建築武者修行 ―放課後のベルリン

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781610566

作品紹介・あらすじ

あこがれの建築事務所の扉を叩いたその日からぼくはベルリンで働くことになった。同時に暇さえあれば訪ね歩いた綺羅星のような建築たち-いまのぼくを形づくった一〇年間の"旅"の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 行動力がいい。

    スペインの建築以外にも美術館が出てきて
    建築とアートってやっぱり繋がってるんだと
    思った。画家も建築家もわたしにとっては
    偉大な人たち。

  • 光嶋 裕介の本を読んで面白かったので、もう一冊読みます。

    ヨーロッパの有名な建物を訪ねる旅、それにまつわる話が面白い。
    有名建築家と言っても、門外漢が知っているのは、コルビュジエとガウディぐらい・・・。
    この本を読むと、訪ねてみたくなります。

    建築以外のこともたくさん書かれていて、
    著者と趣味が合うところも、そうでないところも、あります。
    殆ど知らなかったことなど、ちょっと調べてみたい。

    著者は、ピナ・バウシュをとりあげ その素晴らしさを語っています。
    私が見た映画は、イマイチだったが、別なものを見てみたい。

    https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/5daea4e381b32bf73e4ce36af22c1a28
    2012/4/11 「映画「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 3D」を見る 〜 Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」

    2014/06/30 予約 7/24 借りる。7/30 読み始める。 8/5 読み終わる。

    内容 :
    あこがれの建築事務所の扉を叩いたその日から、ぼくはベルリンで働くことになった。
    同時に暇さえあれば訪ね歩いた、綺羅星のような建築たち-。
    建築界の大型新人がつづる“旅”の記録。
    『マトグロッソ』連載をもとに単行本化。

    目次 :

    ●はじめに
    ●#1 自転車とブランコと銀色の空
    ●#2 ヨーロッパへの片道切符
    ●#3 ピキオニスの道
    ●#4 ウィーンと装飾
    ●#5 入口のない博物館 → ベルリン・ユダヤ博物館
    ●#6 ヴェネチアの呼び鈴
    ●#7 ローマのベストフレンド
    ●#8 都市の噴水と楕円でつくられたふたつの教会
    ●#9 カルロ・スカルパ という建築家
    ●#10 ドイツ語の先にみつけたもの

    ●#11 ル・コルビュジエ の背反する三つの建築
    ●#12 アントニ・ガウディ からのバトンリレー → サイモン・ロディア
    ●#13 ビルバオのゲーリー・マジック → ビルバオ・グッゲンハイム美術館 彫刻家 リチャード・セラ、エドゥアルド・チリーダ
    ●#14 天才ピカソが遺したメッセージ
    ●#15 ガラスに潜むディスコミュニケーションと ピナ・バウシュ の奇跡
    ●#16 坂道だらけの街とそこに住む偉大な建築家 → ポルトガル、アルヴァロ・シザ
    ●#17 リスボンに漂うペソアの不安とそこから生まれるものたち → 詩人 フェルナンド・ペソア、不安の書
    ●#18 レム・コールハースと動線空間
    ●#19 パリの友人
    ●#20 布で覆われた建築とガラスのドーム → ライヒスターク、ノーマン・フォスター、クリストとジャンヌ=クロード

    ●#21 世界一の美術館と芸術家たち → テート・モダン
    ●#22 図書館という学びの場 → グンナール・アスプルンド設計のストックホルム市立図書館、フランス国立図書館
    ●#23 演劇の街とサッカー
    ●#24 ミースの輝ける住宅 → ミース・ファン・デル・ローエ
    ●#25 フィンランドの不思議な豊かさ → アルヴァ・アールト(アアルト)、ユハ・レイヴィスカのマンニスト教会
    ●#26 初めてのコンペ担当作品
    ●#27 一八世紀の理想都市と相互扶助社会 → クロポトキン著 「相互扶助論」

    ●#28 断食と春を知らせるシュパーゲル → 年一回三日間の断食、シュパーゲル(白アスパラガス)
    ●#29 ジャコメッティの台座とアウトバーン → 彫刻家 アルベルト・ジャコメッティ
    ●#30 ベルリンの写真散歩と帰国プロジェクト → 二眼レフカメラ ローライフレックス

    ●#31 放課後のベルリン ~あとがきにかえて~ → クロード・グラス

    著者 :
    979年米ニュージャージー州生まれ。早稲田大学大学院卒業。建築家。
    光嶋裕介建築設計事務所 開設。首都大学東京・都市環境学部助教。
    著書に「みんなの家。」「幻想都市風景」がある。

  • 20150703読了
    建築家。大学院卒業後、2004年から2008年までヨーロッパ生活。ベルリンの建築設計事務所に勤務。主にその時期の、ヨーロッパの建築をめぐった旅や、ベルリンでの暮らしを綴った記録。●内田樹氏の自宅兼道場、凱風館を請け負う。

  • 若き建築家による、建築見聞録・旅行記。感情の表現が上手な方で、薀蓄も暑苦しくなく、スラスラと、時にクスッとしながら読めました。好きなものが気持ち悪いくらい似ていて、一緒に旅行をしているような感覚で自分の旅の想い出に重ね合わせて読みました。これは彼の言うところの第3、いや、第3.5回目の旅だったのかも。ほかの著書も読んでみよう。

  • ほぼ日の連載「みんなの家。」がきっかけで興味を持って booklist に長年入れていたのを借りて読む。ぼくは建築ファンではないですが、ヨーロッパに半年ほど住んでいたことがあったり、日本に帰ってきてからもときどき出張でヨーロッパ諸国を訪れることがあって、親しみのある街がいくつかあります。ストックホルム、ローマ、ベルリンなど親しみはある街を、光嶋さんの建築というフィルターを通して、本書を通じて再訪するのは楽しいひとときでした。

  • 小澤征爾さんの武者修行同様、建築家の武者修行も面白いです。とにかく吸収して自分の仕事のイメージを形成する時期って人にあるのだなと思います。スケッチがたくさん掲載されており、写真よりも建築家の鑑賞ポイントが良く分かります。ドイツのホワイトアスパラ、シュパーゲル美味しそうです。

  • 何が一番すごいって、光嶋さんの行動力!
    自分の足をガンガン使って、五感で物事を感じ取り、何かに感動すると、いてもたってもいられず、その対象について調べまくり、感動を与えてくれた相手に手紙を書き、または直接コンタクトをして会いに行く。それがもう習慣になっている感じ。感じたことを感じっぱなしにせず、分析したり、深く考えることで、必ず自分の中に落とし込むところがすごい。その行動力を見習いたい。
    やっぱり自分の経験に基づいた判断基準を持ってる人は、安易に揺らぐことがなく強いなぁと感じた。

  • 若き建築家の、ヨーロッパ建築探訪記。その知識の豊富さと柔らかなタッチのスケッチの数々。アーキテクトという仕事のとても素敵な部分を見せてくれる。デザインという世界から隣の庭を覗いて羨ましく思うような、そんな気持ちになります。建築って、いろんな意味で、おおきいよなぁ…。

  • 建築家・光嶋裕介さんのベルリンでの修行時代の記録。それ以前の学生時代に出会ったものも含め、ヨーロッパの名建築との出会いやその時の印象などを中心に、仕事ばかりでなく、文学・音楽・食べ物・友人など、当時の生活を彩った様々なことがらについて生き生きと綴られている。良い建築家になるという彼にとって唯一無二の目標を座標軸に、類稀な観察力で捉えられた精密な記録は、見事なスケッチや写真とともに、読んでいるとその場に立ち会っているようにワクワクしてくる。この本を持って、取り上げられているヨーロッパの様々な建築物を一つ一つ巡ってみたら、どんなにか楽しいだろう。
    失敗を恐れず、自分にとって必要なことをまっすぐに求めるポジティブな姿勢や、好奇心全開で人生を豊かにするあらゆることを心から楽しむ様子が眩しい。建築が人間抜きでは成り立たないことを思えば、そういう彼の資質はまさに建築家向きなのかもしれない。
    前著『みんなの家。』もそうだったが、彼の持つ前向きなエネルギーというか良い「気」が伝わってきて、読んでいて本当に気持ちのいい本だった。

  • 建築だけでなくアート全般、映画、演劇、ダンス、音楽、小説、食べ物、サッカー、マラソン等多方面から著者の興味あることが描かれている。
    表現がきれい、1つの絵画を表現するのでも言葉の使い方がうまい。著者の感性の鋭さを感じる。

    P30 「都市についたら」その街で一番高いところに行け
    P34 複雑な起伏を持ったアクロポリスの大地の上に、パルテノン神殿は確かな水平面をつくり出していた。フラットな場所をつくることによって初めて人間の様々な営みが可能になる。もしかしたら、雨風をしのぐ屋根の架かった平らな床をつくることこそが建築の最大の役割なのではないか。
    P85 ひとの身体に張り巡らされた血管のように、くまなく敷かれた水道の上に脈々と築き上げられた大都市、それがローマ。まるでその水道の存在を地表に顕在化するかのように噴水があちらこちらに設置されている。
    P90 同じ日に見比べたいバロック時代の教会、共通点はバロック芸術が楕円を用いることで運動を誘発し、身体的空間体験を与えてくれること
    ・サン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂(ボッロミーニ)
     縦の動き
     長軸で入り口と祭壇を結んでいる
     天を仰ぐと空間に吸い込まれていく’ような感覚
     天井の中心にはトップライトが入るように小さく塔が設けられており、そこから柔らかい光が間接的に入り込む
     小さなドームの天井(教会の中心)には、まるで十字架のようにつくり込まれた鳩のレリーフがあり、それを下から見上げていると、あの鳩の向こう側には天国の風景が広がっているのではないかという想像が膨らむ
     目線は自然と奥へと引っ張られ、そのまま垂直方向に展開していく
    ・サンタンドレア・アル・クィリナーレ聖堂(ベルニーニ)
     横に揺さぶる
     短軸で入り口と祭壇を結んでいる
      建物に入るや否や一気に空間が迫ってきて、一体感がある
     目線は自ずと水平方向に広がり、その地平線の上を色鮮やかな彫刻が美しく配置されている
     遠近法を強調するかのように、サイズをどんどん小さくした六角形の装飾で埋め尽くした天井の中心には、楕円の天窓が開けられており、オレンジ色の温かい光が降り注ぐ
    P126 建物の土台である基礎を地表に露出して持ち上げることで建築を浮遊させてみたサヴォア邸は、若き日に感銘を受けたギリシャのパルテノン神殿をコルビュジェなりに解釈した結果。丘の上にずっしりと自由な造形からなる塊としてつくったロンシャンの礼拝堂は、同じくギリシャのサントリーニの集落でみつけたフォルムを結晶化したもの。そして遂に建築が動きだし、大地からせり出すように運動するようにつくったのがラ・トゥーレット修道院。
    P128 建築というのは常に個別的であり、抽象的な普遍性を下敷きに思考されたとしても、最終的には具体的な場所に、顔の見える建築の使い手のために設計せねばならない。
    P200 コールハースという建築家は、空間そのものをヴォイドと考えている節があり、そうしたヴォイドトヴォイドをどのようにして接続するかという、動線計画に最も関心があったと思われる。
    例)カサ・ダ・ムジカ 中心に窓のある明るいコンサートホールが核となるヴォイドとして配置され、それ以外の空間は来客を引き込み、ここにつなげるようにして楽しませる動線空間の集合体ではないか
    P263 ミースは、建築を構成している部位を極限まで分解した。それを自立させることで新しい強度ある建築を目指した。
    P268 人間を制御可能なものとして捉えているあたりが何だか西欧人らしい
    P276 「批判的地域主義」:モダニズムが消してしまった場所性は回復可能とする概念。アアルト、ウッソン、シザなど地理的に辺境にいる人ほど新しいものを開拓するポテンシャルが高いのかもしれない。

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著者プロフィール

光嶋裕介(こうしま・ゆうすけ)
建築家/一級建築士/博士(建築学)
1979年米国・ニュージャージー州生まれ、小学校2年生の頃日本・奈良に帰国するも、少年野球(5番キャッチャー)に熱中。中学からカナダ・トロントと英国・マンチェスターで過ごし、野球に加えてNBAにハマる。高校で再度帰国し、バスケに明け暮れて、バンド(英語の発音がよくて声がデカイだけのボーカル)をやったり、村上春樹を通して読書に目覚めたり、麻雀を覚えたりする。2004年に早稲田大学大学院を修了し、単身ヨーロッパへ。ドイツ・ベルリンの設計事務所で職を得て、4年間働く。2008年に帰国し、光嶋裕介建築設計事務所を開設。2011年に処女作として、内田樹先生の道場兼自宅《凱風館》を神戸に完成させる。竣工後すぐに入門し、現在は合気道参段。2021年より、神戸大学特命准教授。主な作品に、《旅人庵》(京都)、《森の生活》(長野)、《桃沢野外活動センター》(静岡)など。2015年にAsian Kung-Fu Generationの《Wonder Future》全国ツアーのステージデザインとドローイングを提供。主な著書に、『増補 みんなの家。』(筑摩書房)、『つくるをひらく』(ミシマ社)など多数。最新刊は、『ここちよさの建築』(NHK出版)。

「2023年 『つくる人になるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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