上司による解説コラムがあるのもよかった。
フォントや字組の問題は難読や弱視などの機能的な障害がある人に限らず、読みやすさの好みが多様でなかなか複雑なのだが、これひとつで勉強や仕事の能率もだいぶ違ってくると知って意識するだけでもだいぶ違う。この先も、美的感覚だけに頼らず多様な利用者からの声を聞き、ニューロダイバーシティなど最新の知見に注目しながら、「つたえる」ための道具を磨いていくであろうフォントオタクな著者に期待したい。
最後の特別章は、日頃デジタル教科書体を使っていて困っていた行間の問題のことなどが書いてあった(けっきょく固定のピッチにするという自己流の解決方法で正解だったらしい)。アルファベットがちょっと使いづらいともずっと思っていたので、そこはUDdigikyoLatinやUDdigikyoWritingを使ってみたいけれど、これはPCやアプリに入ってなくてモリサワから買わなきゃいけないのかな…学校(職場)でライセンスとって使えるようにしてくれるとありがたいのだけど…
読みながら、わたし自身、高校生でワープロ(まだ液晶が2行しかなかった)を手に入れてから、外字機能でビットマップフォントを作ったりしていたことを思い出した。ワープロの機種によって書体に好き嫌いもあった(「平成書体で文字がきれいです」はNEC「文豪」だっけ)。美術でもレタリングがたのしくて、図書館でいろいろな書体の図鑑のようなのを借りたりもしていたけれど、それもこの著者がいた会社などで作っていたのかもしれない。 -
今日、届いて読了した。タイプバンクさんには、IPA fontでお世話になっていたので、興味深く読めた。
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胸アツお仕事物語。フォントには元々興味あったけど、開発段階の並々ならぬ工程を知れて、意義深かった。NPとNKの違いって何?という疑問も解決!欧文書体の話も、ディスレクシア·ロービジョンの実証実験も、これでもかこれでもか!
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U Dデジタル教科書体フォント、好きで良く使ってたけどこんな苦労があったのか。。
フォントのデザインは細かすぎて正直よくわからないとこもあったけど、デザインはそうでないとな。
たくさんの人が救われて、希望の持てる話。