無形民俗文化財が被災するということ―東日本大震災と宮城県沿岸部地域社会の民俗誌
- 新泉社 (2014年1月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787713209
作品紹介・あらすじ
形のない文化財が被災するとはどのような事態であり、その復興とは何を意味するのだろうか。震災前からの祭礼、民俗芸能などの伝統行事と生業の歴史を踏まえ、甚大な震災被害をこうむったそれぞれの沿岸部地域社会における無形民俗文化財のありようを記録・分析し、社会的意義を考察する。
感想・レビュー・書評
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民俗芸能は地域そのもの。何かが違っても続けていくためには、とそんな現実的なロジックがあうかどうかは現場を知らねば。これを契機として内外から新しい生成されるもの、こうしてまた民俗は積み重ねられていく。研究者としての役割・立ち位置とは、 やはり俯瞰して視座をそっと提供するということか。
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震災という非日常の中では非日常であるはずの芸能や祭礼がおこなわれることが日常の延長につながるのですね…。
お祭の復活に関わった人、続けていこうとする人、お祭を休止すると決めた人、外部から支える人。
迷ったり立ち止まったり進んだり考えたり、ひとつひとつの判断にそれぞれの重みが。
折に触れて読み返したいと思います。-
「それぞれの重みが。」
ブレない人は格好良いかも知れないけど、心が定まらない方が人間らしい気がする。「それぞれの重みが。」
ブレない人は格好良いかも知れないけど、心が定まらない方が人間らしい気がする。2014/04/10
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/710457 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784787713209 -
高倉浩樹、滝澤克彦編『無形民俗文化財が被災するということ』新泉社、読了。本書は東日本大震災によって被害を受けた宮城県下の無形民俗文化財の被災とその復興をまとめた20人の研究者による報告。難題に向き合う民俗文化の現状を浮き彫りにする。 http://www.shinsensha.com/detail_html/01zinbun/1320-2.html
高倉浩樹、滝澤克彦編『無形民俗文化財が被災するということ』新泉社、「形のない文化財が被災するとは」(帯)、新しい担い手の育成や環境整備で済むものではない。震災による変化は、無形の民衆文化自体をも「変化」させている。その挑戦は、単なる復活・再開というより緊張に満ちた創造的営みである。
高倉浩樹、滝澤克彦編『無形民俗文化財が被災するということ』新泉社。本書は多様な無形文化財の有り様を報告するが、それは同時に宮城県の多彩な民衆文化の奥深さと人間に対する重みを思い知らせてくれる。そしてその努力こそ、日常を取り戻す力の源泉になっている。人間の「協同」を一新する好著。
※平田オリザさんの『新しい広場をつくる―市民芸術概論綱要』(岩波書店)にて女川町の獅子舞がコミュニティ再生の原動力になっているとの報告に興味を持ち手に取りました。安倍晋三閣下は「心の復興」などと宣い「君が代」を流して「絆」でまとめようとしておりますが、こういう頸木で共同体再生ではない、選択こそ、コミュニティの新生であり、そこに「積極的平和主義」もあるのじゃないかなあと思ったり。