- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780908923
作品紹介・あらすじ
退化して滅ぶか?あらたな進化か?それとも……Y染色体が消えつつあるオトコがいま存続をかけて究極の選択を迫られている.本書は遺伝子の組換え,欠失など高校生物で習う生命現象がふんだんに盛り込まれているため,生物学の入門書としても最適.
感想・レビュー・書評
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図書館でタイトル借り。(CDジャケ買的な)
あらまぁ楽しい本。難解な内容を話し言葉で易しく丁寧に解説、イラストもちょうどいい塩梅。
第1章「男の性が決まる仕組み」
曲とCDに例えたものがあったがここではDNAを細かい繊維、それを撚って毛糸となり、さらに編まれてマフラーにしたのが遺伝子と。
こっちの方がベターな例えだな。
SRY遺伝子って哺乳類の中でも真獣類だけなのね。(単孔類と有袋類には無いと)おやまぁ。
第6章に語られるけど一部のトゲネズミやモグラレミングにないんだから(それどころかY遺伝子がない)そりゃそうか。
魚や爬虫類の性決定システムがあって、染色体の長さと含まれる遺伝子の数!まぁーーーこれいいわ。いい。
第2章「男らしさの作られ方」
アンドロゲン(男性ホルモン)が胎児の脳に入ってエストロゲン(女性ホルモン)に変化して女性脳を男性脳に変えるとな。でもサルはアンドロゲンのままですと。あんぐり。
第3章「モテる男のYとホルモン」
身長、歯など。胎児アンドロゲン(指比、顔立ち)と成長後アンドロゲン(声、体臭、体毛)はモテにとって別物なのではという考察は興味深い。ここでも2D4Dの差が出て来る。
「男性の手が好きと言う女性は多い。私もだ。実は無意識に2D4Dをチェックしてるのかも知れない。」とな。これは冗談を超えてちょっとあり得る気がする。
胎児の時に大量のアンドロゲンシャワーを浴びた男であっても、全員が胸毛ボーボー筋肉モリモリの高身長スポーツマンになるとは限らない。成長後のアンドロゲン量は胎児時と相関はありそうだけど「別物」と考えた方が良さそうということね。
男性ホルモンというと、成長後のアンドロゲンによる「低い声」「体毛」「体臭」がキーになってるようだけど、高い声のツルすべ肌無臭であっても胎児アンドロゲンシャワーをびっちゃびちゃに浴びてるならばその人は男としての魅力満載かもと。
たまに男たちが「なんであんな女みたいな男がモテるんだ」と若手アイドルや俳優に嫉妬するけれど、彼らの美しさは胎児アンドロゲンシャワーによるものなのかもね。
第4章「男の方が多く生まれる」
理由はよくわかんないけど1.00:1.05。
母親の栄養状態や父親の精子の質も関係ありそうだけどどうなんでしょうね。男がすぐ死ぬからちょい多めに作ってる?はて。
そういえば昔読んだことがあったな。ヘルパーの娘を産む鳥。性別コントロールか。
第5章「退化しつづけるY染色体」
どうやって短くなっていったか。3億年をダイジェストで。
第6章「男はこの世からいなくなるのか」
まぁY染色体はなくなるだろうけど気にすんな!って話。ここでは「インプリント遺伝子(絶対ママから、絶対パパから遺伝子)」がおもろいなぁ。そんなのが沢山あるなら哺乳類で単為生殖は難しそうだなぁ、と思ったら2004年にインプリント遺伝子を壊したマウスでメス染色体だけの子供作ってんのか。東農大ムチャするなぁ。
生物の世界では女尊男卑だけど男になるのも結構大変なのよ とはあとがきの作者。
作者は女性の研究者なので少し余計目に男を庇ってくれている気もする。
確かに男になるのも大変そうではあるけれど、これほどの高機能のパーツを揃えた人体において身体の真ん中に「縫い目」があることや、大事な子孫(コピー)作成のための遺伝子供給パイプと尿排泄のパイプを共有してることから考えてもやっぱ人間の男は突貫工事のバリエーションですよね。
ロクなことしないし(自覚あり)。
この本も何か特定の宗教、それが伝統的であれ新興であれ、に没入する前に読んで欲しいなぁ。この本、決して分厚く無いし言葉も易しくイラストも沢山あって読みやすい。人間のオスのY染色体にテーマを絞ってるから触れる他動物の話はほんのちょっと。にもかかわらず、過去に大量絶滅が複数回あった1つの惑星でこれだけの生命の多様性を感じ取ることができる。
君も僕もただ存在してるだけさ。
意味なんてないぜ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Y染色体が退化しこの世からやがて男がいなくなってしまう.....そんな噂を聞いたことはありませんか?本書では、男性特有のY染色体について詳しく解説、と同時に、「イケメン」「草食男子」...といった今の話題をサイエンスの切り口から迫ります!
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三葛館一般 467.3||KU
とても分かりやすい!男性にしか存在しないY染色体について書かれた本書は、文章が読みやすく、イラストや図の表示も分かりやすく、例えやコラムも興味のもてる話題で、本当に分かりやすいです。Y染色体の退化は進化でもあるが、いずれなくなってしまうものなのか。男性はどうなってしまうのか。男女問わずに楽しめます。
(うめ)
和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=68205 -
思わず薬指と人差し指を見つめてしまいました・・・
北大の生物化学部門准教授の著者が、わかりやすくとんとんと、Y染色体とホルモン、Y染色体をもたない生物、Y染色体から見た日本人のルーツなど解説してくれます。
おなかの中であびた男性ホルモンシャワーの量が人差し指と薬指の比でわかるとか。
いろいろおもしろエピソードも。 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:467.3||K
資料ID:95140373 -
妹がこの分野の研究をするということで、ご紹介いただいた一冊。
タイトルから小難しい生物学的な内容だと思ってみたら、あら不思議。そのほとんどが統計により得られた知見で、生物を囓っていない人にもわかりやすく丁寧に書かれています(最終章手前あたりは厳しいかも)。目からウロコの雑学と実学ばかりで、他人に話したくなることうけあいです。
…と、同時にとある測定法による自分の男性ホルモンの少なさに絶望。男性にとっては、いろいろ不安になる内容も含まれているかもしれません。