すごい宇宙講義

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781609911

作品紹介・あらすじ

基礎となる理論から最新の実験・観測の方法まで、異端の素粒子物理学者が100を超えるスライドと共に語った、3時間×四日の一般公開講座"完全版"。

感想・レビュー・書評

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  • 凄い分かりやすく書いていると思うが、それでも難しい。恐らく、原理や理屈が理解できぬまま、宇宙とはこういうものだ、と飲み込むしかないからだ。それでも十分楽しめるのだが、自分には理解できない領域がある事が少し悔しい。理解できたかは別として、宇宙工学や量子力学を学ぶ人生というのも、憧れる。ちょっとだけ、その願望を叶えてくれる本。

    いざ、言葉と論理の迷路へ。

    原子は、電子と原子核(陽子と中性子)でできている。従い、人間の体をバラバラにすると、電子と陽子と中性子になる。電子に対して陽電子と言うものがある。電子はマイナスの電気を帯びているが、陽電子はプラスの電気を帯びている。これが電子の反物質。陽子の反物質は反陽子。中性子の中にはクオークがあるがクオークはアップクオーク、ダウンクオークが電荷を持っている。それが打ち消しあって中性子となっている。反中性子と言うものは、この中の電荷が逆になっている。アポロ計画では反物質を集めると言う実験もしていた…と、何となく、よく噛んで消化しようと思うが、噛みきれない。

    それが実在しながらも実感がなく、観念論を弄んでいるようにも見えるからだろうか。見えない世界を論理で解き明かす。計算上、宇宙は広がっているはずだとか、ブラックホールという存在があるはずだとか、計算が合わないから、宇宙項を設けて辻褄を合わせようとか。理解できればそれは最早物理学者だろうから、少しでも理解できたつもりになれるなら、それで良しとしておこう。

  • 物理も化学も高校で断念したのですが、易しい語り口で楽しく読めました。時々挟まれる雑談や横道に逸れた話題も実際の講義を聞いているよう。学生時代に戻ったようでワクワクしました。ゆるい挿絵も分かりやすくまとまっていて、難解な話の理解の手助けになりました。(全部理解出来たかというと自信はないけど...)

    途方もない宇宙の話にくらくらする。仮説や実験の積み重ねの努力ももちろんだけど、数式から、「つまりどういうことが起きるのか」をイメージする人間の想像力、思考力って凄いなあと思いました。

    『すごい実験』も今から読む。

  • 一般対象の宇宙物理学の全4回分講義をまとめたもの。
    ビッグバン、ブラックホール、宇宙の創成などについて、解説されます。

    金髪ロン毛の華やかなニュートリノ素粒子物理学者、多田将先生。
    講演会がおもしろかったので、著書を読みました。
    文系頭には宇宙物理はかなり難しい話でしたが、図を多用し、かみくだいて(さらにくだけた口調で)説明してくれます。

    磁気の力は電荷の運動によって生じます。
    電気の力と磁器の力は同じもの(=電磁力)。
    物質間に力が働くのは、素粒子が媒介するから。
    電荷を持つ素粒子に働く電磁気力を伝えるのが、光子(フォトン)。
    電子は電磁力によって原子に閉じ込められているそうです。

    図には数式が載っており、さっぱりわかりませんでしたが、理系には嬉しい情報なのでしょう。
    素粒子の話は難しくて、一度読んだだけではまだ理解しきれていませんが、宇宙の話から入っていったため、とっかかりやすいものになりました。
    それにしても超マクロから超ミクロへの転換の幅広さ、科学の視点の雄大さには驚くばかりです。

  • 学生時代、物理に触れてさえいない私でも、かみくだいた文章ですらすらと楽しく読み終えることができた。
    あとがきに書かれていた、「我々は、一惑星の表面にへばりついて、行ったこともない途轍もなく遠い宇宙について思いを馳せているのだということを、改めて思い起こしてください。」という一文。誰もたどり着いたことのない遠くの宇宙のこと、途方もないくらい過去の宇宙の始まりのことを、−−一惑星にへばりつく人々−−が、ここまで具体的に思いを馳せることができる事実が、本当に凄いことだと実感ができた。
    理解及ばず読み飛ばしてしまった部分もあると思うが、その実感を得られたことが、私にとっては何よりの収穫でした。
    前著の「すごい実験」も読みたいと思います。

  • 著者は素粒子物理学の人。宇宙物理学者や天文学者ではないけど、かつて暗黒物質の研究をしていたという。
    ブラックホール、ビッグバン、暗黒物質とは何か? を講義(というかカフェで講演)した内容を本にまとめたもので、書くと喋るの違いなのか、著者さんも言うようにどうしてそう考えられているかの「考え方」を語っているからなのか、とにかくめっぽうわかりやすく「宇宙の今」を教えてくれる。

    ヘタうま系?の挿絵も秀逸。

  • この本は「宇宙についてこんなことがわかってるよ」といった結果ではなくそこに至るまでの過程に着目して書かれていた。何かを知りたい時ぱぱっと本なりなんなりで知識を得られることは便利だけど、その知識が産出されるまでに先人達が多大な努力をしてきたんだなぁとしみじみ思った。頭のいい人が挑戦と失敗?と検証を繰り返しているからこそ科学が発展するんだね。だから私が死ぬまでにこれまでの常識がひっくり返ったり新たな事実が明らかになったりする可能性があるんだね。私はこの年齢になってもいまだに「宇宙の端っこがあるとするならその先になにがあるのかなぁ」とか思っている。私が生きているうちにこれが明らかにならないかしら。

    平成29年2月上旬読了

  • 宇宙になんとなくロマンを感じるけど、勉強したことないなと思い読了。
    所々分からないところはありましたが、人々を魅了する魅力を感じることができました。
    また、多くの学者によって、宇宙のことが分かりつつあるというのは胸熱です。

  • ■文章もイラストも秀逸。
    ■読了後,小さなことでクヨクヨするのをやめようかな…
     と,ちょっと前向きになれるかも?
     (宇宙系の本の読了後にありがちだけれども。)

  • この人の本は、本当にわかりやすい。ありがたい。

  • ふんわりとしか知らなかったことをちゃんと知識として定着できた気がする。
    難しすぎないので挫折することなく読めて良かった

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著者プロフィール

京都大学理学研究科博士課程修了。理学博士。高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。著書に『すごい実験』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』『ミリタリーテクノロジーの物理学』『ニュートリノ』(以上イースト・プレス)、『放射線について考えよう。』『核兵器』(以上明幸堂)がある。

「2020年 『弾道弾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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