多様性との対話 ダイバーシティ推進が見えなくするもの (青弓社ライブラリー 100)

著者 :
制作 : 岩渕 功一 
  • 青弓社
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本棚登録 : 335
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787234834

作品紹介・あらすじ

多様性の時代だと言われる。多様な背景をもつ人材の活用が革新的な創造性を高めるとして、企業、政府、地方自治体、教育機関、NGO/NPO、市民団体で多様性/ダイバーシティを奨励する動きが活発化している。

多様性/ダイバーシティの推進は女性、LGBT、障害者などの社会的なマイノリティの存在に目を向ける一方で、有用で受け入れやすい差異を選別化することで、いまだ続く差別・不平等を見えなくするとともに、新たな包摂と排除を生み出してもいる。

多様性/ダイバーシティの推進により建設的に取り組むには、構造化・制度化された差別・不平等の複雑な作用を理解して、様々な差異を平等に包含する方途を考え続けること、つまり、多様性と対話することが必要不可欠である。

LGBT、ジェンダー、移民、多文化共生、視覚障害者、貧困、生きづらさ、当事者研究、インターセクショナリティ、教育実践――様々な分野の多様性との対話を通して、それらが抱える問題点を批判的に検証し、差別構造の解消に向けた連帯と実践の可能性を探る。

※執筆者(以下、執筆順)
岩渕功一/新ヶ江章友/塩原良和/髙谷 幸/河合優子/林 香里/貴戸理恵/清水晶子/出口真紀子/小ヶ谷千穂/村田麻里子/松中権(インタビュー)

感想・レビュー・書評

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  • ダイバーシティが流行ったのは、多様な人材開発が社会を発達させる+みんなどこかで自分がマイノリティーのところがあると思ってるから流行ったのでは?
    生かすことが大切。役に立つ差異とは?
    興味だけで動くアーリーアダプタ層が大切、結局多数決で決められる。

    誰のための?誰による?と言う問い

    個々の差異や違和感を積極的に表明できる場や関係性を生み出し続けるプロセスの中に新たな連帯の形式を見出しうる。

    コミュニティを一緒に作ると言う意識。

    シスジェンダーとトランスジェンダー

    女性なら誰でも分かるもされる経験が必ずしもあらゆる女性にとって同じ経験ではないと言うこと。

    マジョリティの側にも名前をつける、男医など。

  • 多様性 の名の下に庇護されエンパワーされる人々が直面している構造化された格差や不平等に眼が向いているか。
    庇護される対象に入らないエスニックマイノリティや障害者について考えているか

    ダイバーシティマネジメントの核は多様な人材の確保と交流によるイノベーションの創出であり、マイノリティの人権問題への取り組みではない。

    LGBTマーケティングとは、LGBTそのものを消費主体として立ち上げるのではなく(むしろそれは嫌われる傾向にある)、その周辺にいる初期追従者(性別不問)を主体にすることで企業へのイメージアップを図るもの。
    LGBT向けの商品ではなく、「LGBTフレンドリーだよ」っていうイメージが大切
    →LGBTの人権保証という点で効果がないとはいえないが、だからといってマーケティングが第一優先となり彼らの人権は「多数派が許す限り=金になる限り」保障されるものであってはならない。

    日本における多文化共生は、それぞれの違いを認め合う事が歌われてはいるものの、法制度による保障というよりは互いの心掛けや思いやりというレベルに止まる。

    住民=生活者にとっての多文化共生を目指した結果、法律で規定されない難民や技能実習生などの非定住住民の生活に大きな制約をかける。


    生活保護バッシングでは、貧困に困った人を非国民として扱い①、国家に頼ることなく親族の扶養義務に基づき責任を取ること②を求める。
    ①→良き国民は生活保護に頼らないという新自由主義的なナショナリズム
    ②→親族による扶養という、伝統的な家制度に基づく新保守主義的なナショナリズム

    日本人と外国人の境界はよりシビアになり、外国人にかす制約は多くなるが、だからといって日本人に手厚く保障されるわけではない(自己責任だから)

    一人一人が自由に生きるためには、社会的カテゴリを超えた連帯が不可欠。
    =個人主義は、カテゴリー横断的な社会的連帯が不可欠

    生きづらさが個人化する時代。
    名前のない生きづらさ。

    つながれなさを開示し、対話し、違和感を排除しないことで、「つながれなさを通してつながる」ことができ、「自分とは何か」を考える土台とする。

    「トランス女性は女性だ」ということは、トランス女性の経験の個別性をかき消してしまう。

    黒人が受ける差別+女性が受ける差別≠黒人女性が受ける差別
    その特異性に注目するのがインターセクショナリズム
    黒人女性の特異な経験を、黒人の経験として扱う=それまで周縁としてきたレンジまで視野を広げる作業

    シス女性とトランス女性は同じでないことを前提に、それでも同一性を探す営みこそ、本来の「包摂」

    共生の名の下に私と彼らの境界線が強化され、観察するような目線になりがち。→共生を学び捨てる必要性

    自分以外の他者が置かれた環境やバックグラウンドへのイメージに過剰に支配されてしまう経験。何かを為してあげることで生じる主従関係

  • ★電子ブックもあります!
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000102801?2

    【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/666690

  • 東2法経図・6F開架:361.8A/I92t//K

  • 【請求記号:361 イ】

  • 361-I
    小論文・進路コーナー

  • 英語英文学科 北村先生 推薦!
    私たちの社会に根強い差別や排除の問題に正面から向きあうアンソロジー。表面的な「ダイバーシティ」や「インクルージョン」ではなく、真に平等な社会を実現するための、ねばりづよく複雑な思考を学ぶことができます。

  • なぜ多様性が進んでいかないのか
    なぜいつまでも差別の構造があるのかを考え始めた本

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著者プロフィール

関西学院大学社会学部教授。専攻はメディア・文化研究。著書にResilient Borders and Cultural Diversity(Lexington Books)、『トランスナショナル・ジャパン』(岩波書店)、編著書に『〈ハーフ〉とは誰か』(青弓社)など。

「2021年 『多様性との対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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