モテないけど生きてます 苦悩する男たちの当事者研究

制作 : ぼくらの非モテ研究会 
  • 青弓社
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本棚登録 : 314
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787234766

作品紹介・あらすじ

「ぼくらの非モテ研究会」は男性の生きづらさを語り合う場としての当事者研究グループである。非モテ研では、幅広い分野で注目されている当事者研究の手法を応用し、これまであまり語られてこなかった男性たちの「痛み・悲しみ」だけでなく、「非モテ」の現状を打開しようとする、切実さのなかにもユーモアあふれる研究成果を蓄積している。

「女神」「ポジティブ妄想」「自爆型告白」などの観点からは、単純な「非モテ=恋人がいない」という考え方では捉えきれない、親からの影響、学生時代の経験、社会からの疎外感・孤独感など、多様な物語が浮かび上がる。

研究会を主宰する男性学研究者を中心に、ジェンダーやフェミニズムの概況を踏まえながら、「非モテ」をキーワードに立ち上がる男性たちの語りに寄り添い、ともに研究してきた成果をまとめる。

非モテ研メンバーたちの当事者研究も豊富に盛り込み、既存の男性学では「語れない/語らない」とされている男性たちの切実な語りから多様でよりよい生き方を探る、新しい時代の男性学を切り開く一冊。


目次

序章 非モテとは?

生きやすくなったと言っていいのか/近年の男性をめぐる動向と「非モテ」/「非モテ」男性の物語/痛みを把握する/ダークサイドを語る余地/競争から共同へ――仲間関係の再編/非モテ研と語り/本書の読み方

第1章 ぼくらの非モテ研究会ができるまで

・実践に学ぶ①〈メンズリブ研究会〉
メンズリブとは/メンズリブ研究会を知る

・ぼくらの非モテ研究会のはじまり
市民団体Re-Design For Menの立ち上げ/語れない男?/ぼくらの非モテ研究会のはじまり

・実践に学ぶ②〈精神障害者コミュニティ べてるの家〉
べてるの家のフィールドワーク

・ぼくらの非モテ研究会の実践
本格始動/「非モテ」を定義しない/非モテ研の参加者概要とグループ構造/非モテ研の実践/非モテの当事者研究【テーマ研究】/非モテの当事者研究【個人研究】/当事者研究の流れ/ホワイトボード/非モテグラフ/ドラマセラピー/その他の活動/体験を言い当てる言葉のないこと/CRグループ/マジョリティの当事者研究

・非モテ研用語辞典

・仲間の研究「セブルス・スネイプの研究――あるいは“恋と不器用さ”について」

第2章 痛みを言葉にする

・実践に学ぶ③薬物依存者回復施設〈三重ダルク〉
ダルクについて/三重ダルクのフィールドワーク/非モテとアディクション

・男性の被害経験
ある男性からの相談/政治的なことから語られること/男性の被害経験/ぼくらは何が痛かったのか?

・仲間の研究「パワハラ被害の夢の研究」

・仲間の研究「不本意出家からの研究」

・「非モテ」と身体嫌悪、そしてマスターベーション
「自分の存在を無にしたい」/二重の身体嫌悪/ぼくらの不幸せなマスターベーションについて/なすがままの嫌悪/身体と折り合いをつける

・仲間の研究「女装の研究」

第3章 影響を与えるメディア

・「非モテ」に影響を与えた1冊

・仲間の研究「一発逆転の研究」

・仲間の研究「「非モテ幽霊」の憑依の研究」

第4章 加害と責任

・実践に学ぶ④DV加害者脱暴力グループ〈メンズサポートルーム大阪〉
メンズサポートルーム大阪/私とメンズサポートルーム、洗濯物を干すことについて

・仲間の研究「自己破滅願望の研究」

・加害の研究とつぐないについて
加害の語り/ダークサイドを抱える者が居場所を失っていくということについて/あたたかい場で責任を紡ぐ/薄皮をはぐように

最終章 男の悩める場所

・仲間の研究「人をがんばってバカにしてしまう病」の研究

・聞き届けられる場
意味の拘束/内面性のコントロール/意味を弱める4つの要素/別のロッカールーム/聞き届けられるということ

・座談会

感想・レビュー・書評

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  • モテないことを嘆いて傷を舐め合うのではなく、モテない苦悩と向き合い、どうやって生きていくかを画策しているところに共感と好感を覚えた。僕自信モテないことによる絶望を感じている最中で、しかしなんとか前を向いて生きていきたいと思っていた。そんなタイミングでちょうどこの本と出会えてラッキーだった。モテなくて苦悩している人のエピソードや思いを読み、孤独感が薄れて気持ちが楽になった。

  • この本は他の本とまとめて書店受け取りで購入したんですが、ちょうど、(女性の)店員さんがこの本のバーコード打つタイミングでふと目が合ってしまってんです。その一瞬の店員さんの、ちょっと引いたような、可哀想なものをものを見るような視線(を感じるというか妄想により意識するというか)が、まさにこの本の当事者たちが苦しんでいる疎外感と重なるような気がして、読む前から共感してしまいました。

    進研ゼミの勧誘漫画的な、これさえやれば人生一変して、全てがうまくいく、一発逆転思想って、この本のテーマに限らず私もよく陥ってるなあと思って、すっと入ってきました。
    それを踏まえての「実は人生とは地道にしか進めず、理想に近づこうと思えば、目の前にある階段を一歩一歩のぼっていく必要があるのでした(177頁)」ってまあ当たり前な指摘がすごく刺さります。

  • モテないけど生きています苦悩する男たちの当事者研究
    著作者:ぼくらの非モテ研究会
    発行者:青弓社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 熊谷晋一郎、杉田俊介
    自身の痛みや内面を振り返り、表現することをしなかった結果として、男性が排外主義的、差別的な言説に回収される危険性に警鐘の鳴らす。
    !!

    あるべき男性像 から逸脱した特徴を持つ男性ほど、男性内で優劣をつける規範に苦しめられ、語りを押し込められ、自己否定に至ってしまう

    自身が経験している幻聴 幻覚に 幻聴さん、と名付け外在化する。
    問題症状が内在した患者→付き合い方を考える当事者

    非モテを定義しないことにより、生きづらさを語りだすための呼び水に。

  • 買ってから何ヶ月も気が進まずに放置してたのだけど、読んでみたらとても良かった。

    個人的にとても良かったと思ったのは、非モテ男性の加害性(ダークサイド)の側面を紐解いて考えようとしている部分。ある種のトラウマやコンプレックスや人との関わり方のわからなさがこじれて、加害として表出する現象がある時に、規範的な言葉だけではその「こじれ」が解消されないと。
    当事者研究の中で加害的な行為を振り返って、その背景や対処法を共有することで、初めて再発が防止できる、という話。加害的な行為は被害者のダメージはもちろん、結果的に加害側になった側にもダメージやトラウマがあり、その罪の意識が強すぎると逆に物事を直視できず、振り返ることもできないと。

    「加害者のトラウマってなんやねん」と思われるかもしれないが、ここで想定されてるのはど真ん中の性暴力というよりは、相手(女性)との距離の取り方や関わり方がわからないがゆえに、相手に嫌な思いをさせたり(たとえばいきなり距離をつめてこわがられたり)という話。

  • タイトルや研究会の名称、表紙デザインなどから、ライトでおちゃらけた内容かと思ったら、予想に反して極めて硬派な著作

  • 当事者研究のケーススタディとして面白かった。発刊から4年近く経って、今も続いているみたい。すごい。

  • 東2法経図・6F開架:367.5A/B63m//K

  • 自分をさらけ出せる方の勇気、尊敬します。

  • 始めは「非モテ男性たちがモテないことを嘆くための会か何かかな?」と思いながら読み始めたが、しっかりとした自助グループのように会が運営されていることに驚いた。特にドラマセラピーや個別研究でそれぞれの体験を取り扱い、自分の失敗を客観視できる場面を持つのはとても良い方法だと感じた。これまで自分の気持ちを語る場がなかった男性たちにとって、馬鹿にされず受け入れてくれる非モテ研究会はとても心地よいものだろうと感じた。

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著者プロフィール

2017年12月24日に発足した関西を拠点にする男性のための当事者研究グループ。モテるためのテクニックを学ぶのではなく、月に1、2回開催する研究会で対話して「非モテ」という現象を探求する。20年7月までに39回実施し、延べ参加者数は200人以上。リピーターも多い。「Twitter」アカウント(@himotemotemote)、メールアドレスhimotemotemote@gmail.com。

「2020年 『モテないけど生きてます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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