百戦錬磨 :セルリアンブルーのプロ経営者

  • 時事通信社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788716940

作品紹介・あらすじ

新日本プロレスリング株式会社社長兼CEO。日本語と英語とオランダ語など6ヶ国語を自在にあやつり、海外でのビジネス経験も豊富なプロ経営者、ハロルド・ジョージ・メイ。外国人でありながら日本人の感覚も持ち合わせる国際人メイが、キャリアを築くベースになったマーケティングのこと、経営や組織のこと、英語学習のことやグローバル社会のこと、社長としての思いやプロレス愛などについて綴った初の著書。

感想・レビュー・書評

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  • 新日本プロレスの社長にオランダ人が就任と聞いた時は耳を疑った。しかも、前職はタカラトミーの社長、その前は日本コカ・コーラの副社長、サンスターの執行役員。全くもって意味が分からん、というのが当時の正直な印象だった。さらに言えば、プロレスが持つ独特の胡散臭さに魅力を覚える古いプロレスファンからすると、こんな“マトモ”な人がプロレス界に足を踏み入れて大丈夫なのか、とさえ思っていた。
    ところが、蓋を開けてみれば、絵に描いたような新日本プロレスの快進撃、V字回復。日本語、英語、オランダ語を含む6か国語に精通し、ブランド構築などマーケティングに長けたプロの経営者に対して、大丈夫なのか、などと思っていた非礼を恥じる羽目になった。
    その戦略は、プロレスが何たるかをきっちり理解した上で、地に足がついたもの。契約関係を徹底的に整備して、プロレスラーの決め台詞や肖像権、ジェスチャーもIP(知的財産)として契約書に明記。そして、それを活用したIPビジネスを収益の柱にするという、プロレスのもつ胡散臭さを消すどころか、それを最大限に活かす戦略がなんとも頼もしい。

    本書のカテゴリーはプロレス本ではなく、れっきとしたビジネス本。平素な言葉で自身の経験や哲学を語り、これから社会で働こうという若手ビジネスパーソンに最適な内容で、新日本プロレスを知らなくても十分楽しめる。
    それでも、やっぱりプロレスファン目線で見ると、メイ社長が筋金入りのプロレス者であることを本書で再確認できたことが何よりも嬉しい。日本で過ごした幼少期、まだ日本語も覚束ない時に観たプロレスに夢中になり、心が折れそうになった時に励まされたというのだから、ここに共感を覚えるプロレスファン(特にワタシのようなオールドファン)は少なくないはず。少しプロレスに距離を置いていた時期もあったけれど、(1月の東京ドーム大会は観戦に行ったし)今はしっかりカムバック。引き戻してくれたメイ社長に感謝!

    ちなみに、本書の初版限定で付いてきたのが新日本プロレスのロゴマークをモチーフにしたステッカーと、プロレスラーをモデルとした水墨画をあしらったクリアファイル。こんなところにもメイ社長のプロレス者としてのセンスが感じられる。

  • 著者が日本に来たのは1971年の夏。
    8歳のハロルド少年は、父親の仕事のため家族でオランダから横浜に引っ越してきた。

    母国から遠く離れた異国の地。

    右も左もわからない。
    日本語どころか英語もわからない。

    そんな時に出会ったのが、日本の文化。

    盆踊り。
    歌謡曲。
    仮面ライダー。
    「8時だョ!全員集合」

    そして、プロレス。

    「父が家でプロレスを観ている時にとても楽しそうだったのは、父も移り住んだばかりの日本で苦労していたので、プロレスでストレスを発散し、諦めずに闘うエネルギーを得ていたのだと思います」(P168)

    中学高校は、インドネシア。

    大学は、アメリカ。

    就職先は、日本を選んだ。

    奥様も日本人。

    ハイネケン、日本リーバ、サンスター、日本コカ・コーラ、タカラトミーを経て、新日本プロレスリング株式会社社長兼CEOとなった。

    「私はキャリアの残り時間すべてを新日本プロレスに捧げたいと思っています。『プロ経営者』と言われていることもあり、いつかまたもっと高額のオファーがあればプロレスの仕事を辞めて他に行くのではないかと思う人もいるかもしれませんが、私にとってプロレスの仕事は運命を感じる特別な仕事です」(P172)

    「私は以前から新日本プロレスの大ファンでしたが、この会社に入る前より今はさらに新日本プロレスを好きになっています。それはプロレスの格好よさや面白さ、奥深さだけでなく、それを取り囲むファンの方たちが最高だと気付いたからです」(P241)

    青き新日本の血が流れる情熱のオランダ人プロ経営者。

    百戦錬磨の闘士が、新たな歴史を創りゆく。

  • 《自己覚知ができている優秀なビジネスマン》

    少年期に日本で暮らした経験がきっかけで、日本で社長として働く目標を叶えた、自称「3分の一日本人」メイ社長。
    「簡単に言うけど、それがなかなかできないのが日本人」ということを柔らかく指摘している。
    とても生きやすいオランダ出身、アメリカの大学でビジネスを学んで、日本で会社を経営する「三重人格」的な人だからこそ分かること、できることがあるに違いない。
    素晴らしい社長像あるが、思わぬ所にいた。

  • ちょこちょこ読んでいって、ようやく読了ー。

    まぁよくある経営者の自叙伝ではあるかな。いろんな会社を経営されているので、退屈はしないと思うけど。

    この手のビジネス本はたまに読むんだけど、やはりこういう経営者ってのは凄い視点が広いんだよね。「ビジネス相手はどうするか」「消費者はどうするか」「〇〇年後だったらどうするか」とか。
    その幅が広ければ広いほど、ビジネスとして成功する確率が上がっていく。マーケティング向けの行動心理学なんかその典型で、あれは消費者の行動を予測しようとしてるわけだ。

    個人的には公演していた縁で買ったけど、講演内容にあった「キャリア」についても話してよかったと思ってる。まぁそれが5章なのかも。

  • 講演会も聴いてきました。
    契約書の文言を時間をかけて自らチェックする、これはとても大切なことだと実感しました。
    プロレスも収益を確保しつつ、更に盛り上がる仕組み作りをされている。
    そういう考え方に触れられる一冊です。

  • 肩書を見て「うん??」となって読みました。
    内容は「さすがのプロ経営者」
    といったところですが、
    最終的に「子どもの時に好きだった新日本プロレス」というのが、シンパシーを感じました。

  • メイ社長の考え方やそれを形作る生い立ちが中心の本です。ビジネス本として参考になる本でした。
    一方でシンプルなプロレスファンや新日本ファンの方々には、プロレス現場のことが多いわけではないので、物足りないかもしれません。

  • ふむ

  • トップの特徴など、あらためて認識、考えさせられたことが多くあった。

  • NHKで特集していた新日本プロレス社長の、プロ経営者論。堅苦しくなく為になる‼

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著者プロフィール

新日本プロレスリング株式会社社長兼CEO。

1963年オランダ生まれ、8歳から13歳まで父親の仕事の関係で日本で生活する。その後、インドネシアへ移り、大学からはアメリカへ。NYU修士課程修了。ハイネケン、ユニリーバ、サンスター、日本コカ・コーラ副社長、タカラトミー社長を経て現職。タカラトミーでは業績をV字回復させ、在任中同社の株価を4倍近く上げた。現在は新日本プロレスリングでその手腕を発揮中。テレビ東京「ガイアの夜明け」やNHK「おはよう日本」などで紹介され、マスコミ、経済界からも引っ張りだこの異色の経営者。日本語が堪能で明るくユーモアのある人柄でも知られている。

「2019年 『百戦錬磨 セルリアンブルーのプロ経営者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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