ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMベーシック編)

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788510715

作品紹介・あらすじ

迷い、決断し、修正しながら手探りで進めていく質的研究のプロセスを追体験しつつエッセンスが理解できる、原理的にして実戦的な超入門。

感想・レビュー・書評

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    めちゃめちゃわかりやすいです。

    リサーチクエスチョン(何を明らかにしたいのか)に照らし合わせて
    適切な方法を選ぶことが重要なのであって、
    質的研究だからダメだとか、量的研究だからダメだとかいった
    不毛な信念対立はもうやめましょう、そんなものは研究以前の問題です、
    というメッセージが伝わります。

  • これは、タイトル通り「質的研究」の定義や意味、内容などを網羅的に扱った
    内容になっています。講義形式になっていますので、話し言葉で書かれています。
    よって、極めて飲み込みやすい内容・形式になっていますので、イマイチ
    質的研究と量的研究の違いが分からない。インタビュー系は全部質的なのでは?
    と漠然と考えている人達にとっては、かなり理解を促してくれるでしょう。

    目安として、目次を記載しておきます。
    1.自己紹介とイントロダクション
    2.質的研究法とはどのような研究法か?
    3.仮説と理論
    4.研究テーマとリサーチクエスチョンを考える
    5.グループディスカッションの実施
    6.テクストから概念を作る
    7.対象者をどのように選べばよいか?
    8.質問項目を考える
    9.研究倫理とインタビューの基本
    10.パイロット・インタビューから学ぶインタビューの実際
    11.インタビューの結果と分析ワークシートの作り方
    12.分析ワークシートの検討
    13.理論の作り方
    14.理論の検討
    15.理論のバージョンアップ
    16.理論的飽和から目的相関的飽和へ

    この目次を見て頂けると分かると思うのですが、この流れにそって一通りやってみる事が
    出来る、又はやる流れを具体的に把握できるので、かなり分かりやすいです。
    ただ、本書の中でも言われていますが、質的・量的どちらも使いながら、MIX的に研究方法が
    一番良いのではと個人的には思います。

    これから質的を学びたい人、まずは手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

  • 質的研究手法を紹介。「ライブ講義」とあるように、本文は著者(教員)と学生の対話で成り立っているのが最大の特徴。初めの方の基礎的な概念説明では、この対話形式がすごくまどろっこしい。ここはごく普通の文章でよかったんじゃなかったんじゃないか。
    一方、具体的なインタビュー→分析→理論構築というところになると、対話形式がすごく活きてくる。実際の研究で悩ましいと感じることが学生の愚痴を通じて語られ、それに対して著者が答えるという形になるので、研究の勘所や力加減みたいなソフトな部分が実感をもって理解できる。アドバンス編もあるようなので、機会を見つけて読んでみようか。

  •  質的研究法を学ぶ学生の皆さんには、まず読んでもらいたい図書です。質的研究法と言っても方法は様々ありますが、研究の着想から論文の書き方、学会発表対策までの一連の流れをここまで丁寧に書いている書籍は他にないと言っても過言ではありません。
     普通、教科書や専門書というのはなんとなく敷居が高くて、『よし、読むぞ!』と気合を入れないとなかなか読み進めないし、難解な定義や言葉で頭が混乱したりするものです。しかしながら本書は、学生との対話形式で議論を進めており、平易に読み進めることができます。まずはこの本を読んで頭をほぐしてから、更に詳しく掘り下げたい場合は、他の専門書に進むことをお勧めします。
    (2012ラーニング・アドバイザー/シス情 SATO)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1302585&lang=ja&charset=utf8
    (シリーズの別の巻「研究発表から論文執筆、評価、新次元の研究法まで」もあります:http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1329320&lang=ja&charset=utf8

  • 「その本には上下が逆の円錐が二つ書いてあって、量的研究は「広く浅く」だけど、質的研究は「深く狭く」なんだ、少ないけど深いんだと書いてあった。たしかにそういうところはあるとは思うんだけど、それが質的研究のメリットだというのは、何か違うなって思う。それは結局「量」を規準に語っていて、体積でいうと同じだよって言っているわけでしょう」(46)

    著者の言う、オリジナリティ(素材)の創出というところに質的研究の一つの意義が確かにあるなと思う。質的研究は最近やっている人が多いという話を聞くけれども、同時に研究というと、どうしても実証的研究のほうを思い浮かべる人も多いわけで、そういうのを敬遠している人に対しても「研究って魅力的だよね」と言えるだけのポテンシャルを持っているなと感じた。

    なにはともあれ、質的研究をやりたくなる一冊。

  • 質的研究の勉強会にでる準備として、まず一冊読み終わりました。アドバンス編も楽しみです。

  • 本書は,質的研究の入門書であり,著者の構築した「構造構成的質的研究法(SCQRM:Structure-Construction-Qualitative-Research-Method)」をベースに講義形式でまとめられた本です。

    講義形式で,初学者がつまづく点や疑問点を分かりやすく語り,まとめられています。

    修正版グラウンテッドアプローチを用いて,研究を進めていくプロセスも含めて紹介されており,葛藤や悩みに共感しながら読み進めていくことができます。

    質的研究の本を読んでもいまいちピンとこないものや内容理解が難しいものが多かったけれども,この本を読んでからならば,読み進められるのではないかと思います。

    質的研究をするにあたっての入門書としては最適だと思います。


    以下,amazonより引用
    ______________________________
    第1回 自己紹介とイントロダクション
    第2回 質的研究法とはどのような研究法か?
    第3回 仮説と理論
    第4回 研究テーマとリサーチクエスチョンを考える
    第5回 グループディスカッションの実施
    第6回 テクストから概念を作る
    第7回 対象者をどのように選べばよいか?
    第8回 質問項目を考える―関心相関的質問項目
    第9回 研究倫理とインタビューの基本
    第10回 パイロットインタビューから学ぶ
    第11回 インタビューの感触と分析ワークシートの作り方
    第12回 分析ワークシートの検討
    第13回 理論の作り方
    第14回 理論の検討
    第15回 理論のバージョンアップ
    第16回 理論的飽和から関心相関的飽和へ

  • 「質的研究とは何か」を、会話形式でわかりやすく講義していくような説明スタイル。ただぼんやりと「どうなのかな?」と思っている疑問を学術的にするためのヒントが満載。


    ①質的研究の優れている点(p24)

    どうしても定量的な研究には量や数値で劣ると思われがち。だが、定量研究はなんらかの前提の上で統計にかけるなどを行うが、定性研究はその前提自体を問い直すことを行う。「その環境の中で生きている内部者の視点を持つ。」定量的な研究では見えない、そこに質的研究の意義がある。

    ・ 定量…実態調査、事実確認、仮説検証
    ・ 定性…仮説生成

    ②リサーチクエスチョンの考え方(p56)

    質的研究は人々の内的視点を重視することが1つの特徴であり、人々の内的側面、意味世界の様相やその変化を捉えるのに向いている。だから、対象者が○年後にその出来事をどのように位置づけ、どのような意味を見出しているのかはRQになる。これは事実の問題ではなく、その人が当事感じていた“どのように感じていたかの”実感であるため、当時の事実のズレは問題にされないのである。

    ③リサーチクエスチョンを学問の俎上に載せる(第6回 テキストから概念を作る)

    ある事柄に対して、1年後にどう感じているか、それが肯定的なこともあれば、否定的なものもある。そこから、その人にとっての位置づけや意味が多様化していることを分類すれば、概念が作り出せる。話した内容ごとにタイトルをつけ、それを分類する中で、通説とは違う一面が見えてくるはずである。

  • 修論書く前に読みたかった…。とも思うけれども、一度書いてからじゃないと、納得できなかったかもしれない。

    アドバンス編も読もうっと。

  • ふんばろう東日本(#fumbaro)を立ち上げた西條剛央さんの大学院講義を再現した本。質的研究の考え方を演習形式で分かりやすく説く。学生の反応が半端なくいい。彼の驚異的な活動はこういう方法論を応用しているからか、と納得。

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