巨人ファンはどこへ行ったのか?

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781615813

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『野球部あるある』の菊地選手、初の書き下ろし。

あんなに好きだったのに……。
かつての恋人(巨人)と別れたきっかけは? FA制度? 原の引退? 王ホークス監督就任? 松井メジャー移籍? Jリーグ開幕? 野球界の最大派閥「元・巨人ファン」を追いかける旅。

「今日は国民的行事だ。
日本国民1億2000万人のうち、
8000万人が我々を応援している」
長嶋茂雄
(1994年「10・8決戦」の試合前ミーティングで)


第1章 もう、あの頃には戻れない
ライトスタンドの片隅で「終焉」を悟る
「元・巨人ファン」は勇気を出して名乗り出てください!

第2章 1/12
大喜利の世界では「12球団のうちのひとつ」に過ぎない
「隠れキリシタン化」する現役巨人ファンたち
巨人の人気が本格化したのは「最下位イヤー」説

第3章 元・巨人ファンミーティング
ファン離れのキーワードは「江藤」?
元・巨人ファンは「元・自民党支持者」なのか?

第4章 スルースキル
サブカル化と国民的スターの不在
現役ファンに会うために宮崎キャンプへ
巨人とソフトバンクの数字以上の差

第5章 隣の芝生
あるヤクルトファンの屈辱
沈滞ムードを払拭する妙案「中畑ロンダリング」

第6章 熱狂の真ん中で
40年以上も巨人を見続けてきた生き字引に会う
巨人ファンの最盛期が「1994年」である理由
外野スタンドの応援は自己満足なのか?

第7章 人のふり見て
世界的サッカークラブから考える「巨人の世界進出」の道
日本スポーツ界が「黒船」に買われる日
プロレスに学ぶ「スーパースターのつくり方」

第8章 象徴と地方
[特別インタビュー]
駒田徳広(元・読売ジャイアンツほか)

第9章 春を待つ
2018年巨人「最悪のシナリオ」
「清武の乱」の後遺症に萎縮する球団周辺

感想・レビュー・書評

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  • まさに私も昔は巨人ファンであった。回りの家族、友人などほぼ巨人ファンであったし、魅力的な選手も多彩に揃っていた。しかし、FAで見境無く選手を獲得する様を見て、嫌気がさしてきて、広澤辺りが決定的だったのも、この本に記載されているケースと、概ね一緒である。
    それに輪を掛けるようにナベツネ支配、更には読売新聞の報道姿勢に対し、信頼感が完全に無くなった事も重なり、きっぱりと離縁した。
    以降は地元球団一本に絞り、声援を送っているが、読売にはとにかく負けたくない。あれだけの戦力を保有する(広島やSBも含め)敵を倒すことは快感である。
    2017年のCS1stステージの気持ち良さと言ったら・・・

  • ちょうど今、ドラフト会議の1巡目の指名が終わったところです。ジャイアンツは根尾、取れませんでした。去年の清宮に続いてまた意中の候補を入団させること出来なかったことになります。考えてみると1980年に原を獲得したことは奇跡的だったのではないかと思います。彼が初めて3割を打った1983年に巨人戦の視聴率が史上最高の27.1%を記録したとのこと。そして、その輝ける時代の象徴に3度目の監督を託すことになったのだから1980年のクジの持つ価値はどれだけ大きかったのか…本書は声なき声、「元・巨人ファン」の存在を掴もうとするリサーチのレポートです。著者自らがそうであり、「元カノ」の近況を辿るような女々しい旅路と本人も自嘲しています。しかし、そこに現れるのは、メディア、スポーツビジネス、さらにはライフスタイルの変遷に及ぶ「昭和」という時代の消失の物語なのだと思いました。国民的球団という存在の消滅の歴史。松井が監督をやらない今、東京ローカル球団としての巨人軍はあり得るのでしょうか?今年、生え抜きとしてひさびさに4番に定着した岡本が監督候補になる日まで巨人は巨人で居続けることだできるのでしょうか?ビスコンティ「家族の肖像」か、はてまた太宰治「斜陽」か。滅びの歌は女々しいのです。

  • 一言で言うと“女々しい”本。

  • <目次>
    第1章  もう、あの頃には戻れない
    第2章  1/12
    第3章  元・巨人ファンミーティング
    第4章  スルースキル
    第5章  隣の芝生
    第6章  熱狂の真ん中で
    第7章  人のふり見て
    第8章  象徴と地方
    第9章  春を待つ

    <内容>
    タイトルに惹かれたが、内容はプロ野球の改革案だ。タイトルの球団のロートルの死は必然だが、それだけではプロ野球の人気復活はありえないと。ファン(現・元)に聞き、他の球団の状況を調べ、MLBやサッカー、プロレスまで探索に赴き、そしてインタニュー(これがなぜ駒田かは、第9章に書いてある)までしている。少年野球の減少や高校野球の二極化など、まだまだ心配は数多い。日本のプロ野球が気になる人は、ぜひ紐解いてほしい。

  • 本著は「元巨人ファン」について考察したものである。
    私は父親の影響を受け、長嶋さんの2度目の監督就任&松井秀喜の入団あたりから野球を見はじめた。最初は巨人を応援したものの、「史上最強打線」と言われるような露骨な強打者集めを始めた頃に興味を失った。それ故に本著のタイトルは私の経験そのもののように感じられた。
    本著を読んで気づいたことは、王、長嶋のV9時代を知る巨人ファンにとっては、90年代後半頃の史上最強打線は必ずしも受け入れられないものではなかったことだ。
    むしろ私が野球を見始めた90年代前半こそ、巨人にとっては例外的な谷間の時代だったのだと。
    当時の巨人は、1番緒方が足で出塁し、2番川相が名人芸のバントで送り、晩年の3番篠塚、4番原がランナーを返すという、派手さは無いが、まるで高校野球のような、コンパクトで基本に忠実な野球だった。3割、30本打てる打者はいないが、繋ぐ野球でAクラスを守る。僕はそんな巨人が好きだった。
    そういう意味では、上の世代とも下の世代とも違う巨人感を持っており、共有できないことは寂しさがある。
    ただ、多くの元巨人ファンが思っている、巨人が強くないと野球が面白くないという考えは同意できる。

  • 「元・巨人ファン」を追った取材でわかったのは「いつの時代にも元・巨人ファンは多かったが,いまはそれを埋めてファンを増やすほどの新規巨人ファンがいない」ということだった,というのはそうだろうなとおもいつつ,こういった結論を導出するところがちょっと突然だったかなという感想.

    駒田の「象徴となるスターと,高卒で地方から出てきてジャパニーズ・ドリームを掴んだ脇役選手のバランス」という指摘が非常に説得力があり,このインタビューの章だけでも読み応えがあった (逆に言うと,それ以外の章はちょっとダラダラしていたかなぁ,という気持ちが拭えない)

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著者プロフィール

1982年生まれ。東京都出身。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て2015年に独立。「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)、『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)、『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』(集英社)などがある。

「2023年 『野球ヲタ、投手コーチになる。 元プロ監督と元生物部学生コーチの京大野球部革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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