- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784783727590
作品紹介・あらすじ
砂漠の民だけが知っている-。ノーベル文学賞作家ル・クレジオが妻ジェミアとともに砂漠へと旅立つ。それは人類の起源をめぐる旅でもある。美しい写真とともに織りなされる詩的紀行文。
感想・レビュー・書評
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どこにあるんだろ?
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なんだろう?
訳が悪いのかな? -
絲山秋子さんのインタビューの中でその名を初めて耳にした「ル・クレジオ」。 作風の紹介や、タイトルのラインナップを見るにつけ「自分が欲する作家」かもしれないと思うようになった。岩波から出ている『物質的恍惚』を読むもなかなか歯が立たず挫折。それでも何となくこの作家が見せてくれる世界を垣間見るぐらいはしたいと思い、読みやすそうなところから徐々にイメージを作っていこうと企てる。
何気なく書店で目にした『雲の人びと』だったが、長さも短く、写真も挟まれていたりしてとっかかりを得るにはいいかもしれないと思った。妻ジェミアとの共著である。自身のことは「JMG」という人称で語っている(訳されている) 原文がそうなのかな、と思う。どことなくごつごつする語感だが翻訳物としては宿命のようなものか。
モロッコの砂漠地帯。ジェミアの故郷でもあり、人類の心のふるさとでもあるのだろうか。茫漠とした中での歩みの中で紡ぎだされるル・クレジオの思考。時に人類の来し方を思わせるような言葉で気分が高揚する。砂漠で培われた強靭な精神と肉体を持つ人びとのことを考え、こういった世界を伝えてくれる本というもののありがたさを考える。
自分が今回得られたものはほんの少しかもしれないが、そのほんの少しが、他の本を読む際に自身の預り知らぬところで糧になっていればいい、と思う。雨を求めて移動をする「雲の人びと」のイメージがどこかでふっと現れることがあるかもしれない。