居酒屋チェーン戦国史 (イースト新書)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781651088

作品紹介・あらすじ

仁義なき居酒屋戦争は果てしなく続く!

異端の創業者たちの野心と苦闘に迫る


外食産業のなかでもチェーンの盛衰が激しい、居酒屋業界。そこは集客競争が絶えまなく続き、今日の王者が明日には撤退に追い込まれるような厳しい世界だ。しかし、誰でも一攫千金を狙えるベンチャービジネスの宝庫でもあり、ロマンを抱いて参入する者が常に現れる。

日本独自の居酒屋文化を広げたのは、居酒屋チェーンといってよい。その創業者たちは、たった一店舗から数百店舗まで拡大させた変人・奇人の野心家ぞろいだ。

誰しもが看板を目にしたことのある大手チェーンは、どのように戦いを繰り広げたのか。いかに居酒屋を進化させたのか。彼らの死闘の物語をひもとく。


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[目次]

はじめに
第一章 「居酒屋チェーン」という怪物
 居酒屋業界は、なぜ盛衰が激しいのか?
 居酒屋チェーンの勃興前夜
第二章 居酒屋チェーンの誕生
 居酒屋チェーンの先駆者――「養老乃瀧」木下藤吉郎
 居酒屋史上初の上場達成――「テンアライド」飯田保
第三章 空前の「居酒屋ブーム」の到来
 「外食産業元年」としての一九七〇年
 板前を育てる大衆割烹――「大庄」平辰
 革命的商品「酎ハイ」を武器に――「村さ来」清宮勝一
 北海道から来た「居酒屋の神様」――「つぼ八」石井誠二
第四章 入れ替わった居酒屋チェーン「御三家」
 「居酒屋ブーム」はいかにして起こったか?
 燃えすぎた「青年社長」――「ワタミ」渡邉美樹
 居酒屋界の最高峰へ――「モンテローザ」大神輝博
 居酒屋をはみ出すM&A戦略家――「コロワイド」蔵人金男
第五章 勃発!激安均一価格戦争
 「全品均一料金」という経営哲学――「鳥貴族」大倉忠司
 ライバルに真似されない業態を!――「三光マーケティングフーズ」平林実
 激安均一価格戦争がもたらしたもの
第六章 激変する居酒屋業界の現在地
 新たなるチェーンの勃興
 M&Aによる勢力図の刷新

おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 競争激しい居酒屋チェーンの栄枯盛衰史。良いアイディアは「百軒覗き」ですぐにマネられてしまう、まさにレッドオーシャン。
    養老乃瀧、村さ来、つぼ八などの居酒屋チェーン第一世代の発展史がおもしろい。
    その後の専門店化、低価格化の流れも興味深い。

  • チェーン居酒屋の始まりは、1970年頃の
    「つぼ八」「村さ来」「養老乃瀧」が挙げ
    られます。

    誰もが一度は行ったことがあると思います。

    その後、バブル崩壊、リーマンショック、
    東日本大震災などにより、業界自体の規模
    が小さくなっているパイを、さらに互いに
    奪い合っているのが現状です。

    さらにコロナ禍の大打撃です。居酒屋は今
    後どこへ行くのか。

    この本はチェーン居酒屋が、どのような変
    遷を経て現在に至るのか。

    創業者の行動力などはビジネスパーソンの
    観点からも学ぶべき点は多いです。

    そうなのです。レッドオーシャンに勝負を
    挑む興亡史として外食産業の成り立ちを学
    べる一冊です。

  • 街で見かけてお世話になる居酒屋の歴史が分かる本。
    フランチャイズ、直営店、総合店などの問題点があると淘汰される厳しい世界である事が分かる。

    どの創業者のエピソードも面白いが中でもつぼ八の創業者石井氏の項は印象的。普通ならめくじら立てるところワタミ氏達をスカウトするところなど人間的な器も見逃せない。

  • 歴史がコンパクトにまとまっていてとても良い。一攫千金の夢、栄枯盛衰、失敗と再生、いろんな物語が詰まっていて今のベンチャー・スタートアップの勃興と似たものを感じる

  • 浮き沈みの激しい外食業界。その中でもさらに激しい競争にさらされるのが居酒屋業界だ。3000円以上の高額な客単価は儲けも大きいが、リスクも大きい。

    そんなハイリスク・ハイリターンな市場には一攫千金を夢見る若者たちが次々と挑み、そこで勝者となった者は1代で何百店舗ものチェーン店を立ち上げていた。

    フランチャイズ方式で1000を超える店舗を開いた「養老乃瀧」の木下藤吉郎。セントラルキッチンを導入し、株式上場も果たした「天狗」の飯田保。コスパの高い酎ハイを発明した「村さ来」の清宮勝一。彼ら先駆者を経て、居酒屋創業者の社会的地位は向上、現在ではワタミやモンテローザ、コロワイドなど居酒屋をルーツに持つ総合外食企業が台頭している。

    こうした歴史を踏まえ、今も生き残っている居酒屋をながめると、店名から料理、店舗運営などはどれも似たり寄ったり。法に触れないギリギリの範囲で、他の居酒屋を模倣することが今の居酒屋経営者に求められる。その結果、居酒屋業界では訴訟合戦や企業買収などが起こりやすい。さらに、カリスマ創業者の個性やブラック企業問題などが社会ニュースをにぎわせる。

    居酒屋業界とは、戦国時代のような弱肉強食の世界なのだ。

  • 知っているお店が殆ど。
    それぞれの経営者がいろんなことを考えて、それが一度は上手く行ったり、行かなくなったり。
    その陰で、全く上手く行っていないお店もあるわけだ。
    色々と面白い。

  • ブラック企業の代名詞的に語られる居酒屋だが
    その創業者の人生は波乱に富んでいて側から見ると面白い。

    10年持てばいい方で
    後だしじゃんけんで成功体験を塗り替えていく

    ただそのキメラかんというか混ざりあったものこそ
    日本的だなーとも思う。

  • 1964年の東京オリンピックが民間の警備会社を、それに続く1970年の大阪万博が飲食チェーンをレガシーとして産み出した、ことは知っていましたが、セコムの飯田亮と居酒屋チェーン「天狗」の創業者、飯田保(彼のことは初めて知りました…)が兄弟だったなんて!何気なく飲みに行く居酒屋ブランドの産業史は、あまりにディープでイノベーティブな物語の連続なのでありました。著者いわくの「奇人・変人」創業者列伝です。みんな、強烈なキャラクターと有り余るパワーと飽くなきベンチャースピリットを発散しまくっています。日本の経営者にはスティーブ・ジョブズみたい存在はいない、みたいなこと言われがちですが、夜の街では居酒屋ジョブズたちが、MacやiPhoneならぬ居酒屋アップル新業態を作りまくっていたのだと知りました。そのアイデアと実施のスピードと失敗・挫折の数々。この戦国史は文句なく面白い!御三家「養老乃瀧」「つぼ八」「村さ来」が切り開らき、新御三家「モンテローザ」「ワタミ」「コロワイド」がアップデートし、そして百家争鳴の今、そして2020年のレガシー足り得る新・居酒屋チェーンが生まれるのか、この本片手に居酒屋巡りして語りたい!

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著者プロフィール

中村芳平(なかむら・よしへい)
外食ジャーナリスト。1947年、群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。流通業界、編集プロダクション勤務、『週刊サンケイ』の契約記者などを経てフリーに。「日刊ゲンダイ」、「東洋経済オンライン」、「フードスタジアム」などに外食モノを連載している。著書に『キリンビールの大逆襲:麒麟 淡麗〈生〉が市場を変えた!』(日刊工業新聞社)、『笑ってまかせなはれ:グルメ杵屋社長椋本彦之の〈人づくり〉奮闘物語』(日経BP社)、『遊びをせんとや生まれけむ:スポーツクラブ ルネサンス創業会長斎藤敏一の挑戦』(東洋経済新報社)などがある。

「2018年 『居酒屋チェーン戦国史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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