僕の狂ったフェミ彼女

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  • / ISBN・EAN: 9784781620633

感想・レビュー・書評

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  • 『僕の狂ったフェミ彼女』ミン・ジヒョン作は、韓国で「小説家五十人が推薦する『今年の小説』」韓国文化芸術委員会(ARKO)「文学分かち合い図書」にも選定され、大手電子書籍サービスRIDIBOOKSの韓国小説カテゴリーでベストセラー1位となったそうです。


    以下著者あとがきより引用

    愛は非理性的なものとは言うけれど、本当に理性を手放さなければ愛することなど不可能に見えてしまうほど、現実は惨憺としている。厳しい言い方をすれば、下手に愛を見つけようとして、見かけは人の姿をしたゾンビに噛まれる可能性が非常に高い。これを書いているわずか数週間前にも、私たちは、裕福で端正な顔立ちの有名人たちが、実はドラッグを使ったレイプを楽しむ盗撮犯だったという事実を確信した。2019年の韓国のこの状況は現実だ。これだから自分の人生を安全に守り、自分らしく生きたいという欲求と、誰かと、共に生きたいという欲求が正面衝突するしかない。女性の場合は特に。
    (中略)
    にもかかわらず、雨の降る夜にバッファローの群れのように押し寄せてくる孤独感や「一人寂しく歳をとって孤独死するかも」という世間の脅迫があるので、こんなディストピアみたいな現実で、私はよく精神の分裂を感じる。ああ、どうしろと言うのか。そんな現実的な苦悩と迷いを、最大限ありのままに描いてみせようとしたのがこの小説だ。

    以上、著者あとがきより引用。


    ブクログのランキングで見つけて、何となく図書館に予約して借りた本です。
    韓国の小説と言えば『82年生まれ、キム・ジヨン』を思い出しましたが、この小説は、あのちょっと暗いイメージの小説とはまるで違う、ユーモアの感じられる雰囲気で一体何の話だろうと思って読みつづけました。
    そしたら、テーマは同じだったのだとわかりました。
    でも『82年生まれ』とは本当に違って、小説としてくだけていて、主人公の彼女もはじけていて面白かったです。
    今の韓国ってこんな感じなのかなと思いました。
    日本とは少し違うんじゃないかな、違って欲しいと思いました。
    この作品の彼女が「かっこいい」というレビューを何件か拝見しましたが、私はこの作品の彼女のようには生きられないと思います。
    そして、自分はこんなに不幸ではないと信じています。

  • ─4年前に別れて再会した彼女はフェミニストになっていた。おしゃれな服を着て愛嬌もあった彼女が、今や全身黒ずくめのおかしな女に。
    「世の中が私をフェミニストにするんだよ」とー

    ・フェミニスト?やべー。
    ・一体何があったって言うんだ。昔のようにたっぷり愛してあげれば昔の姿に戻るはず。
    ・今は、一時的におかしくなってるだけ。

    勘違い彼氏とフェミニスト彼女の噛み合わない会話、そして事あるごとに唖然とし、やり込める彼女が痛快。
    「はあ?何言ってんの?」「あんたも一緒にフェミニストになればいいんだよ」と。
    しかし彼氏をも簡単に変えることはできない。

    彼氏である「僕」視点で話が進む。
    ここに出てくる「彼女」に名前は登場しないとか。
    なるほど……私たち女性も経験したり直面したりするであろう問題として自身に置き換えることもできるわけだ。
    彼女を怒らせるのは、セクハラ、盗撮とその流布、ストーカー、脅迫、わいせつ、暴行、殺人、少女売春、堕胎罪、加害者の無罪判決、また家父長制や女性の家事育児……。
    男性にも言い分がある。未婚だと周囲に冷たく見られ居住まいが悪いとか、徴兵制度の不平等。
    韓国の話だけれど、日本も変わりない。むしろ日本は声をあげていないのでは?
    このような本をきっかけに、フェミニズム、また逆に反フェミニズムの存在、その主張や背景を知ることができるのは良い。

    ブク友1Q84O1さんのレビュー「韓国の難しい内情は抜きにして、ドンチャン騒ぎの恋愛を楽しんでみませんか?」に惹かれ読みました。
    まさにその通りで面白かったです。テンポ良く読み進められ、元気が出る読後感。
    男女関係なく多くの方に読んでもらいたいなぁ。

    • なおなおさん
      ٩(`・ω・´)و オォォォ!!!
      ٩(`・ω・´)و オォォォ!!!
      2023/08/27
    • なおなおさん
      1Qさん、NEWS☆
      今日本屋さんに行ったらこの作家さんの最新作を発見!「私の最高の彼氏とその彼女」ですって。
      またドタバタラブコメディっぽ...
      1Qさん、NEWS☆
      今日本屋さんに行ったらこの作家さんの最新作を発見!「私の最高の彼氏とその彼女」ですって。
      またドタバタラブコメディっぽい。
      ええ、ええ!もちろん先に読んでください。レビューを参考にしますから。(*`艸´)ニシシ
      フェミ彼女が面白すぎて、あれ以上の物語に出会えません…_| ̄|○
      2023/10/07
    • 1Q84O1さん
      なおなおさん、マジですかー!
      新作!(-ω☆)キラリ
      読んでみたいです!
      図書館に入るかなぁ〜??
      私も今のところフェミ彼女以上の作品に出会...
      なおなおさん、マジですかー!
      新作!(-ω☆)キラリ
      読んでみたいです!
      図書館に入るかなぁ〜??
      私も今のところフェミ彼女以上の作品に出会っていないので楽しみです(≧∇≦)
      2023/10/07
  • ー 初恋の人は、フェミニストになっていました。
    韓国でドラマ化決定。愛のために争う、2人の戦争のような恋愛が始まる。


    この本、タイトルに惹かれて読んだのだけど、読み終わってからタイトルを見返すと、あまり好きではないなぁ、と。彼女は狂ってないし。

    著者によると、男性から、立場の異なるフェミニストの彼女を批判させることで、逆説的に、主人公の男性の歪みを描いたのだという。

    確かに、主人公スンジュン、自己中心的で女性観が古い。性格も良くなさそうだが、いけすかないほどではない。ほどほどに感情移入もしてしまう。著者のやさしさゆえなのだと思うが、「歪み」が描き切れているかというと、それに成功したとは言い難い。

    心情的には、どっちつかずのまま読了してしまった。

    女性が、男性のマンスプレイニングだとかミソジニーだとかにほとほとうんざりしていることはよーく伝わってきました。
    男性は読んでおいた方が良い本と言えるでしょう。

    どうでもいいけど、「フェミニスト」という言葉を初めて知ったのはBOØWYの「JUSTY」という曲だったことを思い出した。

    ♪Good Girls/CHVRCHES

  • 自分の本棚にはまず置いていない、”超イマドキ”小説。中身も表紙&タイトル負けしていないくらいインパクトがあったが、これが期待値を大きく上回った。ここまで続きが気になった小説って久しぶりかも。

    4年ぶりに再会した初恋の子が「メガル化」していた。
    「メガル」と言うのは韓国のコミュニティサイト「メガリア」(現在は閉鎖)の略語でサイト利用者のことも指したが、現在はフェミニストを一括りにした呼称なんだとか。つまり主人公スンジュンが再会した初恋の子(以下、彼女)は、ゴリゴリのフェミニストになっていた。

    フェミニストと聞くと、どうしてもゴリゴリ、つまり過激派の方を連想してしまう。
    邂逅前のスンジュンや彼の男友達も「メンヘラ」だの「モテない女性の嫉妬」だのと似たような印象を並べ立てていた。
    彼女のことが好きで忘れられないスンジュンは、何とかして彼女の「メガル化」を解いて結婚まで漕ぎつけようと奮闘する。

    しかし彼女と会うたび(フェミニズム的に)余計な発言をして地雷を踏むスンジュン。(少しやきもきした笑)そしてヨリを戻しても、事あるごとにフェミニンだった4年前の彼女を恋しがり、ついつい結婚後の生活を妄想してしまう。
    彼自身男性優位の考えでは決してない(と信じたい…)けれど、彼女との結婚が彼にとってのゴールでありそれを至上の幸せだと思い込んでいる。

    それらの背景にはやはり彼の育った家父長的な家庭環境が関係しているのではないかと思う。
    祖父の傘寿祝いに曾孫の代まで駆けつけ、妻たちが出来立ての料理を振る舞う図は「メガル化」していなくても疑問を覚えた。
    見慣れているはずの彼ですら、これには少なからず違和感を感じていたし。その辺は完全に染まってなくて良かった…(地方の設定だからと言って、彼の家族や親戚の会話が関西弁に翻訳されていたのにも違和感を感じたけど笑)

    過激派と思われた彼女の方も、ただ世の#Metoo運動に便乗した訳ではないことが明らかになっていく。心の底から何とかしたいと行動を起こし、また自分の信じる恋愛のかたちを完遂させたいと願っている。

    「僕が本当に望んでいるのは、彼女のそばにいることだろうか、それとも露骨で粗雑だが全てがはっきりしている、リゾートの中のこの虚しい世界だろうか」

    孤軍奮闘する彼女を守りたいと思っているスンジュンもまた、周囲から孤立した男だ。
    苦しむ女性もさることながら、男性にも生き辛い世の中だという事実が、本書で一番骨身に染みた。(それで言うと、スンジュンの独り身の叔父さんについても、もっと掘り下げて欲しかったかも)

    著者はあとがきにて、女性が恋愛を見つけようと或いは日常生活を生きるだけで"標的にされやすい"ことを、ドラマ『ウォーキング・デッド』に例えている。
    "ゾンビ"から身を守るために「メガル化」しなきゃいけないのか。これが"超イマドキ"だと…!?

  • 【フェミニスト】
    ▪女性の権利を認め、男女平等と多様性を志向する人のこと
    ▪女性の権利を尊重し、女性に対する不平等の解消を唱える人


    就活を前に不安な僕を癒してくれた愛らしい彼女
    だが、1年間の海外インターンシップに行くことになり終わりを告げる
    そんな初恋を引きずりながら就職し3年目を迎えたある日、初恋の彼女と出くわし心がまた動き出す…
    ところが、彼女はなんとフェミニストになっていた

    鬱憤、憤り、恐怖の果にフェミニストになった彼女と、普通の男性として過ごしてきた僕
    「権利」も「愛」もゆずれない、2人の戦争のような恋愛が始まる

    日本とは違う韓国の難しい内情がいろいろあると思いますが…、そこは抜きにして恋愛は惚れたほうが負けですね〜♪
    好きな人を追いかけているときが楽しいですね〜♪
    こんな女性が彼女だと大変かもって感じますが毎日が楽しいかもって思えますね〜♪
    (あくまでも個人的な感想ですw)

    韓国の難しい内情は抜きにして僕と彼女のドンチャン騒ぎの恋愛を楽しんでみませんか?
    (僕の一方的な騒ぎかもしれませんが…w)
    面白かったですよ!

    • なおなおさん
      おっ!?1Qさん、韓国文学ですか。興味深いです。
      読みますっ!
      おっ!?1Qさん、韓国文学ですか。興味深いです。
      読みますっ!
      2023/04/16
    • 1Q84O1さん
      そーなんですよ
      韓国です
      自分でも意外ですw
      真面目に考えると韓国の内情など大事なことについても書かれていますが、普通に恋愛小説としても楽し...
      そーなんですよ
      韓国です
      自分でも意外ですw
      真面目に考えると韓国の内情など大事なことについても書かれていますが、普通に恋愛小説としても楽しめました♪
      そして、私には当たり作品でした(≧∇≦)
      なおなおさんもよかったらぜひ!
      2023/04/17
  • フォローさせて頂いているなおなおさんからお勧め頂いて拝読。
    韓国映画や韓国ドラマをかなり観ていた時期があったお陰で何かと舌を鳴らしたりする感じや文化や場所などは軽く知っていたのですんなり読む事が出来ました。
    年上の好意を持っている男性に対してオッパと呼ぶのを久々に見て懐かしい!と軽く感動を覚えましたが、軽妙で読みやすい恋愛小説なのに内容が実は日本にも通じるフェミニスト問題。
    韓国の小説は大分前に読んだ『ダーウィンヤング』しか知らないのですが、同じ社会問題をテーマにした作品なのに読みやすさが段違い。

    就活が難航していた主人公のスンジュンが漸くアメリカでのインターンシップというチャンスを手にし、付き合っていた彼女との事で悩んだ挙句これが最後のチャンスだと結局泣いて止める彼女を置いて渡米します。
    彼女はあまりの遠距離に耐えられないとメールのみで別れを告げ、そのまま4年が経ったのですがなんと彼女と再会。
    しかも彼女は中絶を禁止する堕胎法に反対するデモに参加していたのです。

    当時はスカートに薄いけれど流行りのメイクもきちんとして髪を伸ばしていた彼女ですが、フェミ彼女になっていた彼女は髪もバッサリ切ってノーメイクにパーカーとデニム姿。スンジュンいわく「ボーイッシュではなく、ボーイ」的な出て立ちに。
    かなり豹変していた彼女ですが彼にとっては唯一無二の恋人だったようで、どうにかこうにかよりを戻し、毎週デモに出かける程の熱心なフェミニストから元の彼女に戻そうと奮闘するのですが気持ち良い位にぶれないので中々上手く行きません。

    彼女の名前が一切出てこず、後書きで読者の事でもあると思って欲しい、と書かれてありましたが男性も読むべき作品ではないでしょうか。
    スンジュンは家父長制度が根付いている環境で育ったので偏った考えではありますが、確かに男性が考える良い彼氏と女性の考える良い彼氏って違うのかも。
    こんなに難しい事を考えながら恋愛した事がないので成程、と感心しておりましたが役に立つ機会は当分来なさそうなのが悲しい。

    私のこの悲しいという台詞すら彼女が聞いたら怒るかも知れません。
    「女は男の自己満足を満たす為の道具じゃないのよ!」
    私はそんな風に思っていないというより、そこまで深く考えていないのですが、彼女はこう思わざるを得ない辛い目に遭っています。
    日本でも『Me Too』運動が加熱した事件がありましたが(ちなみにターゲットになった映画監督は私が大好きな監督だったので絶望を感じたのですが)これは腹立っても仕方ないよなあ…と頭を抱えました。

    しかしこのスンジュンですね、凄く一途な良い男ではあるんですよ。
    だからこそ彼女もよりを戻したんでしょうけれど考え方の違いの壁のせいでスンジュンの愛が空回りしてしまうんです。
    もどかしい!もどかしいわー!!
    恋愛ってもっとこう、単にキャッキャウフフじゃダメなのかな。
    テーマがここではないので仕方ないんですが、お似合いの二人だけにやきもきしてしまう!

    基本的には楽しいノリでお話が展開して行くので、小難しい事は考えずに読めるのにきちんと問題提起が心に残る。
    ラストも小気味よいので読後感は不思議と非常に爽やか!
    とても良い本でした。なおなおさん、ありがとうございます!

    ところで、主人公の両親が物凄い関西弁で喋るのに、何故に関西弁?!
    と思ったら訳者あとがきにちゃんと理由が書いてありました。びっくりした。

    • yukimisakeさん
      なおなおさんこんばんは(*^_^*)
      面白いって言われたヤツから見たせいですかね?『成均館スキャンダル』も好きでした♪
      薄いんですね!分厚い...
      なおなおさんこんばんは(*^_^*)
      面白いって言われたヤツから見たせいですかね?『成均館スキャンダル』も好きでした♪
      薄いんですね!分厚いの覚悟してました!
      1個凄く変態じみたの見つけたんですが、発禁で刊行ストップされてました…笑
      (*`・ω・)ゞいってきます!笑
      2024/02/18
    • なおなおさん
      yukimisakeさん、「成均館スキャンダル」って観てないのですが人気ですよね。
      最近のお気に入りは「哲仁王后チョルインワンフ」でーす。あ...
      yukimisakeさん、「成均館スキャンダル」って観てないのですが人気ですよね。
      最近のお気に入りは「哲仁王后チョルインワンフ」でーす。あとはテテ出演の「花郎ファラン」(ღ˘͈︶˘͈ღ)
      韓ドラ話になると止まらずですみません。
      yukimisakeさんたち変態部門とは離れ、私は面白ドラマ&小説発掘へ行ってきまーす( ^_^)/~~
      2024/02/18
    • yukimisakeさん
      哲仁王后、めちゃくちゃ評判良いですよね!やっぱり面白いんですね♪
      『花郎』見たいと思って見逃してるやつです!テテかっこいいですよねー!『成均...
      哲仁王后、めちゃくちゃ評判良いですよね!やっぱり面白いんですね♪
      『花郎』見たいと思って見逃してるやつです!テテかっこいいですよねー!『成均館スキャンダル』はひたすらキュンします笑。ユチョン好きだったんですよー色々と事件起こしてしまったけど…
      あと『オクニョ』も好きでした(*^_^*)
      韓ドラ面白いですよね、エンタメを分かってらっしゃる!最近は韓国映画ばっか観てますけど。
      変態部門!笑笑
      行ってらっしゃーいヽ(´▽`)/
      2024/02/18
  • あまりの面白さに大興奮。
    表紙イラストのTシャツをつくって、着て歩きたい気分だ。(作中で彼女が着てるTシャツも最高)

    4年ぶりに再会した元彼女が、フェミニストになっていた。
    現代的・常識的な好青年だと自認する男性側の視点で描かれた、フェミ彼女との奮闘記。
    女の子らしくかわいかった昔の姿にもどってほしい。
    なんだかんだいって結婚出産ルートがいちばん幸せなんだから、意固地にならないでほしい。
    君が必死になって戦う必要ある?
    親や友人に合わせる顔がないから、フェミニズム的思考を矯正させたい…。

    主人公自身も家父長制や男性同士の虚勢の張り合いに疲弊してるようなのに、そっちには矛先が向かない。
    というか認識してない。
    彼女が従順な良い子に戻りさえすれば万事解決と信じきってる。
    いっそ根っからの差別主義者なら単純な話で済むが、
    周りの評価に怯え、必死に努力し環境に適応してきた末の鈍感さなのだと分かってやるせない。
    世間から見て恥ずかしくない男(家父長)でなければいけない、っていう圧がとにかく強い。
    そんな中で自分の足りてなさを批判されたとき、「本当の俺は十分立派なのに、不当に扱われてる。女のせいで…」となってしまう一連の思考の流れを明かされた。
    分かるとも、なら仕方ないとも決して思わないけど。

    私はしんどい、って言えないから、男はつらいよって主語を大きくしてしまうんだ。
    山ほどの鬱憤、憤り、そして恐怖の果てにフェミニズムに辿り着いた彼女と、一般男性として社会を生き抜く主人公。
    どんなに言葉を尽くしても、分かり合えない。
    話せば話すほど無力感が襲う。
    傷付き合ってつぶれてしまうよりは、見切りをつける方が健全かも。
    でもそれで本当にいいの?

    「愛も権利も譲れない、あなたのための物語」
    帯のコピーが素晴らしく冴えてる。
    ボロボロになってでも、自分が得られるはずのすべてを望んでいいんだ。
    もちろん手放してもいい。
    終盤での彼女の言葉が本当にかっこよかった。
    特大の絶望感と無力感とともに、ほんの少しだけ希望の光も見えた気がする。

  • 『僕の狂ったフェミ彼女』(ミン・ジヒョン/ 著、加藤慧/訳、イースト・プレス) – K-BOOK振興会
    https://k-book.org/yomeru/2022040502/

    書籍詳細 - 僕の狂ったフェミ彼女|イースト・プレス
    https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781620633

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日(2022.6.3)
      https:/...
      「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日(2022.6.3)
      https://book.asahi.com/article/14634146
      2022/06/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      話題の恋愛小説『僕の狂ったフェミ彼女』著者インタビュー「パートナーとの関係には嫌われる勇気と自己肯定感が必要【VOCE特別インタビュー】|美...
      話題の恋愛小説『僕の狂ったフェミ彼女』著者インタビュー「パートナーとの関係には嫌われる勇気と自己肯定感が必要【VOCE特別インタビュー】|美容メディアVOCE(ヴォーチェ)
      https://i-voce.jp/feed/1862975/
      2022/08/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「僕の狂ったフェミ彼女」著者が語る、伊藤詩織さんへの日韓の連帯:朝日新聞デジタル(有料記事)
      https://www.asahi.com/a...
      「僕の狂ったフェミ彼女」著者が語る、伊藤詩織さんへの日韓の連帯:朝日新聞デジタル(有料記事)
      https://www.asahi.com/articles/ASQ983JJGQ93UPQJ005.html
      2022/09/17
  • 僕目線で「狂ったフェミの彼女」を語るのが斬新でめちゃめちゃおもしろかった。
    韓国では2019年まで中絶が違法で、女性だけが処罰を受けてたなんて知らなかった。
    (今もまだ中絶はかなり難しそう)

    長い時間をかけて築き上げられた男中心の社会には、意識にものぼらないほどたくさんの女性蔑視が存在していて、フェミニズムの主張を聞くと女の私でさえ反発を覚えたり、「それくらいはいいんじゃない」とか「仕方ない」とか思ってしまうこともあるのがこの問題の根が深いところ。

    フェミニズムに触れるうち、どれだけ社会に懐柔されてきたかということに気付けば、今度は逆に、気付かないおめでたい人たちが、そして男全員が、憎くなるから怖い。

    狂ってるのは世界なのに、
    それを主張すればヒステリックな狂人扱い。
    怒りをもたないで生きるためには、
    鈍感でいるか、そういう社会であることを逆手にとって楽しむしかないけど、受け入れることは女性蔑視を助長させることと同じ。
    女にとってマイナスしかない二択。

  • あーこれこれこれ!となった。どんなに仲の良い男の友達でも恋人でも、話が通じない時はてんでダメだ。心から共感できる。
    見えている世界もその解像度も違うのだ。
    とんちんかんな反論や、こっちだって!なんて言葉に聞き飽きているのは私ひとりだけじゃないのだ。
    あんた今なんて言った?と私も言ってやるのだ。

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著者プロフィール

著者 ミン・ジヒョン
1986年生まれ。西江(ソガン)大学校で国文学と新聞放送学、日本学を学ぶ。2008年に日本に交換留学した際には東北大学の学友会映画部 De Palmaに所属し、自主映画『あんにょん、サヨナラ』を制作した。韓国芸術総合学校の映像院映画科大学院で劇映画シナリオを専攻。2015年に『조선공무원 오희길전 (朝鮮公務員 呉(オ)希(ヒ)吉(ギル)伝)』で「大韓民国ストーリー公募大展」優秀賞を受賞し、2019年にはテレビドラマ『レバレッジ—最高の詐欺師たち—』の脚本を執筆。映画とドラマの現場で脚本家を務めながら、「韓国映画性平等センター」に所属し、性暴力予防教育講師としても活動中。2021年12月に最新長編小説『나의 완벽한 남자친구와 그의 연인(私の完璧な彼氏と彼の恋人)』が出版された。

「2022年 『僕の狂ったフェミ彼女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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